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次期ケイマン/ボクスターは2025年にハイパフォーマンスEVとして登場する模様。これで「EVの正当性」を主張し、911のEV化をすんなり成功させる計画か

2021/09/24

次期ケイマン/ボクスターは2025年にハイパフォーマンスEVとして登場する模様。これで「EVの正当性」を主張し、911のEV化をすんなり成功させる計画か

| 986ボクスターによって「911の水冷化」ショックを和らげたのと同様、まず先にケイマン/ボクスターがEV化されることになりそう |

ただしポルシェは911を「内燃機関搭載車」として生き残らせる方法も模索中

さて、先日「そろそろ、次期ケイマンとボクスターのパワートレーンをどうするか決定することになる」と言われていたポルシェですが、どうやら両モデルとも「2025年モデルとして、ピュアエレクトリック化される」ことになる模様。

これはポルシェ社内からの「匿名の情報源から」の話だとして報じられており、おおよその内容として「スタイルは現行モデルと大きく変わらず、しかしミッションRのスタイルを取り入れ、かつタイカン風のヘッドライトを装備し、インテリアが未来的になる」「タイカンに比較し、航続距離を高く、重量を低く抑えることができる」というもの。

やはりポルシェは中国重視

なお、”インテリアが未来的に”ということについては、主に「中国の若い富裕層」の取り込みを考慮したものだといい、たしかに中国の自動車メーカーの多くが「モニターだらけ」のインテリアを採用しているところを見るに、中国では”未来的なインテリア”が非常に好まれるのかもしれません。

さらにポルシェは「中国重視」姿勢を明確にしており、中国専用スペックのボクスター・スパイダーを発売したり・・・。

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そして現在の718ケイマンやボクスターについては、「中国市場抜きでは成立しない」とコメントしたことも。

電動化されたポルシェ・ケイマンの目標重量は1650kg

さらに今回の報道によると、ピュアエレクトリックバージョンのケイマンでは「目標重量を1650kg」に定めているとされ、たしかにこれはタイカンよりも490kg軽く、しかし現行の718ケイマンよりは270kgほど重い数字でもあります。

なお、タイカンよりも軽く仕上げるため、ポルシェは「完全新設計の」プラットフォームを採用するといい、しかし細かいパーツについてはタイカンやエレクトリック版のマカンとの共有を行うことでコストを下げるとも。

もちろん「ケイマン」「ボクスター」の名はそのまま引き継がれ、その(911の下という)ポジション、価格帯も引き継がれる予定だとされるものの、エレクトリック化によって設計やレイアウトの自由度が増すため、トップレンジには4WDが採用される可能性も示唆されています。

外観については、上述の通りヘッドライトはじめとして「ミッションR」の要素をふんだんに盛り込んだものとなりそうですが、これはポルシェ自身が「将来の市販モデルを示唆するような兆候が満載されている」ということからも容易に想像できますね。

ポルシェのスポーツモデルはどう「ピュアエレクトリック化」を行うのか?

今回の報道が事実であれば、ポルシェは2025年に718ケイマン/ボクスターを完全電動化するということになり、その際に「ヘッドライトをタイカン風に(というかミッションR風に)」変更すると言われているので、これまで採用してきた円形や、それに準じたデザインを持つヘッドライトから、「横長の、薄い」ヘッドライトへと変わってゆくということになりそう(実際に、エレクトリック版のマカンでも同様の変化が与えられるそうなので、これが電動化時代の”ポルシェの新しい顔”ということになる)。

そして、気になる運動性能について、おそらくはミッションRで見せた「1000馬力以上」と行かないまでも、トップレンジではそれに近い出力を与えることで、「電動化を行うことの正当性」を強調するのかもしれません。

もちろん出力だけではなくサーキットにおけるパフォーマンスも「ガソリンエンジン搭載の」ケイマンやボクスターを凌駕することは間違いないと考えていて、つまり「電動化こそが正義」という方向性をこの新型ボクスター/ケイマンで確立するんじゃないかと考えているわけですね。

そうすることで、「911の電動化に対する期待」を煽ることができ、多くの人が911の電動化をすんなりと受け入れる下地ができるというわけですが、これは911が水冷化する際、先に「水冷エンジンを積んだ」986ボクスターを発売して「(水冷への)移行の際の衝撃を和らげた」ことに似ているかもしれません。

もちろん、今回「いかにパフォーマンスの高い電動化ケイマン/ボクスターにより、電動化の正当性を主張しても」ガソリンエンジン以外は許容できないという911ファンもいるかとは思われ、しかし正直いうと、ポルシェにとって「そういった人々」は切り捨てるべき層であり、ポルシェが欲しいのは「電動化ウエルカム」な人々なのだと思います。

でないと、古い考え方を持つ人々と一緒にブランドが老朽化してゆくことになり、しかしそうなっても「保守派」がポルシェを助けてくれるわけではなく、よってポルシェは前に進むため(そしてブランドを成長させるため)常に最善の選択を行っているのだということになりそうです。

ただしポルシェは「別の道」も模索中?

ポルシェは「我社のラインアップで、最後に電動化するのは911」とコメントしたことも。

この真意については計りかねますが、ぼくとしては「最後の最後まで内燃機関を存続させる方法を諦めない(できればエレクトリック化しない)」ということなんじゃないかと考えています。

たとえば、ポルシェは現在、ガソリンにかわる、しかしCO2排出量が極端に小さくなるという合成燃料「Eフューエル」を開発中。

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これによって、今後も継続して内燃機関を積んだクルマの発売ができる可能性が出てくることになり、しかしこの実現には「あと10年くらいかかる」とも(2022年から試験的に量産が始まる)。

よってポルシェはこのEフューエルによって911を内燃機関のまま存続させたいと考えていて、よって「今の段階で焦って電動化しない」のでは、ということですね。

うかつにEV化するともう元には戻れず、「911をEV化しなくてもいい方法」を模索し、その方法を実現するために911のエレクトリック化を先送りしているんじゃないかと考えています。

参考までに、ポルシェは現行992世代のモデルライフ後半に「911ハイブリッド」を投入することを明言していますが、当時(992発表当時)と現在とでは事情が異なり、もし現在のポルシェが「911をエレクトリック化しないですむ方法を模索」しているのであれば、992世代のフェイスリフトにおいて、911ハイブリッドは登場しない可能性も。

992発表当時は「911をエレクトリック化する」以外の選択肢はなく、しかし現在では代替燃料という別の選択肢が登場しており、ポルシェはそれに賭ける(けして分の悪いギャンブルではない)のかもしれません。

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参照:Car and Driver

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