
| いくつかの対策は評価できるが、対応は「遅きに失した」のかもしれない |
現在、トランプ関税によっていまだかつてない「先行き不透明な」時代に
さて、テスラが第1四半期の決算発表会を開催し「総収益が213億ドルから193億ドルに減少」「総利益も第1四半期に13億9000万ドルから4億900万ドルへと激減」したとコメント。
既に販売台数が(悲観的なアナリストの予測すら下回って)大きく減少したことが明らかになっているため、今回の決算内容については驚きではないものの、これら数字は低迷した販売だけでなく、業界全体の不確実性やグローバルサプライチェーンの課題を改めて示しているのかもしれません。
Q1 2025 Shareholder Update → https://t.co/sXBSeLibSL
— Tesla (@Tesla) April 22, 2025
Highlights
– Changed over production lines of the world's best-selling vehicle across 4 factories simultaneously – an industry first
– It's also outpacing all past ramps (LFG)
– Model 3, Y & Cybertruck now drive… pic.twitter.com/xqO95tSHyd
ただしいくつかの「明るい」材料も
なお、米国企業の経営者は「株価」も評価の対象に入るため、こういった決算発表の場では「株価対策」を示すことが多く、もちろん今回テスラも(大きく下がった)株価を回復させるためにいくつかの明るい材料を用意しています(業績が下がったことは隠せないが、希望を示すことで投資家の不安を払拭する)。
具体的には(延期されたともウワサされていた)「より手頃な価格のモデル」の発売が目前に迫っているというもので、テスラによれば「2025年前半に展開される」。
ただしその詳細については明かされておらず、テスラは、これらのモデルが「次世代プラットフォームの側面と現在のプラットフォームの側面を活用し、現在の車両ラインナップと同じ製造ラインで生産される」とだけ述べています。※一部ではモデル3とモデルYの簡略化されたバージョンであることが示唆されている
さらにテスラはサイバーキャブの生産が2026年に開始される予定であると発表し、次世代ロードスターが「開発」段階から「設計開発」段階に移行したことも明らかに。※ただ、実際にいつ発売されるかについての詳細はまだ明らかにしていない。すでにロードスターが最初に発表されてから7年半が経過している
イーロン・マスク、DOGEでの業務を縮小へ
なお、もっとも「株価に影響しそうな」ニュースが「イーロン・マスクが政府効率化部門(DOGE)への関与を縮小し始める」ということ。
現在のテスラの不振を招いた大きな原因が「トランプ政権への接近と、それによる自身への利益誘導」だとされ、そして今回はその問題が「解決されるであろう」ことを示唆したわけですね。
加えて、これまで「政治」に割いていた時間を本業である「テスラ」に割くことが可能となるため、これは朗報だと言っていいかと思います。
2025年第1四半期のテスラの業績は「散々」であった
今回テスラが発表した業績について詳細を見てみると、第1四半期において、テスラの総収益は193億ドルに減少し、2024年第1四半期の213億ドルから9.4%の減少へ。
昨年の第2四半期、第3四半期、第4四半期と比較すると、その落ち込みはさらに顕著で、それぞれの収益は255億ドル、251億ドル、257億ドルであったことからも、いかに2025年第1四半期の業績が「ふるわなかったか」がわかります。
さらに悪いことに、テスラの自動車部門の収益は、2024年第1四半期の173億ドルから今四半期には139億ドルへと19.6%減少し、2024年第3四半期の200億ドルをピークに、そこから30.5%も減少しています。
ただし収益の減少は、このEVブランドの株主が懸念する可能性のある唯一の要因ではなく、というのも総利益は71%も急落し、2024年第1四半期の13億9000万ドル、2024年第4四半期の21億ドルから、今回4億900万ドルにまで落ち込んでいるからで、「販売台数や売上が減ると、その分だけ利益が減る」のではなく、「販売台数や売上が減ると、それよりも遥かに多くの利益を失う」ことがわかります(これはどの業界でも同じであり、販売が減っても経費は減らないため、あるいはむしろ経費が増加する場合があるためである)。
Q1 2025 Earnings Call https://t.co/wCEPPfA1s7
— Tesla (@Tesla) April 22, 2025
なぜテスラはこんな状況に陥ったのか?
この状況につき、テスラは収益減少の原因を、第1四半期における納車台数の明らかな落ち込みにあるとしています。
今月初めに報じられたように、テスラの納車台数は33万6681台で、前年同期比13%減となっていますが、同社によると、納車台数の減少の一部は、新型モデルYの生産開始に向けて4つの工場をアップデートしていたことに起因しており、加えて先四半期に車両の平均販売価格が下落したとも述べています。
さらに全体的な見通しについては以下のように述べ、直近での業績回復を期待することは難しいのかもしれませんね。
「自動車およびエネルギー市場における不確実性は増大し続けており、急速に変化する貿易政策が、テスラおよび同業他社のグローバルサプライチェーンとコスト構造に悪影響を与えています。この状況は、政治的な感情の変化と相まって、短期的には当社の製品の需要に大きな影響を与える可能性があります。私たちは、これらの逆風の中、現実世界のAIの専門知識を活用し、複数のフォームファクターとユースケースにわたって自律走行ロボットをお客様に提供し、自社工場で使用することを含むビジネスモデルの拡大に引き続き注力していきます。」
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参照:Tesla