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テスラの株価が「生産台数が予測に達しなかったことで」急落!6月以来最大の下げ幅を記録し、S&P500指数の中でも「もっとも下がった銘柄」に

2022/10/04

テスラ

| それでもボクはこの機会にテスラ株を仕込んでおこうと思う |

現時点ではテスラには不安材料も多いが、長期的には明るい材料も少なくない

さて、テスラの第3四半期の世界出荷台数がアナリストが予想した35万8000台を下回り、34万3830万台となったことで株価が大きく下落することに。

その株価の下落幅は8.6%に達し、これは6月3日以来最大の下げ幅でもあり、S&P500指数の中でも「ぶっちぎりのワーストパフォーマンス」。

テスラは第3四半期に入った後に極度のインフレ、そしてサプライチェーン問題に直面したわけですが、とくにテスラの場合はその影響が大きかったのだと思われます。

というのも、多くの自動車メーカーが「地域ミックス」での自動車製造を行っており、これはどういうことかというと、(例えば)一つの自動車を作るのに、日本で作ったエアコン、米で作った変速機、中国で作ったエンジン、欧州で作った車体といった「異なる地域で作った異なるパーツ」を組み合わせるケースが多くなっています。

ただ、エアコンを作っているのも日本だけではなく他の地域でも作っていたりするので、どこかの地域での生産ができなくなれば、代わりに「他の地域で作った」同じユニットを持ってきて車両を組み立てることができるわけですね。

ただしテスラは「その地域内で完結」する方式を採用

しかしながらテスラの場合、コスト縮小を目的として、その地域で販売するクルマはその地域で生産し、そしてその地域で生産する自動車のパーツはその地域で調達するようにしています。

現在テスラはカリフォルニア州フリーモント、中国・上海、ドイツ・ベルリン、米国テキサスに車両組立工場を持っていますが、基本的にサプライヤーは現地にて選別しているもよう。

そこでテスラが直面した問題の一つが「中国(上海)でのロックダウン」。

テスラの上海工場はそれまで最も生産台数が多く、これまでの成長もこの上海工場に依存していたわけですが、工場がロックダウンによって閉鎖されて生産ができなくなり、その後なんとか稼働再開にこぎつけたものの、今度は「周辺サプライヤー、そのまたサプライヤーもロックダウンの影響を受けているのでパーツが手に入らない」という問題も。

テスラ・モデルY

じゃあカリフォルニアなどほかの工場からパーツを持ってくればいいじゃないという話にもなるのですが、これは(明確にアナウンスされていないものの)どうやらテスラは工場ごとに異なる工作機械を使用し、異なる設計を用いて組みた立てているようです。

どういうことかというと、最初の工場であるフリーモントと、その次の工場である上海とでは、同じモデル3であっても異なるプレス機などを用いて生産しているので、フリーモントと上海で作る「同じ」モデルYであってもパーツの互換性が著しく低い、ということですね。

さらに言えば、その後に建設されたベルリン、テキサスでは「ギガプレス」「ギガキャスト」を導入しているので、さらに上海とは異なる設計にて車両を製造しているということになりますが、この目的はもちろん生産の効率化。

そして生産の効率化のためにたゆまぬアップデートを繰り返し、そにれよって生産台数を伸ばしてきたテスラではあるものの、その効率化と急速なアップデートが裏目に出てしまったのが今回の「サプライチェーンの混乱」ということに。

テスラ・モデルY
テスラの1台あたり生産コストは2017年に比較して半分以下の43%にまで下がっていた!そのほとんどは製造工程と設計の最適化によってなされている

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なお、この問題の前に起きた「チップ不足」についてだと、これは物理的に機能するパーツではないのでソフトウエアによって対応が可能であり、そのためテスラはうまく(外の自動車メーカーに比較して)乗り切ったわけですが、物理的なパーツに互換性がなければどうしようもなく、言うなればその地域限定での「ワンストップ型」生産によって効率化を図るという戦略の限界が見えたということなのかもしれません。

テスラ

テスラは「生産の現地化」から脱却を図る

そしてテスラはこういった限界に対しての反応が早く、これまでの方法で無理とわかると、そして上海工場での生産増加が無理とわかるやいなやフリーモント工場での生産を増加させることに決め、様々な方法にて(その方法は公開されていない)生産を拡大し、実際のところ第3四半期のうち「最後の3ヶ月」は過去最高の生産台数になったという報道も。

テスラ
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ちなみにイーロン・マスクCEOは、第3四半期の生産台数の発表時に「私たちの生産量が増え続けるにつれて、これらの物流のピーク時における車両輸送能力を、合理的なコストで確保することがますます困難になっています。第3四半期には、より均等な車両製造の地域ミックスへの移行を開始し、四半期末には輸送中の車両が増加しました」とコメントしており、事態が好転に向けて動いていることも示唆。

しかしながら、一方では「需要が減ったのでは」という見方、競合他社の台頭、まだまだ続くサプライチェーンの混乱など不確定要素は大きく、第4四半期の生産台数を見てみないと性格な状況の判断は難しい、と考えています。

テスラ
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なお、今年1~9月までのテスラの納車台数は約45%増にとどまり、目標としている年平均成長率50%には及ばないものの、長期的に見るとプラスの材料も多く、ぼくとしては婚外の下げを「チャンス」と捉え、さらにテスラ株の買い注文を入れています(円安なのがちょっと嫌だけど)。

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参照:Yahoo! Finance

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