
| テスラ・サイバートラックは「相当な金額の在庫」が積み上がっていると言われるが |
納車が進まないのは「生産上の問題」ではなく「需要の低迷」か
発売前に「予約台数100万台超」として話題をさらったテスラのサイバートラック。
しかし予約は実売にはつながらず、現在その販売は低迷しているとも伝えられ、たしかに現在の納車台数は「100万台には程遠い数字」です。
発売当初、サイバートラックはその構造に起因して生産が難しいということが公式に言及されており、よっていまだ需要を満たすだけの生産がなされていないという可能性もあるものの、「生産は順調に行われ、しかし売れずに在庫が膨らんでいる」という話も聞かれ、しかしこれについては当然ながらテスラが何も語らないために「真相は闇の中」。
その一方で、イーロン・マスクは次の夢である人型ロボット「オプティマス(Optimus)」の量産に力を注いでいるという報道もあり、テスラは(競争の厳しいEVに見切りをつけ)自動車メーカーから「次のレベルへ」と脱皮を図ろうとしているのかもしれません。
テスラの派手なスタートにも今や”陰り”
テスラがいかにして自動車業界をひっくり返したかについては今さら語る必要もなく、しかしまずテスラについての「基本的なこと」は以下の通り。
- テスラは普通の自動車メーカーではありません。
- サイバートラックは普通のトラックとは一線を画す存在です。
- イーロン・マスクは、どんなテーマにも意見を持ち、それを大声で発信する普通ではないCEOです。
サイバートラックの注目度は抜群、しかし販売は
話題性という点においてサイバートラックは「大成功」を収めたと言ってよく、その発表時から今に至るまで、そのデザインや構造上の斬新さ、テロの標的など毎日のように何かしら話題になっています。
しかし、その販売状況は冷え込んでいるというのが実情で、発売直前の2023年10月、イーロン・マスクCEOは「予約は100万件を超えた」「需要は異常なほど高い」と豪語していたものの、実際には、2023年11月13日から2025年2月27日までのサイバートラックの納車台数は46,096台であることが(リコールの届出内容から)明らかに。
これを予約件数に対する「コンバージョン率」で見ると5%未満。業界標準(2〜16%)の範囲内ではありますが、「異常な需要」と呼ぶには程遠い数値です。
そしてこの「テスラにしては低いコンバージョン率」を示すものとして、今年1月には、テスラがオースティン工場でサイバートラックのラインから一部従業員をモデルYの生産へと異動させたという報道もあり、これによると「従業員への通知の中で、”ビジネスニーズに合わせて、モデルYとサイバートラックのスケジュールを見直す”と伝えていた」。
通常、このような異動は新型車に限って行われるもので、現場でも「異例」と捉えられたようですね。
テスラは「ロボット(オプティマス)」に注力
そしてテスラはこういった「サイバートラックの見込み違い」に対処するということなのか、ロボット(オプティマス)の生産を加速させる意向を示しており、3月20日の社内ミーティングでは、自動車よりもロボット「オプティマス」への言及が中心だったという話も。
このミーティングにて、イーロン・マスクCEOは「今年中にオプティマスを約5,000体生産する予定だ。それはローマ軍団一つ分だ。想像するとちょっと怖いよね。ロボット軍団がズラリと並ぶわけだから。“おお…”ってなるよね」とコメントし、さらに翌年は「おそらく5万体」、その後「年間1億体を生産するかもしれない」と、話はどんどんスケールアップしたもよう。
もちろんこの話が現実になるとは思えず(イーロン・マスク氏は年間2000万台の電気自動車を生産するという計画を打ち出していたが、それは実現できそうにない)、そしてロボット分野においてもEV同様、中国勢の追い上げがどんどん激しくなっており、ともするとサイバートラックと同じように「見込み違い」が発生する可能性が懸念されています。
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