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テスラの業績が予想を下回り営業利益が半分に。株価は12%下落、しかし現時点ではここからの回復は難しく暗黒時代に突入か

テスラ

| 現在、すべての状況がテスラに対して「向かい風」である |

すでにテスラの先行者利益は消失してしまったと考えていい

さて、テスラが2023年10月~12月(第4四半期)の業績報告を発表し、営業利益が前年同期比で約半分に減少したことが明らかに。

これを受けてテスラ株が当然ながら大きく下落し、前日比では-12.13%を記録しています。

テスラの2023年第4四半期は-47%

テスラが発表した内容によると、まず2023年第4四半期の売上高は251億6700万ドルだとされ、前年同期比ではかろうじて+3%を記録するものの、これは市場予測の256億ドルを下回る数値です。

そして営業利益についてだと20億6400億ドルを得ていますが、これは昨年の39億100万ドルに比較して-47%という大きな減少となっており、これが投資家に嫌気されてしまい今回の大幅安になったものと予想されます。

なお、営業利益が大きく下がったのは「値下げ」を行ったためだと見られ、しかし車両価格を「半額に」引き下げたわけではなく、それでもここまで大きく営業利益が削られてしまうということは、テスラといえども車両販売価格に占める原価の割合がまだまだ大きいのだとも考えられます。

そしてもちろん「値下げ」を行ったのはBYDはじめNIOやNETA、シャオペンなど中国から(安価な)競合が続々登場し、その対抗措置として主要市場である中国国内で価格を引き下げる必要が出てきたこと、そして米国や欧州では既存自動車メーカーが数多くのEVを投入してきたことでテスラの存在感が薄くなってきたこと、そしてたびたび報じられる「EV市場の成長そのものが減速している状況」に対応し需要を喚起する必要があったため。※イーロン・マスクCEOは常々、利益を犠牲にしても販売台数を追求すると述べている

テスラ
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ただ、中国市場については「テスラが最初に示したEVならではのメリット(主にインフォテイメントシステムや車両制御)」が後続によってコモディティ化されてしまい、テスラが構築したアドバンテージが大きく失われている状況だと考えてよいかと思います。※つまり、値下げだけでは対抗できない

そして欧米市場においては、インフレによって多くの人々が高価な電気自動車を購入する余裕がなくなっており、これによって(EVよりは安価な)ハイブリッドやPHEVが選ばれる傾向が強くなっていて、あらゆる環境がテスラにとっての「逆風」と言えるかもしれません。

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これからテスラはどうなる?

そこでテスラの今後ですが、正直なところ明るい材料はほとんどなく、むしろ状況が悪化する可能性も。

このままBYDがEV市場における支配力を強めることは間違いなく、テスラが発売を公言している「低価格のEV」の投入がなされるよりも先にBYDが(テスラがまだ普及していない地域に)その勢力を拡大してしまうとテスラとしては市場に入り込む余地がなくなってしまい、そして「非常に利益が大きい」とされていたサイバートラックの生産台数にも限りがあるとされるため、こちらが業績に与えるインパクトも大きくないものと見られます。

そしてAI技術の販売(自動運転)やロボット(オプティマス)の実用化もまだまだ先になると考えてよく、ここからプラスが見込めるのはスーパーチャージャーくらいかもしれません。

加えて、アメリカの大統領がトランプ氏に変わったりすると、現在の(バイデン大統領が推進する)EV普及政策が撤回される可能性もあり、この1-2年はテスラにとって「かなり苦しい時期」となる可能性もありそうです。

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参照:Tesla(X)

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