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米経済誌「誰もがテスラの実力を見誤った。リスクを負って世界を変えようとするビジョンを理解できなかったのだ」

2018/11/01

| テスラは、あらゆる困難が克服可能であることを示した |

米Forbesにて、「テスラの実力を正しく評価したものは誰もいなかった」という記事が掲載に。
これは非常に興味深いもので、テスラについては経済の専門家、自動車業界の重要人物すらも「早晩テスラは破綻する」と認識しており、テスラの第二四半期、第三四半期における好調さ、とくに最近発表された第三四半期における「膨大な利益」はだれも予想できなかったものである、というもの。

そして問題はそれだけではなく、「誰もテスラ(というよりもイーロン・マスク)の本質を見抜けなかった」ということについて触れています。

誰もがテスラの将来性について懸念

テスラはそのクルマの出来栄えについては誰もが認める素晴らしさを持っていることは間違いなく、元GM副社長で、ダッジ・ヴァイパーなど数々のマニア受けするクルマを手がけてきたボブ・ラッツ氏も「テスラはじき潰れる・その前にテスラのクルマを購入しておいたほうがいい」と発言。

さらにアップルをスティーブ・ジョブズとともに立ち上げたスティーブ・ウォズニアック氏も「テスラのクルマは素晴らしいが、イーロン・マスクの言うことは何も信じられない」とコメント。

これはおそらく、一見すると軽率かつ奇人にも見えかねないイーロン・マスクの発言を揶揄したものだと思われます。

つまり誰もが、そして自動車産業の重鎮、アップルの共同創業者から見ても「テスラは危険」だという判断を行っていたということになり、誰もがイーロン・マスクCEOの計画を”バカげている””実現不可能”と一蹴していたわけですね。

しかしながら現在に至るまでテスラ神話は失われることはなく、むしろテスラ・モデルSの販売台数は同セグメントにおいてポルシェ、BMW、メルセデス・ベンツを超え、モデル3はすでに欧州ではレクサスを超えるまでの勢いに。

https://intensive911.com/?p=165725

さらにNHTSAのテストでも「テスラは自動車史上、もっとも安全なクルマ」と評価されていて、品質や販売、安全性ともに、誰もが「無理」だと考えたことを実際にテスラはやってのけた、ということに。

モデルSが登場し人気を得た後も、多くの自動車メーカーは冷ややかな目で見ていたものの、今では既存・新興自動車メーカー問わずテスラをベンチマークとしているのは既知のとおりで、ポルシェのその新型EV「タイカン」のテストにはテスラ・モデルSを帯同させていることも何度か報じられています。

↓現在テスラの株価は業績を反映して急騰中



テスラは「世界を変えようとした」

Forbesでは、テスラ及びイーロン・マスクCEOのビジョンを「リスクを負いながら世界を変えようとしている」と表現していますが、これを多くの人々が理解できなかったということになり、しかしテスラのクルマを購入する人びとは「イーロン・マスク同様に世界を変えたがっている」人びとであるとも分析。

ここが大きなポイントだと考えていて、多くの自動車メーカーはEVを「エコで経済的な乗り物」だと考えていたのに対し(だから何かを我慢しなくてはならない車が多かった)、イーロン・マスク氏は自社のEVを「ゴージャスで革新的なガジェット」だとして売り出したこと。

よって通常のEV用充電器がイオンモールに設置されているのに対し、テスラの”スーパーチャージャー”は高級ホテルに設置されているわけですね。

EVは買うときは高く、売るときは安い乗り物なので、そもそも節約しようと考える人には「価格的に選択肢に入らない」という性質を持っており、そこでイーロン・マスクCEOは視点を変えて「富裕層相手に商売をしよう」と考えたのだと思われます。

よって高価にはなるもののバッテリー容量を増やしてガソリン車以上の航続距離と加速性能を持たせ、「ガソリン車にできることは何でもテスラにできる」として売り出したのかもしれません。

実際のところ、テスラがあまりに簡単にそれをやってのけたように見えたので、多くの起業家が「自分にもできる」とEVスタートアップを立ち上げ、中には莫大な資金援助を受けた企業もあるものの、実際に発売できたのは一握りで、さらにそれを「継続できそう」なのはおそらく皆無。

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そういった様子を見ても、いかにテスラの行ったことが困難であり、しかしそれを継続し、更に成長させていることの偉大さがわかろうというものです。

よって、これからテスラを追うメーカーは、「EVをクルマとして」考えるべきではなく、自分の生活や、ひいては世界を変える乗り物であるとその顧客に信じさせることができなければ、テスラに打ち勝つことは難しいのかもしれません。

このあたりは最近テスラ・モデルXに試乗して改めて考えさせられた部分で、イーロン・マスク氏個人の過激な言動とは裏腹に、テスラのクルマは「そのドライバーやオーナーに対し、安心し、くつろげるように設計されている」と感じた次第。

イーロン・マスクは人類への貢献意欲が強い

なお、イーロン・マスク氏はもともと人類への貢献意欲が強い人物で、10代の頃から「インターネット」「クリーンエネルギー」「宇宙」が人類に進歩をもたらすと考えており、インターネット分野ではペイパルの前身となる会社を立ち上げて成功させた後に売却。

その後に「テスラ」でクリーンエネルギーを実現し、その後は「スペースX」で史上初の「再利用可能なロケット」を作ってみせたわけですね(そもそも、イーロン・マスク氏はこの偉業を達成した人物であるということを忘れてはならない)。

さらにテスラでは「パワーウォール」や「ソーラールーフ」といった製品を相次いで発売し、まさに世界は変わりつつある状態だと言えそう。

ちなみに現在「ボーリングカンパニー」で行っている”地下ハイパーループ”計画についても、多くの人々が理解不能だとは思えるものの、これも完成してみれば「世界を変える」レベルのプロジェクトなのかもしれません。

いつも何か新しいことを行おうとする人は、その新しさが他の人には理解できないがゆえにバカ扱いされたり批判の対象となりがちですが、Forbesがこう結んでいるとおり、”何かを「できるはずがない」と言う人は、それを実行している人の邪魔をすることをやめるべき”なのだと思います。

スティーブ・ジョブズが「点と点はいつか結びついて線になる。重要なのは、それらが結びつくと信じて歩き続けること」と語っていますが、今になってようやくイーロン・マスクが実行してきた「点と点」が結びついている時期なのかもしれませんね。

ちなみに「テスラ」で検索するとネガティブな記事ばかりが出てきており、これもForbesの指摘するとおり、誰もテスラを理解できていないということの証明だと言えそうです。

VIA:Forbes

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