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キャデラック「EVを販売するか、ディーラー権剥奪かどちらかを選べ」。全米880ディーラーのうち150が「EVは売らない」と決断

2020/12/12

キャデラック・リリック

| 別に「EVを売りたくないわけではない」ようだ |

北米にて、キャデラック(GM)本部とディーラーとの衝突がちょっとした話題に。

いったいどういうことかというと、今年9月にGMは全米880のキャデラックディーラーに対し、EVを販売するために20万ドル(2000万円ちょっと)の投資を行うか、もしくはディーラーとしての権利を放棄しディーラーをGMへと売却するかという選択を迫っていますが、現時点で150ものディーラーが「そんな費用をかけてEVを販売するくらいなら、もうキャデラックのディーラーやめるわ・・・」という姿勢を示しているようですね。

キャデラック・リリック
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自動車ディーラーの運営はなにかとお金がかかる

なお、自動車ディーラーの運営はけっこうお金がかかり、というのも「本社側の都合で」さまざまな投資を強いられるため。

たとえばここ最近では各社とも(スマートフォン対応のため)エンブレム(ブランドロゴ)を変更していますが、これに伴って看板を変更したり、印刷物(封筒や名刺など)、ウエブサイト、その他諸々を新しいロゴへと変えてゆく必要があるものの、この費用は本社ではなく「ディーラー持ち」。

このほか、ホンダだとNSXについて「パフォーマンスディーラー」でしか販売ができませんが、この権利を獲得するためにはNSX専用の整備設備を導入する必要があり、その中には「カーボンブレーキディスクの水分を飛ばすための釜」といった、ほかのクルマにはまったく使えないものも含まれます。

こういったスペシャルツールは数百万円にものぼると言われますが、正直ディーラーとしては「とうていモトがとれない」のかもしれません(NSXについては、スパシャルツールを導入したのに、1台もクルマが売れていないディーラーがあるかもしれない)。

EVの販売はさらにお金がかかる

そしてEVの販売についてですが、これを売ろうとなると専用のツールが必要となるのはもちろん、2トンを超えるのがザラなEVを持ち上げるための(そして通常は必要がない)リフトの設置も必要で、さらには充電器の設置も要求されます。

加えて従業員の研修も必要となり、おそらくトータルでの投下資本はGMの提示した「20万ドル」では収まらないのだとも思われ、ここが各ディーラーが「EV販売のための投資を拒否」する理由なのかもしれません。

なお、GMがディーラーを買い取る金額は30万ドルから100万ドルだとされますが、規模の小さなディーラーだと年間に販売するキャデラックの台数は50台以下の場合もあるといい、そういったディーラーにとっては投資を行ったとしても、とうてい回収の見込みが立たないのだとも考えられます。

実際のところ自動車ディーラーは車体を売ることでは大きな利益にならず、ノルマをクリアしてようやくもらえるインセンティブ、整備などで入庫するクルマの整備・メンテナンス費などでなんとかやって行ける場合も多いと聞きますが、なかなか実情は大変なのでしょうね。

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