| ただしこの傾向は市場によっても差異があり、欧州ではEVの販売が伸びている |
こういった状況を受け、ボルボは戦略のシフトを迫られることになりそうだ
さて、現在自動車メーカー各車が2024年第1四半期の業績を発表していますが、その中で鮮明になっているのが「EVの失速とPHEV/ハイブリッドの人気化」。
これについては昨年末から報じられている傾向ではあるものの、各社の業績発表により、その傾向が「鮮明になり」、そして「数字によって裏付けられた」わけですね。
実際に「EVのみ」を販売するテスラの納車台数は8.5%減って2022年以来初の減少へ、そしてEVの販売がテスラ以上に減少したBYDにおいては「PHEVの販売が好調」となっており、もはやこのトレンドは疑いようがないレベルに達していることがわかります。
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EVブランドへとシフトを急ぐボルボでも同様の状況に見舞われる
そして今回はボルボが2024年第1四半期における業績を発表しており、それによると「EV販売台数は前年同期比で65%減少したが、プラグインハイブリッドモデルは45%増加した」。
売上高そのものは17%増加しているので「好調」ということにはなりますが、その成長を牽引したのはPHEVということになり、ボルボが本来推進したかったEVの販売が大きく減っていることは衝撃的。
パワートレーン別の販売状況だとEVがわずか970台(前年は2,782台)、PHEVは7,118台、マイルドハイブリッドは5%増の8,088台だとされるので、ガソリンエンジンを積むクルマの販売が圧倒的ということが理解できますが、ボルボの第1四半期報告はおそらく米国の購入者の現在の傾向を最も明確に示していると考えられます。
このほか、トヨタはプリウスはじめハイブリッド車の販売が非常に好調だったと報告しており、フォードもマーベリックハイブリッドが77%増加したことを筆頭にハイブリッド車の販売記録を樹立。
現時点で唯一の例外はヒョンデであり、ヒョンデは逆に「2024年第1四半期にEVの販売が大幅増(ただしこれはラインアップの拡充が主要因であり、拡充が一旦完了した後の動向を見る必要がある)」。
ただしヒョンデにおいてもハイブリッドおよびプラグイン ハイブリッド仕様のツーソンが販売記録を打ち立てたてており、やはりガソリンエンジンを積むモデルの人気が高いことに変わりはありません。
参考までにですが、この状況は地域によっても差異があるようで、北米では上述の通り「EVの人気が衰えてガソリン車(ハイブリッド、PHEV含む)の人気が再燃」、しかし欧州でのボルボの販売に目を移してみると「EVの販売が48%増加して31,237台に、しかしPHEVの販売が2%減少」しており、欧州市場においてはEVの人気が根強いこともわかります。
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