| 上場直後の値上がりだけを目的に会社を作り、上場させるEV関連企業がいっぱい出てきそう |
さて、現在アメリカにて盛んなのが特別買収目的会社上場によるEV(電気自動車)関連会社の株式公開。
これによって資本力に乏しい新興EVメーカーやパーツメーカー、充電設備会社などが巨額の資金を手にすることができ活動が容易になるというものですが、投資家にとっても「株式の(非常に)大きな値上がりが期待できる」ということに。
ただしこれを悪用し株価操作を行った疑いも
そして米国オハイオ拠点のLordstown(ローズタウン)もまた特別買収目的会社(SPAC)上場によって株式公開を行った企業。
同社は創業1年の若いEVメーカーであり、創業者であるスティーブ・バーンズ氏の経営する電動輸送技術関連企業「ワークホースグループ」から枝分かれした会社でもあります。
事業内容としては電気自動車の設計・製造が掲げられており、第一弾として発売される「エンデュランス」はピックアップ型のボディ形状を持つ商用車。
4輪にインホイールモーターを内蔵することが特徴で、様々な輸送企業から10万台の受注を受けたとアナウンスしたことで大きく株価が上昇しています。
受注台数は「でっちあげ」?
しかしながら、今回カラ売りをメインに株式取引を行うヒンデンブルクリサーチが公表したところでは、この「10万台の受注」はほとんどウソ。
たとえば、14,000台を発注したという「Eスクエアードエナジー」は2名の従業員しかおらず、1,000台を発注したイノベーションズLLCはそもそもペーパーカンパニー(よって、こういった会社が大量にEVを発注することはない)。
こういった例が多々あることからヒンデンブルクリサーチは「ローズタウンの発表した受注台数は「ウソ」と断じているようですね。
なお、受注の発表があったのち、ローズタウンの株価はピーク時にて30.6ドルをつけたものの、(虚偽の受注が報じられた)現在は16.22ドルと約半分まで下落しており、この「ウソの受注」が事実であれば、ローズタウンは再起不能なまでに株価が下落しそうです。
実際のところ、ヒンデンブルク・リサーチが主張する内容が本当かどうかは不明ではあるものの、EV関連会社のSPAC上場はひとつのバブルであり(フィスカー、ニコラもこれで上場した)、そこに資金が集まることで株価が高騰しているのもまた事実。
となると「(ビジネス目的ではなく上場させて株式の値上がり益を得ることが目的で)会社を作ってSPAC上場させよう」と目論む人たちが出てくることも十分考えられ、高騰した株を空売りすることで利益を得る人々が登場するのも自然の成り行きなのかもしれません。
要は、その会社の実態や事実は抜きにして、「期待」だけで株価が上がったり、「情報」ひとつで株価が下がる(下げられる)ということになりますが、噂だけを信じて飛びつく個人投資家が食い物にされるというのは古今東西、株式市場にとって普遍の事実だとも言えそうです。
おそらくは今後しばらく、こういった烏合の衆が大量に株式を公開することになるかと思われ、しかし2~3年後にどれだけが残っているのかは「ちょっとした見もの」でもありますね。
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参照: Hindenburg Research, The Wall Street Journal, Lordstown Motors