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電動化時代のランボルギーニはどうやって「個性」を維持?「もはや加速は重要な要素ではありません。我々は電動化車両のみがなしうる方法で興奮を生み出す未来を思い描いています」

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| 現在、車両の挙動やサウンド含め、多くの自動車メーカーが「自社のEVはどうあるべきか」を模索中 |

ランボルギーニは現在、おおよその「解」を得ているようだ

さて、ランボルギーニはすでにレヴエルト、そしてウルスSEという”プラグインハイブリッド”を発売しており、8月にはウラカン後継スーパーカー(テメラリオ)の発表を控えている、という状態。

そしてこのテメラリオもまたプラグインハイブリッドとなるため、ランボルギーニは「PHEVによるフルラインアップ」を完成させることになり、これはフェラーリともマクラーレンともアストンマーティンとも全く異なる展開と考えて良いかと思います。

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ランボルギーニはどうやってランボルギーニらしい乗り味を実現しているのか?「我々には明確なDNAがあり、これを満たすことでウルスもレヴエルトも同じ乗り味になります」

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電動化時代のランボルギーニの「個性」とは?

そしてランボルギーニは初のピュアエレクトリックカー「ランザドール」をコンセプトとしてプレビューしており、ここから一気に電動化を進めることになるものと思われますが、気になるのが「(完全)電動化時代においてもランボルギーニの個性を発揮できるのか」。

つい最近、リマックCEO、メイト・リマック氏が(自身がエレクトリックハイパーカーのパイオニアであるにもかかわらず)「もはやエレクトリックカーはクールではなく、富裕層の興味をひくものではない」と発言して衝撃を与えていることを鑑みるに、”興味を惹くEV”を作ることは非常に難しいものと思われます。

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そこで今回、ランボルギーニにて最高技術責任者であるルーベン・モア氏が語ったのが「ランボルギーニは、自社のピュアエレクトリックカーについて、ガソリン車の置き換えだと捉えていない」ということ。

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つまり、ガソリンエンジンをエレクトリックパワートレーンに置き換えて「単に速いスーパーカー」を作るつもりはなく、エンジンのサウンドや振動、そしてトランスミッションが存在しない世界において、それでも「人々がこぞって買い求めたくなるようなスーパースポーツ」を目指さねばならず、そのためには常に新しい方法を模索し、かつ進歩的でなくてはならない、とも。

その時代のスーパースポーツは、とんでもない加速だけでは十分ではありません。個性は他のものによって定義されます。私たちはいくつかのクールなアイデアを持っており、今後1、2年で私たちの考えを発表します。それは0-100km/hの加速タイムのような指標とはかけ離れています。それ(加速タイム)は楽しさを生み出すものではありません。

ランボルギーニは「加速」とは別の楽しみを追求

つまりルーベン・モア氏は「加速タイムを重要な指標だとみなしていない」ということになり、これは現在の”ほとんどすべての人が加速をパフォーマンスの重要な指標と見なしている”風潮とは逆行する大胆な発言かもしれません。

実際のところ、これまでスポーツカーメーカー、スーパーカーメーカーは加速タイムや最高速といった目に見える数字を競ってきたという歴史がありますが、ルーベン・モア氏はこういった加速や最高速については「ガソリン時代には重要であったかもしれないが、ピュアエレクトリックカーでそれを追求することは過去の模倣である」と述べています。

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たしかに現代だと、「とんでもない加速」は多くの(新興企業でさえ)自動車メーカーが実現することが可能な指標であり、これを追求することにはさほど意味がなく(ガソリン時代では、これを追求することが困難であったからこそ意味があった)、同氏は「エレクトリックモーターにしかできないこと」「電動化車両でしかできないこと」によって新しい興奮が生み出される未来を思い描いているもよう。

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そのひとつが「ハンドリング」であり、しかし現時点では詳細については触れられておらず、しかし「アクティブホイールキャリア技術と、エレクトリックシステム特有の瞬時の電力管理を組み合わせることで、新しいレベルの操縦性につながる可能性がある」と言及しています。

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参考までに、ランボルギーニと同じくフォルクスワーゲングループに属するポルシェは「エレクトリックカー(PHEVもしくはEV)にしかできない」大容量バッテリーを用いたサスペンション制御を新型パナメーラ以降のモデルに投入しており、このほかにも様々な(電動化時代に対応したものと思われる)特許を出願していることが明らかに。

新型ポルシェ・パナメーラのアクティブサスが異次元過ぎた。4輪それぞれを自由に伸縮させてボヨンボヨンとダンスを踊る。さらにスマホによってリモート操作も【動画】
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ウルスSEを見ても分かる通り、ランボルギーニはフォルクスワーゲングループ傘下のブランドが持つ技術やコンポーネントを使用することが可能なので、ポルシェはじめ、ほかの「系列」ブランドの資産を活用することも十分に考えられ、これらを組み合わせて独自のセッティングを行うことで「異次元の」ハンドリングを実現するのかもしれません。

ポルシェ
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もうひとつ参考までに、電動化車両の差別化については多くの自動車メーカーが苦慮していると見え、メルセデス・ベンツやBYDは「タンクターン」、NIOやいくつかの自動車メーカーは「ダンス」を披露。

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今後はもっと様々な(自動車本来の走行性能には関係のないような)”特技”を持つクルマも登場するものと思われますが、こういった多様化もまた「電動化がもたらした恩恵」だと考えて良さそうですね。

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参照: Top Gear

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