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| ケーニグセグCEO「フル電動ハイパーカーの需要は極めて低い」 |
ピュアエレクトリックハイパーカーに「魂が欠如」?
スウェーデンのスーパーカーメーカー、ケーニグセグのCEO、クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏が「フル電動ハイパーカーに対する需要が極めて低い」と発言し、業界に波紋を広げています。
これは英Top Gearのインタビューにて語られたもので、彼はEVが抱える根本的な課題を明確に指摘することに。
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「EVはロボットのよう」──感情に訴えるクルマの価値とは
「市場にはこのクラスのフル電動車に対する購買意欲がほとんど存在しない」と述べたクリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏。
その背景には、EVの「無機質さ」や「感情に訴える部分の欠如」があると言います。
クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏はエレクトリックハイパーカーをして「まるでロボットのようだ」と発言し、加速やスムーズさといったEVの利点は評価する一方、「ドライバーが感じる鼓動、熱、サウンド、シフトショックといった感覚的要素が失われてしまっている」とも。
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つまり、内燃機関車が持つ“生きている感覚”がEVにはないという点を問題視しているわけですが、「EVからは”生きている”という感覚を受け取ることができない」ということなのかもしれず、その無機質な物体とは対話ができないと考えているのかもしれません。
実際、ケーニグセグは現在「全モデル完売」状態
あわせてクリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏は「(エレクトリックハイパーカーに対する要望がない一方で)自社のガソリンエンジン搭載ハイパーカーの需要は旺盛」だといい、同氏によれば、「現在はすべてのモデルが完売しており、今後12〜18カ月以内に新型車を発表するまでは受注を再開しない」。※もちろん、その新型モデルも電動モデルではないと見られています。
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EV懐疑派はケーニグセグだけではない
ケーニグセグのようにEVに懐疑的な立場を取るメーカーは現在増加の一途を辿っており、電動ハイパーカーの魁である「リマック」CEOのメイト・リマック氏は「誰もエレクトリックハイパーカーを欲しがらない」と述べ、実際にブガッティ・リマックからは「V16」という途方もないエンジンを積むトゥールビヨンを発売済み。
先日ZR1Xを発表したシボレーも「ピュアエレクトリック版コルベットの投入は当分ない」と述べていますが、フェラーリそしてランボルギーニも初のピュアエレクトリックカーの発表を「後ろ倒し」、さらにマセラティはMC20の電動版「フォルゴーレ」の計画を白紙に戻すなど、多くのスポーツカーそしてラグジュアリーブランドが電動化計画を見直すか、失敗を認める事態へと発展することに。
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まとめ:EVハイパーカーの未来は「厳しい」との見方が主流に?
環境規制の強化により、自動車メーカーは一斉にEVシフトを進めてきましたが、スーパーカー/ハイパーカーの領域では依然として「感情に訴える走り」が求められており、EVがそれを実現するにはまだ課題が多いのが実情です。
ケーニグセグやリマックのようなトップメーカーが慎重な姿勢を見せていることは、今後のEV開発に大きな影響を与えることになるかもしれません。
ただ、一方でぼくが思うのは「現在はEVが無機質な存在に感じられるが、将来的には有機的(生きている)」に感じられるようになるのではないか」ということ。
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たとえば、ちょっと前までの「チャットボット」はとんでもなくロボット的であったものの、現在だと「さほどロボット的ではなく」、少し先には「人間よりも人間的な」チャットボットが登場するかもしれません。
そう考えるならば、現在「冷たい存在」に感じるEVではあるものの、将来的には(意図的に振動などを発生させるなどの懐古趣味的な方法ではなく)EVならではの方法にてドライバーに親しみを抱かせたり、興奮を掻き立てさせる存在となり、(人との付き合いに疲れAIと対話する人々が増えているように)こぞってEVを求めるようになる時代が来るのかもしれません。
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参照:Top Gear