| 会社の健全性をアピールし受注台数を水増しすることで投資家の注目と資金を集める |
ファラデー・フューチャーはてっきり倒産したと考えられていたが
さて、2016年頃から急速に話題となり始め、「第二のテスラ」と大きな注目を集めていたファラデー・フューチャー。
なんとかプロトタイプを製作してメディア向けに公開したこともありますが、その後はいっこうに生産が行われず、その後ラスベガス市から多額の資金提供を受けたにもかかわらず債務不履行になり、創業者の資産が差し押さえられた、とも報じられています。
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しかしまだ細々と頑張っていた?
創業者の資産が差し押さえられた時点でファラデー・フューチャーは「もう終わり」と思われたものの、実際にはまだ生きながらえていたようで、今回は「発表されていた受注台数が大幅に水増しされたものであった」ことが明らかに。
ファラデー・フューチャーは14,000件の受注を受けたと報告していたものの、昨年10月に「投資家に対する新しいEV詐欺」だとするレポートが登場し、これを受けて調査が開始されることになりますが、第三者による調査の結果、じつは受注は百件程度にしか過ぎなかったという事実が判明しています。
ただ、ファラデー・フューチャーとしては「独自の調査にて不適切な例が見つかったが、レポートにあるような詐欺行為は見つかっていない」と主張。
ファラデー・フューチャー側は特別委員会、独立法律顧問、フォレンジック会計事務所によって調査を行ったと報告しており、「たしかに14,000件のうち、予約金の支払いがあったのは100件程度だが、残りは支払いを待っている段階であり、予約数には変わりない」という言い分を貫いているもよう。
ファラデー・フューチャーはさらに虚偽の報告でも責められる
そしてファラデー・フューチャーは予約数だけではなく様々な(投資家に対する)報告を怠ったことを追求されており、会社や経営者が苦境に陥っていたこと、経営者であるユエティン・ジア氏の役割に関する説明が虚偽の内容であったこと(さほど関与していないように報告していたが、実質的には非常に重要な人物であった)についても非難を浴びていて、つまりは投資家に対して「受注がたくさん集まり、経営は順調」と言っていたものの、実際には火の車だったということに。
それでもファラデー・フューチャーはまだまだ会社を継続するようで、コーポレート・ガバナンスや監査の強化、財務会計と報告に関する内部統制の改善、最高コンプライアンス責任者の雇用、全役員に対しての社内方針に関する包括的な研修プログラムを実施するといった是正措置を実施する、と発表しています。
加えて、これまでの法務顧問であるジャレット・ジョンソン氏が「会社から離れる」ことを発表し、「他の従業員に関しても一定の懲戒処分を行う可能性がある」と述べており、つまりは経営陣の刷新にて膿を出し切る、と言いたいのかもしれません。
なお、こういった「EV詐欺」としてはほかにニコラ、そしてローズタウンがあり、これらもやはり「受注台数の水増し」を行って会社が好調であるかのように見せています。
このような詐欺が横行するのは、ひとえにテスラの株価急騰が記憶に新しいためで、自分たちが「第二、第三のテスラである」と主張することによって多額の出資を集めよう、ということなのでしょうね。
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