| ポルシェはただ単に自社のクルマをずっと顧客に乗ってもらい、楽しんでもらいたいんだと思う |
さて、先日も報道されたとおり、ポルシェは継続して「ガソリンにかわる合成燃料」を開発している模様。
今回ポルシェのGT部門を管理するフランク・シュテファン・ウォリーザー博士がEVOマガジンにコメントしたところによると、「この合成燃料、すなわちeフューエルを利用すれば、CO2排出量は85%低減され、EVと遜色ないレベルにまでクリーンなクルマにできる」。
ただしEVは走行中のCO2排出に関しては「ゼロ」なので、85%だとEV同等とはいえないんじゃないの?と思ったのですが、フランク・ウォリーザー博士が指しているのは「クルマの製造まで含めて」であるようで、そのぶんガソリンエンジン車は製造段階における排出CO2が(EVに比較して)少ないということになりそうですね(これはよく言われることではあるが、実際のところどうなのかはわからない)。
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なぜポルシェが?「ガソリンに代わるクリーンな合成燃料」開発中。ガソリンエンジン車存続のために研究中、10年内には実用化も
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なぜポルシェは合成燃料を?
そこでなぜポルシェが合成燃料を手掛けるのかということについて、これはもちろん「メーカーとしてのCO2排出量低減」がメイン。
これによって所属するフォルクスワーゲングループ全体のCO2排出量も低減でき、となるとCAFE規制他、様々な規制値をオーバーした際に課される罰金を回避することが可能となります。
ただ、この合成燃料の研究が「ポルシェのGT部門」が行っているところを見るに、内燃機関を存続させることがも大きな目的のひとつなのかもしれません。
ポルシェはピュアエレクトリックカー「タイカン」を発売するなどエレクトリック路線に熱心なブランドでもありますが、その一方で「911GT3」「718ケイマンGT4」などサーキット走行、スポーツ走行を追求したクルマも重視しています。
まだまだモータースポーツの未来や環境(規制によってエレクトリック化されてゆくのか)がどうなるのかは不透明ではあるものの、こういった動きを見るにポルシェは「内燃機関を積んだクルマで走行する楽しさ」「サーキットにおける走行性能の追求」については内燃機関のほうが勝る、と考えているのかもしれません。
ポルシェのクルマは「寿命が長い」
加えて、ポルシェのクルマは寿命が長いことでも知られ、これまでに製造した車両の70%以上が現役にて路上を走行中。
2030年代から「ガソリンエンジン搭載の」新車販売が難しくなってきますが、それにあわせて(当面ガソリン車の中古売買は規制されないものの)段階的にガソリン車の走行自体が制限される可能性もありそう。
ポルシェはユーザーのことを考え、常に「ユーザーに負担をかけない」クルマ造りを行っていて、仮にユーザーがガソリン車に乗れなくなったり、ガソリン車を廃棄せざるをえなくなるといった状況を回避したいのだと思われ、自社のクルマを未来永劫存続させるためにもこういった活動を行っているのだと考えています(もちろん、この燃料の販売にて収益を期待しているのも間違いない)。
ただしそこにはいくつかの問題も
ただ、この燃料が完成するのは10年後だとも報じられており、かつ価格は「ガソリンの倍」だとも。
そして車両側を無改造でこの燃料が使用できるのか、ガソリンスタンドも既存の設備をそのまま利用して販売できるのか、はたまた国によっては税制がどうなるのか等様々な懸念事項も。
たとえこの合成燃料が完成したとしても、普及しなかったり手に入らなければ意味はなく、燃料そのものの研究開発に加え、解決しなくてはならない問題も山積しているのでしょうね。
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参照: Evo Magazine