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フェラーリの名を冠した最初のクルマは「オープンカー」だった。それ以降フェラーリは様々な形でオープンを進化させ、「電動開閉機構」は当初の1/2以下の時間で作動するように

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| そしてフェラーリのオープンモデルにはいつの時代であっても特別なポジションが与えられている |

さらに近年では「V12+オープン」も復活し、ますますオープンの魅力が拡大することに

さて、そろそろ夏本番といったところですが、このシーズンにあわせてフェラーリがオープンモデルに関するコンテンツを公開。

フェラーリ創業者、エンツォ・フェラーリ自身もオープンカーに対して愛着を持っていたとされ、そのせいかフェラーリのオープンモデルは常に「特別な存在」です。

世代によっては限定モデルでしか提供されなかったり、スペシャルモデルにてクーペとオープン両方が提供される場合であってもオープンのほうが常に生産台数が少なかったり、「一応は」カタログモデルであっても一見さんには購入が許されない場合があるなど、とにかくフェラーリはオープンモデルに対して常に排他性をもたせてきたわけですね。

ここでフェラーリの代表的な、そしてエポックメイキングなオープンモデルを見てみましょう。

フェラーリの「最初の」クルマがそもそもオープンだった

フェラーリの名を冠した最初のクルマは125S(1947年)ですが、この125Sは見ての通りオープンカー(レーシングバルケッタ)。

屋根がないのは当時のレーシングカーの伝統のひとつですが(当時はシートベルトもなく、事故の際にはドライバーが車外に投げ出されたほうがむしろ安全だとされていた)、これは1920年代〜1930年代から続く伝統であったようですね。

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そして1948年に登場した166インテル カブリオレ(3台しか製造されていない)は「格納式ファブリックルーフ」を持つ最初のフェラーリで、ボディワークはスタビリメンティ・ファリーナ社によるもの。※ピニンファリーナがフェラーリのボディワーク / デザインを手掛けるようになったのは1951年である

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このフェラーリ365GTS(1969年、生産20台)は「室内から手で折りたたみできる」ファブリックルーフを持ち、クリップ式のトノカバーにて折りたたんだルーフをスマートに隠すという手法を採用しています。

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デタッチャブルトップを持つフェラーリ308GTSは1977年にデビューしており(いわゆるタルガトップであるが、タルガはもともとポルシェが自社の取り外し式ルーフを持つ911に与えた名称である)、取り外したパネルはシート後方に格納でき、この構造はピニンファリーナとの共同開発によって実現されたものだとされています。※フェラーリにとってのデタッチャブルトップは1972年のディーノ246GTSではじめて採用されている

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フェラーリの「オープントップ」は進化し続ける

1995年にはフェラーリF355 スパイダーが登場し、これはフェラーリでは最初の「半自動ソフトトップを装備したクルマ。

そのデザインは1,800時間にもおよぶ風洞実験によって磨き上げられ、トップをおろしたときでも空力性能と美しさを損なわないように配慮されていますが、オープンにするには手動にてロックを解除し、その後にはボタンを押せば「そこからは自動で」開閉が行われます(30秒)。

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「変わり種」として触れておかねばならないのが2005年の「スーパーアメリカ」。

ルーフが反転するという「レヴォクロミコルーフ(フィオラヴァンティが特許を持っている)」を備え、このガラス部分には電気的な刺激によって濃度を得ることができるという”エレクトロクロミックガラス”を採用しています。

「この発想はなかった」というか、「まさかこれを実装するとは」という驚きの構造ではありますが、オープン時には(クローズ時にはバーチカルリアウインドウとしてして機能する)小窓がウインドウデフレクターの役割を果たして室内への風の巻き込みを防ぐなど、なかなかに高い機能性と合理性を持つもよう。

ちなみに開閉(というか反転)にかかるのは11秒です。

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2008年に登場したカリフォルニアはフェラーリで初めてリトラクタブルハードトップ(RHT)を採用したオープンカーで、その開閉にかかる時間はわずか14秒。

なお、ハードトップを採用するメリットとしては防犯性や快適性の向上といったものもありますが、なにより高速走行時に「ソフトトップのように膨張しない」という機能面での特性が挙げられます。

そしてこのRHTは2011年に登場する458スパイダーにも受け継がれることになるわけですね。

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そして興味深いのは、2023年に発表されたローマ・スパイダーにて再びソフトトップへと(F430スパイダーぶりに)戻ったこと。

その理由は明かされていないものの、構造の簡素化や軽量化、トランクスペースの拡大等が考えられ、しかし何よりも大きいのは「見た目がエレガントだから」なのだと思われます(実際、ローマ・スパイダーでは多様なカラーのトップを選べる)。

なお、高速走行時に「トップが膨張する問題」については、一部にハードパネルを用いる(その上に布を貼っている)ことで解決しているようですね。

ちなみにこのソフトトップ開閉にかかる時間は13.5秒です。

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現在のところ「最新の」オープンモデルが12チリンドリA。

フェラーリはローマ / ローマ・スパイダー、812スーパーファスト / 812GTS以降、フロントエンジンモデルであっても「クーペとオープンモデル両方をラインアップする」傾向が強くなっており(フェラーリはこれを”ツインズ”と呼んでいる)、そしてこの手法は12チリンドリ / 12チリンドリAでも健在です。

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こうやって見ると、フェラーリはオープンモデルを様々な形で進化させてきたということがわかりますが、おそらくはこれからも進化し続けるはずであり、そして電動化時代のオープンモデルは現在の(エキゾーストサウンドを楽しめるという)オープンモデルとはまた違った魅力が与えられることになるのかもしれません。

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参照:Ferrari

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