| コストを考えなければ現実的であるように思えるが |
テスラCEO、イーロン・マスク氏がテスラ社の他に経営する「ボーリング・カンパニー」ですが、ここではアメリカの地下にトンネルを堀り、そこへ高速の輸送システム(ハイパーループ)を構築する、という計画を進めています。
なんせ地下に穴を掘るということで作業のリスク、完成後のリスクも大きく、関係省庁から認可を得られるのかどうかが焦点となっているようではあるものの、今回は「自宅とハイパーループとを結ぶ」という案が公開に。
これが実現できれば夢のようだ
この計画はまさに画像のとおりで、自宅からエレベーターで地下に降り、そこからプラットフォームにクルマを載せて移動し、移動した先でまたエレベーターで地上に出る、というもの。
https://intensive911.com/?p=92179
現在、各企業が渋滞緩和策、移動の効率化を目的に様々な輸送手段を考えていて、その多くは「空」。
空飛ぶ車をはじめとして空を飛ぶというもので、しかしぼくは、これについて「きっと実現できないだろう」と考えています。
垂直離着陸の難しさはオスプレイ(の事故)でも理解できるものの、オスプレイでもあれだけモメているものを民間が導入できるわけはなさそう。
オスプレイは相当な質量を持ちますが、空飛ぶクルマはそれよりもずっと軽く、そして一人や二人乗りの機体であれば外部の影響を受けやすく、かつ発着所で複数が頻繁に発着していると「別の個体からの影響」を受ける可能性もあり、容易に墜落してしまうだろう、と考えているのですね。
加えて発着所への行き来や待ち時間、荷物の持ち運びなどを考えると「(地上を走る、普通の)クルマで渋滞している方がマシ」なんじゃないかとも思いますし、巨額を投入して施設や機体を導入したとしても、一回住宅地にこれが墜落したり、テロに使用されるようなことがあればドローンと同じく「行き場を失うこと」になりそう。
ドローン宅配についても、一時は各業界がこぞってそのプランを掲げたものですが、現在では規制のためにそれも難しく、よって「空飛ぶ車」もドローンのように期待はずれに終わってしまうのかもしれません。
地下を利用しようと考えたのはイーロン・マスクのみ
イーロン・マスク氏はテスラ、ボーリングカンパニーのほかにも「スペースX」社を経営しており、先日、ロケットとしては史上はじめて「宇宙に行って戻ってきて、ちゃんと着陸」に成功。
さらに民間の機体としてはじめてISSにドッキングしたり、という実績を持っているものの、にもかかわらず「空」は危険だと判断していることになります。
そのため、各社が「空飛ぶ車フィーバー」に湧く中で、同氏は唯一「地中」に活路を見出していますが、これについては今後の成り行きを見る必要がありそう。
地中はその作業コストが非常に高く、災害時に破損すると復旧コストもかなり高いのが問題ですが、それは「空飛ぶ車」実用化のための設備投資も同じかもしれず、”どっちもどっち”かもしれません。
とにかく、ぼくはあと数年たったとき、各企業とも正気に戻り、「なんで空飛ぶ車なんて考えたんだろうな。いい出したのはどこのどいつだ」といった風潮になるのでは、と考えています。
VIA:The Mercury News