| フェラーリはすでにピュアエレクトリックパワートレーンの発する「サウンド」に関する特許を複数出願済み|
フェラーリが予告した「初のエレクトリックハイパーカー」発表まであと1年
さて、フェラーリが「エレクトリックハイパーカーを発売する」と公言し3年が経過していますが、その発表予定は来年(2025年)に迫っています。
ただしこのピュアエレクトリックハイパーカーについては(開発がある程度進んでいることが示唆されているものの)フェラーリからはほとんど情報が公開されておらず、よって出力はもちろん駆動方式、エレクトリックモーターの数など「全くの未知の状態」となっているわけですね。
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各自動車メーカーは「EVのサウンド生成」に苦慮
ただ、フェラーリが「ほとんど」このEVに対して語っていないといえど、唯一言及されているのがその”サウンド”。
ガソリンエンジンが奏でるサウンドは、ある意味でフェラーリの生命そのものとも考えられますが、電気自動車はそもそも(その構造上)静かな乗り物で、さらにエレクトリックモーターでは(ガソリンエンジンのように)シリンダー数や排気量、構造によるサウンドの差異を出すことができず、よってどのEVも(何もしなければ、モーターが回転するだけの)似たようなサウンドになってしまうと言われます。
もちろんこれはハイパフォーマンスカーメーカー、とくにスポーツカーメーカーにとっては許容しがたい事実であり、そのためヒョンデ・アイオニック5はガソリンエンジンやジェット機のサウンドを模した疑似走行音を内蔵したり(さらに車体後部から音が出ており、音圧も高いのでガソリン車でないと見破ることは難しい)・・・。
ポルシェもなんらかのサウンドを生成し、パテントとして申請したことも(しかし特徴的ではないとして却下されている)。
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そしてこういったスポーツ性を重視したEVだけではなく、一般的なEVにおいても安全上の理由から「近接走行音(車両接近警報装置)」の内蔵が(殆どの国や地域で)義務付けられており、EVを製造するあらゆる自動車メーカーが疑似サウンドへの対応、そしてその排他性の演出の必要性に迫られているといった状況です。
フェラーリのEVが発するサウンドは「本物」である
そしてフェラーリに話を戻すと、フェラーリは自社のピュアエレクトリックカーの発するサウンドについて「本物であり合成されたものではない」と改めて言及。
これまでにフェラーリが出願した特許からわかっているのは「エレクトリックモーター含むパワートレーンが回転する際のノイズを利用して」EV専用のサウンドを生成することですが、今回フェラーリにて製品マーケティングおよびマーケティングインテリジェンスディレクターを務めるエマヌエーレ・カランド氏が「フェラーリのサウンドは常に本物である」とカーメディアのインタビューに対してコメントしています。
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この「本物」が具体的に何を意味するのかまでには言及されていないものの、フェラーリはそのサウンドを「単に乗員に対して刺激を与えるもの」としてだけで捉えているわけではなく、パワートレーン(この場合はエレクトリックモーター)の回転数や状況をドライバーに対し”聴覚を用いて”判断できるようにし、適切なアクセルワークができるようにしたいと考えていることが特許からも明らかになっているので(ただしエレクトリックモーターのトルクは均一なので、ガソリンエンジンほど回転数にシビアに対応する必要はない)、他の多くの自動車メーカーのように「雰囲気重視」の生成サウンドとは根本から取り組み方が異なると考えていいのかもしれませんね。※出願された特許がすべて市販車に実装されるわけではない
なお、ランボルギーニは先日、「同社のエレクトリックカーはガソリン車を電動化しただけではない」と語り、高い電圧を利用した(サスペンション含む)車体制御技術、非常に細かい単位(短い間隔)でトルク制御をできるというガソリンエンジンにはないエレクトリックモーターの特性を生かした「ピュアエレクトリックカーでしかなし得ない領域に踏み込む」と語っていますが、フェラーリもまた同様に、ピュアエレクトリックハイパーカーによって新しい次元へと足を踏み入れることになりそうですね。
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参照:Drive