| テスラは何かと問題視されることも多いが、その都度迅速に、かつ適切な対応を行っている |
おそらくこの問題が販売に与える影響は「限定的」
さて、数年前に「中国にて、テスラ車が中国の政府関連施設に乗り入れることができなくなった」と報道され話題となりましたが、どうやらその規制はまだ継続されていて、しかしそれどころかさらに厳しくなっており、今回「中国の一部の空港にてテスラ車の乗り入れが禁じられた」とのニュース。
発端となったのは米国と中国の間の緊張によって「軍事基地全体でテスラの使用禁止が引き起こされた」という一件で、その後1年間で同様の禁止を実施する会場の数が増加し、現在では政府関連機関、地方自治体機関、高速道路運営会社、展示センター、文化センターにまで拡大しています。
テスラは撮影したデータを蓄積し製品改良に役立てている
なお、こういった「禁止」については米国に対する「報復」「示威行為」とも受け止めることが可能ですが、一応の言い訳が設けられており、それは「テスラ車に備わるカメラが、機密性の高い地理や景観情報を入手する恐れがあるため」。※ほかにも高性能カメラを装着しているクルマは多いが、テスラの場合、カメラで撮影した映像を集積し、それを自律運転など機能向上のために活用しており、データが収集されていることが問題となっている
たとえば上海のグランドホールカンファレンスセンター近くに住む住民らは「テスラ車の敷地内への立ち入りが禁止されており、テスラ車では通行すらできない」と語っていて、これらの会場でイベントを主催するオーガナイザーは「参加するためにテスラ車を運転したりレンタルしたりしないよう」参加者に事前に通知するのが通例となっているのだそう。
このほかにもいくつかの例が報じられ、たとえば昨年成都で開催された世界大学競技大会では、一部のルートにおいてテスラ車の通行が制限(禁止)され、四川省の拘置所ではテスラ車のドライバーは駐車場にさえ入れず、少なくとも50メートル離れた場所に駐車しなければならないことが明らかになっています。
おなじく昨年、岳陽市の空港もテスラ車の立ち入りを禁止し、セントリーモード(駐車中に異常がないか監視するモード)では地元地域の地理や風景に関する機密情報が撮影され漏洩する可能性があると主張。
なお、テスラはこういった状況に対応すべく中国全土の安全保障への懸念を鎮める方法を模索しており(テスラは意外と様々な対応が素早い)、2023年8月には現地データセンターを開設し、中国で販売される車両によって生成されたすべてのデータが現地に保管され、それが国外に漏れることはないとコメントしたことも報じられていますね。
なお、今回の報道についてアナリストが語ったのは以下の通り。
このセキュリティ上の懸念はおそらくテスラの中国国内販売に大きな影響を与えることはないでしょう。国家安全保障の複雑さは依然として続いていますが、テスラの確立された評判と安全保障上の課題への積極的なアプローチを考慮すると、これらの問題は地元企業との競争に最小限の影響しか与えないと考えるのが妥当です。ただ、中長期的には、中国の電気自動車市場は外国の電気自動車よりもBYDのような地元ブランドを支持しているように思えます。 中国の飽和したEV市場での熾烈な競争を考えると、この地元の利点は特に重要であり、対応が遅れた海外の自動車メーカーは即座に取り残されるおそれがあります。
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参照:NIKKEI ASIA