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マクラーレンCEOが電撃辞任!新CEOの選定はこれから行うものの、人選次第では新体制下で「SUV発売」があるかも

マクラーレン・アルトゥーラ

| これまでのマイク・フルーイットCEOは「SUVは絶対にNO」な人だった |

この非常事態下では、マクラーレンがSUVを発売しても文句を言う人はいないだろう

さて、マクラーレン・オートモーティブCEO、マイク・フルーイット氏が突然辞任することになった、との公式発表。

なお、この辞任は誰かにその座を譲るためのものではなく、マクラーレンとしては「後継者を探すための準備を直ちに開始する」とコメントしているので、完全に予想外だったとも考えられます。※マクラーレン・グループの社外取締役であるマイケル・マッハ氏が暫定的にマイク・フルーイット氏の役割を引き継ぐ

今回の発表に合わせ、マイク・フルーイット氏からは、「私は、マクラーレン・オートモーティブの最初の10年間のほとんどを成功裏に導くことができたことを非常に誇りに思っていますし、素晴らしいマクラーレンの物語の一端を担えたことを光栄に思っています。この若い会社の成功は、私が一緒に働くことができた多くの情熱的で才能のある人々のおかげであり、その成功が続くことを楽しみにしています」とコメント。

マイク・フルーイットCEOの在籍期間は8年

なお、マイク・フルーイット氏はマクラーレン・オートモーティブへと2012年に加入したのち2014年にはCEOへと昇格しており、現在まで8年にわたりCEOを努めてきた計算です。

マクラーレン・オートモーティブそのものは、2009年にマクラーレン・カーズの市販車部門として設立されており、その市販第一号は「MP4-12C」。

その後2014年に650S、675LT、570S、540C、570GT、そしてP1といったハイパーカーを発売しており、続いて720S、GT、セナ、エルバ、スピードテールなどをリリースし、最近ではハイブリッドスポーツ「アルトゥーラ」も発表済み。

マクラーレン・アルトゥーラ

CEOに就任した時期を鑑みるに、MP4-12C以外のすべてのモデルに関わったと考えて良さそうですが、それだけに突然の辞任には驚きを隠せず、一体何があったんだろうな、と考えたりします(韓国や中国の自動車メーカーからの引き抜きがあったのかもしれないし、ハイパーカー飽和状態を作ったことを責められたのかもしれないし、SUVに手を付けず会社を危機に陥れたことの責任を追求されたのかもしれない)。

ちなみに同氏の今後についてはなんらアナウンスされておらず、マクラーレン・グループのエグゼクティブ・チェアマンであるポール・ウォルシュ氏からは、「マイクは、マクラーレンが世界有数の高級スーパーカー・ブランドとして認知され、競合他社が何十年もかけて達成してきた成功の高みに到達するために尽力してきました。マイクの多大な貢献に感謝するとともに、彼の今後の活躍を願っています」という声明が出されています。

現在、人材の移動が活発化

なお、現在はスーパーカーメーカー、プレミアムカーメーカーのトップクラスの人物そしてデザイナーのヘッドハンティングが活発化しており、主には韓国(ヒュンダイ/ヒョンデ)や中国の自動車メーカーに移籍するケースが多数。

ここ最近目立つのは、中国の第一汽車(FAW)の行動で、紅旗ブランドでのハイパーカー開発のために元フェラーリCEOのアメデオ・フェリーサ氏やフェラーリ、アルファロメオ、BMWの元役員であるロベルト・フェデリ氏、フォルクスワーゲングループのデザイナーを務めたワルター・デ・シルヴァ氏ランボルギーニの女性役員、カティア・バッシ氏を引き抜いています。

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そして「ピエヒ」も各自動車メーカーの重鎮が集合していることでも知られ、とにかく多くの経営者やデザイナーが今までにないほどのレベルで動いているようですね。

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ここ最近「動いた」CEOだと、ランボルギーニの前CEO、ステファノ・ドメニカリ氏がF1のCEOへ、アストンマーティンCEOであったアンディ・パーマー氏が辞任してメルセデスAMGのCEOであったトビアス・メアース氏へと置き換えられ、フェラーリCEO、ルイス・カミッレーリ氏が突如退任したという例も(そしてブガッティCEOだったウルフギャング・デュラハイマー氏のように、ふっといなくなった人も)。

マクラレーンの新CEOはどんな人に?

そして、ここで気になるのがマクラーレンの新CEO。

これまでの常識だと「自動車メーカーのCEOは自動車業界から」というものがあり、しかし現代においては自動車とくにスポーツカーは「不要な存在」なので、「不要なものでも売ることができる」人物が求められます(これまでは速い車を作れば売れたが、今はそうではない)。

よって昨今の自動車業界で求められるのは、同じように「生活には不要な」製品を販売して会社を成長させてきた高級ブランド品メーカー出身者だとされており、実際にフェラーリも「新CEO」にはグッチやヴァレンチノのトップをスカウトするといった話もあったようですね(もはやプレミアムカーはブランド品と同じでもある)。

シャネル

フェラーリ・ローマ
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ただ、マクラーレンの場合は中東のファンドから多額の運営資金の援助を受けたという報道もあり、もしかするとそのファンド経由で新CEOが送り込まれてくる可能性もありそう。

マクラーレン・アルトゥーラ
マクラーレンが本社に続きテクノロジー部門も売却!カネになるものはどんどん現金化することに。SUVを発売していればこうはならなかったのに・・・。

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いずれの場合であっても、ぼくが期待したいのは「CEO交代によってSUVを発売する」という改革で、というのもマクラーレンはこれまでのマイク・フルーイット体制下では「SUVだけはゼッタイにNO」という意思を貫いていたため。

ただしランボルギーニやアストンマーティン、ポルシェの例を見ると、「SUVの投入で販売が倍(以上)になる」ということも立証されていて、今ピンチのマクラーレンに求められるのはSUVだと思うわけですね。

たしかに「モータースポーツに密接に関連する」マクラーレンの場合、SUVはそのブランドイメージを毀損する可能性はゼロではなく、しかし本社まで売却するという非常事態の今、マクラーレンがSUVを発売することについて、株主はもちろん、社員であっても今は反対するものが少ないだろうとも考えています(今はSUVに対してNOと言っている場合ではなく、会社を立て直すことが先決)。

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