| むしろなぜ真っ先にビートルをEVで復活させなかったのかは謎だが、よく考えるといろいろな課題もあるようだ |
ただし時間がたてばたつほど復活が難しくなるのかも
さて、フォルクスワーゲンCEO、ヘルベルト・ディースは比較的露出を好むことでも知られますが(おそらくはテスラCEO、イーロン・マスク氏の影響)、つい先日、画像掲示板レディットのAMA(Ask Me Anything=なんでも聞いて)セッションに登場し、ファンからの質問に忌憚のないコメントを返しています。
その中で話題となったのが「ビートルの(EVとしての)復活で、ファンからの「ビートルの復活はあるか」という質問に対し、「我々の歴史の中で最もエモーショナルなクルマは、間違いなくマイクロバスです。このアイコンを復活させることが、私たちの最優先事項でした。しかし、そうですね、私たちのスケーラブルなMEBプラットフォームを使用すれば、その他にも多くのエモーショナルなクルマの再現が可能なのです」とコメント。
これはつまりビートルの復活を暗に認めたと考えてもよく、そしてこれまでにも何度か「ビートルはEVで復活」という噂が出たことからも「実際に復活の可能性が高まった」ということになるのかも。
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フォルクスワーゲンはすでに「VWバス」を復活させる
なお、フォルクスワーゲンにとってビートル(タイプI)、そしてVWバス(タイプII)は「もっとも有名なアイコン」ということになりそうですが、このうちVWバスについては上述の通りピュアEVとして(MEBプラットフォームの採用にて)復活することが決まっており、フォルクスワーゲン自身、過去のアイコンを新しい時代に蘇らせることについては前向きだと考えられます。
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その理由としてはやはり「EVという未知の世界に踏み入れるにあたり、全く新しいモデル名を使用するよりは、よく知られた名を使用したほうが認知されやすい」からだと思われ、これはルノーが「5(サンク)」をEVにてリバイバルするのと同様の手法だといえそう。
となるとフォルクスワーゲンが「4輪では、世界で最も売れたクルマ」であるビートルを放っておくわけはなく、むしろ今まで具体的な復活の話がなかったのが不思議に思えるほど。
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その理由は定かではありませんが、「ニュービートル」、その後継である「ザ・ビートル」の販売が芳しくなかったことが考えられ、これがフォルクスワーゲンにとってのトラウマとなっているのかもしれません。
加えてもうひとつ、考えられる理由としては「そのボデイ形状に由来し、積載効率が高くない」こと。
当時こそビートルは画期的なパッケージングを持つクルマではあったものの、その後に自動車の形がどんどん多様化するに際し、ビートルの形は「人と荷物を運ぶのに最適」とは言えない形状になってしまったのだと考えています。
よってフォルクスワーゲンは、エレクトリックブランド「ID」を立ち上げる際、「VWバス(ID.Buzz)」「ハッチバック(ID.3)」「クロスオーバー(ID.6)」という、「人とモノが乗る」ボディ形状を選んだのかもしれません。
そしてID.3について、フォルクスワーゲンは「思想的に」ビートルの再来だとも述べていて、これは「国民車」という意味だとは思われますが、やはりID.3をビートルだと受け止めることは難しく、よってフォルクスワーゲンはID.3とは別に「見た目がビートルな」エレクトリックカーを用意している可能性もありそうです。
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ただしそこには問題も
ただ、そこには大きな問題があり、上述の通り、ビートルのボディ形状は現代において、そしてエンジン搭載位置を考慮しなくてもいいEVにおいては「非効率的」であること。
さらにビートルは「2(3)ドア」なので乗降性にも優れないということになり、「3ドアハッチバックや、5ドアクロスオーバーに対して優位性を発揮できない」わけですね。
唯一、優位性を発揮できるとすれば「そのスタイル」ということになりますが、現代では「見た目だけ」でクルマを売ることは難しく、(オリジナルの)ビートルのスタイリングに忠実であろうとすればするほど「販売の可能性を自ら狭めてしまう」ことにもなりかねません。
そこでふと思うのが、「じゃあ人が乗りやすいように4ドアにすればいいじゃない」ということですが、これについてはすでに中国のORAが実行しており、もしかするとフォルクスワーゲンとしては「しまった、先を越された・・・」という感じなのかもしれません。
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参照:Reddit