| ただし同日はニューヨーク市場全体が大きく下げており、むしろテスラ株は「あまり下げなかった」ほうだとも考えられる |
いずれにせよ、状況が厳しいことに変わりはなく、今後の対策に注目が集まる
さて、テスラが2024年第1四半期の販売台数につき「366,810台であった」と発表。
これは2023年第1四半期に比べて8.5%減少した数字であり、テスラが前年同期比で販売台数を落とすのは2020年初頭以来です。
ただ、救いとしては、2023年にテスラを抜いて「もっとも多くのEVを販売したメーカーになった」BYDの納車台数が前年比でテスラよりも大きく減って300,114台にとどまったことで、テスラは2024年4月現在では「暫定で、世界で最もEVを販売している自動車メーカー」へと返り咲いているわけですね。
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テスラの実績はアナリストの予想を大きく下回る
なお、アナリストの事前予想では「テスラは455,000台を納入するだろう」と言われていたため、この366,810台というのは予想を遥かに下回る台数であり、つまり「状況は想像していたよりはずっと良くない」ということを示しています。
そのため、この報告がなされた時点でテスラの株価は6%ほど下落し、しかしその後に多少持ち直して3.5%安にて取引を終えていますが、昨日の米国株式市場は「期待していた利下げが遠のいた」ことで全般的に下落しており、よってテスラ株の値下がりは必ずしもこの業績によるもののみではないと考えるのが公平です(実際のところ、値下がり幅だけを見ると、フェラーリのほうが大きく下がっている)。
テスラは今回の報告に加え、販売台数が奮わなかったことについていくつかの説明を行っており、具体的には「新型モデル3の導入に向けたフリーモント工場の改修、紅海紛争による輸送の迂回、ベルリン工場の(放火による)閉鎖」などが原因だとしています。
テスラは「販売の伸び悩み」についても説明するが
しかし、これらの要因だけでは「前年同期に比較して47,000台の落ち込み」を補足するに不十分であり、さらにこれらの要因の大半が解消するであろう第2四半期に「持ち直す」保証もなく、やはり今後の見通しは「明るくない」のかも。
実際のところ、今年はじめにイーロン・マスクCEOは「2つの大きな成長の波の間にある」「不確実な時代を迎えており、その時代に全速力で突っ込むことはできない」ともコメントしていて、これまでの急成長の調整段階に入っているのは間違いないものと思われます。
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