>テスラ(TESLA)

テスラ・サイバートラック生産遅延の本当の理由は「4680バッテリーの開発遅れ」との報道。テスラは韓国LGやパナソニックに開発の協力を依頼していたようだ

テスラ

| テスラはサイバートラックの遅延を「優先順位の問題」としていたが |

ただしサイバートラックの生産が開始される今、ある程度問題が解決したと考えていいのかも

さて、テスラは今年の夏からようやくサイバートラックの生産を開始する予定ですが、このサイバートラックは2019年末に発表されており、本来の予定であれば2021年に発売される予定であったものの、様々な事情によって発売が延期されていたわけですね。

イーロン・マスクCEOはその遅れについて「まずはモデルYの生産を急ぐ必要があること、ギガ・テキサスやギガ・ベルリンの稼働を開始させる必要があり、サイバートラックの生産はその次の優先順位だから」だと説明しています。

テスラ
イーロン・マスクCEOが「サイバートラックは夏に生産開始」とテスラの決算報告会にて正式にコメント!ついに「もっとも儲かるテスラ」が納車されることに

| ただし増産が行われるのは2024年以降、2023年の生産は限定的 | サイバートラックは様々な状況をひっくり返す「ゲームチェンジャー」となりうる さて、先日はテスラの2022年第4四半期および通年 ...

続きを見る

実際にはサイバートラック生産開始遅延は「4680バッテリーの開発遅れ」

しかしながら今回、ロイターが報じた内容によると、サイバートラックの発売延期の真の理由は「搭載を予定していた4680バッテリーの開発の遅れ、それによる生産上の問題」。

テスラは以前から4680バッテリーセルの素晴らしさを説いており、このバッテリーセルは、セルの外形寸法(直径46mm、高さ80mm)にちなんで命名されていて、テスラはこの新しい電池をネバダとベルリンで製造し、モデルYやサイバートラックなどの車両に使用したいという計画を持っていたと言われます。※この4680バッテリーについては、リマックやBMWもその派生バージョンを取り入れ、もしくは取り入れる予定を持っている

イーロン・マスクCEOによると、このバッテリーセルは、サイズが大きいこと(テスラは現在2170個のセルを使用している)、新しいドライコーティング電極プロセスなどにより、最大50%のコスト削減が可能だとされていますが、テスラは、負極(マイナス電極)のドライコーティングには成功していたものの、効率向上の大部分が期待される正極(プラス電極)のドライコーティングに苦戦していたといい、その問題の解決に際して日本、韓国、中国のパートナーに助けを求めていた、というのが今回の報道の骨子です。

テスラとLGとが新型バッテリー工場を建設し「バッテリー需要逼迫」に備える

テスラが36億ドルを投資してネバダに2つの生産設備を建設すると発表!ひとつは新型バッテリー「4680」製造用、そしてもうひとつは「セミ」製造用
テスラが36億ドルを投資してネバダに2つの生産設備を建設すると発表!ひとつは新型バッテリー「4680」製造用、そしてもうひとつは「セミ」製造用

| テスラはどこまでも生産設備を拡大する計画を持っているが、そのぶんだけ「需要を作り出せるのか」には不安が残る | もちろん、イーロン・マスクCEOは需要まで見越しての行動なのだと思われる さて、テス ...

続きを見る

テスラは「4680バッテリー」の開発完了を待つことを選択

報道によると、カリフォルニア州フリーモントで製造された第1世代の4680セルは、エネルギー密度の目標を達成することができなかったといい、この時点でテスラは、より小型のセルやエネルギー密度の低い化学組成の使用も検討したものの納得の行く結果が得られず、よって4680バッテリーのエネルギー密度の目標達成が可能となる、ならびに準備が整うまで待つ(つまりサイバートラックの生産を延期する)ことを選択したのだと報じられています。

そしてテスラは自前での問題解決ができなかったため、4680バッテリーの供給を韓国のLGエナジーソリューションと日本のパナソニックに依頼することになり、さらには材料費を下げるため、中国の寧波ロベイ・ニューエナジーと蘇州東山精密製造にも協力を依頼したとされますが、たしかにこういった内容はこれまで断片的に報じられたニュースの内容とも合致します。

パナソニックが米国・カンザスと日本・和歌山にてテスラ向けのバッテリー製造設備を開設!EV製造は今後バッテリーをいかに安価に、安定的に調達できるかが鍵に
パナソニックが米国・カンザスと日本・和歌山にてテスラ向けのバッテリー製造設備を開設!EV製造は今後バッテリーをいかに安価に、安定的に調達できるかが鍵に

| EVは参入障壁が低いと思われたが、ここへきてバッテリー製造工場をまかなえるだけの資本の有無が勝敗を分けるかも | テスラに日本製のバッテリーが積まれるとなるとちょっと安心 さて、パナソニックが米国 ...

続きを見る

なお、テスラは2023年末までに4680バッテリーセルの生産量を500%増加させることができると確信しており、テスラは将来の自動車製造におけるバッテリーのボトルネックを回避することが現時点で最も重要な課題だと捉えていると報じられ、まさに「バッテリーを制するものは世界を制す」といったところなのかもしれません。

合わせて読みたい、バッテリー関連投稿

テスラ・モデルY
テスラがモデルYに廉価版を追加とのウワサ。「4680」新型バッテリーを搭載して生産コストを引き下げてキアやヒョンデ、フォードなどのライバルに対抗か

| ただし廉価版を追加したとしてもテスラの「1台あたり利益」はさらに上昇する可能性がある テスラは常に生産効率向上、コスト引き下げを考えている さて、受注減少が報じられているテスラですが、「近日中にモ ...

続きを見る

中国のEV/PHEV専業メーカー、BYDの成長が止まらない!自社でバッテリーの生産を行うことからEVの量産ができ利益も高く、生産台数ではすでにテスラを抜いたもよう
中国のEV/PHEV専業メーカー、BYDの成長が止まらない!自社でバッテリーの生産を行うことからEVの量産ができ利益も高く、生産台数ではすでにテスラを抜いたもよう

| 現在の状況では「バッテリーを持つものが」もっとも強いようだ | さすがはウォーレン・バフェットが投資を行うだけのことはある さて、中国のBYD(比亜迪股份有限公司)の躍進ぶりが恐ろしいと話題に。こ ...

続きを見る

リマックが最新の「46ミリバッテリーセル」を使用しバッテリーパック内の容積率を75%にまで改善することを目指すとの報道。なおテスラは64%、ポルシェは63%
リマックが最新の「46ミリバッテリーセル」を使用しバッテリーパック内の容積率を75%にまで改善することを目指すとの報道。なおテスラは64%、ポルシェは63%

| リマックも相当に進んでいるが、やはりテスラもかなり進んでいる | まだまだバッテリーは改良の余地を大きく残しているようだ さて、リマックがバッテリーパックのエネルギー密度を高めるため、より大きな直 ...

続きを見る

参照:Reuters

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->テスラ(TESLA)
-, , , , , ,