| たしかにこの決定は公平性を欠いているとボクも思う |
クリーンな未来を目指すのであれば、それを実現する可能性が高いテスラを優遇すべきである
さて、ドナルド・トランプ次期大統領は「就任当日に連邦EV税額控除を廃止する」とコメントし話題になっていますが、この連邦EV税額控除とは、アメリカで製造するEVを購入する場合、最大で7,500ドルを割り引くというもの(アメリカ国内でのパーツ調達率も控除率に関係する)。
これ(廃止)によってEVの販売が落ち込むことが予想されますが、その落ち込みを多少なりとも回避しようとしているのがカリフォルニア州で、同州のギャビン・ニューサム知事は「ドナルド・トランプ大統領選出が7,500ドルの連邦EV税額控除を廃止する場合、州内での電気自動車(EV)購入を引き続き支援するため、クリーンビークル・リベート・プログラムを再開する」と発表することに。
このクリーンビークル・リベート・プログラムは2023年に終了したものの、運営期間中に59万4千台以上のEVが購入され、4億5600万ガロン以上の燃料が節約されたという統計もあるため、同プログラムの復活はまさに「英断」といっていいかもしれません。
なぜかテスラはこの「EV購入政策」から除外
なお、このプログラムでは、EV含むゼロエミッション車(ZEV)の購入に最大7,500ドルの助成金が提供されるというもので、低所得者層向けとして66,000件以上の助成金が発行され、合計で3億5400万ドルが支出されていますが、この助成金は主にバッテリー電動車(BEV)向けではあったものの、プラグインハイブリッド車(PHEV)や燃料電池車(FCEV)にも提供されており、幅広く「環境にやさしいクルマ」を対象としています。
ただ、今回「復活」するかもしれないクリーンビークル・リベート・プログラムにおいて、なぜか「ゼロエミッション車」の製造販売でもっとも大きなシェアを持ち、環境改善に貢献しているはずのテスラが「助成金支給対象から外される」ことが報じられ、当然ながらテスラCEO、イーロン・マスクCEOはこれに強く反発することに。
Even though Tesla is the only company who manufactures their EVs in California!
— Elon Musk (@elonmusk) November 25, 2024
This is insane. https://t.co/EhVeG2TYqT
ギャビン・ニューサム知事は今回のステートメントの中において、カリフォルニア州のクリーンエアとグリーンジョブへのコミットメントを強調し、「もしトランプ政権が連邦の税額控除を廃止するなら、私たちはそこに介入する。私たちはクリーンな交通未来をけして諦めない。 汚染しない車をもっと手ごろな価格で人々が運転できるようにする」と述べ、その一方では「再開するリベートプログラムでは市場シェア制限が設けられ、新たな自動車メーカーが根付く市場環境を作ることを目指している」とも語っており、つまり大きな市場シェアを持つテスラが補助金の支給対象外となり、より規模が小さな新興自動車メーカーが優遇されることが明らかに。
これは正直「奇妙な話」で、というのもシェアが大きいということはそれだけ人々がテスラを望んでいて、なおかつテスラのクルマは充電エクスペリエンスにも優れており、「クリーンな未来を目指すなら、むしろテスラを優遇すべき」と考えられるから。
イーロン・マスクCEOは自身の公式Xにて「テスラはカリフォルニアでEVを製造している唯一の会社なのに、この決定は”狂っている”」と真っ向からこの決定を避難しており、雇用の観点から見てもカリフォルニアの企業を除外対象とするのは間違っているように思えます。
ただ、ギャビン・ニューサム知事の決定には(多分に)テスラおよびイーロン・マスク氏に対する非難の意味が込められているのだとも考えられ、「この数ヶ月、ドナルド・トランプ次期大統領と親しい関係を構築してきた」イーロン・マスク氏を快く思っていないのかもしれません。
ドナルド・トランプ次期大統領は、まだ7,500ドルの連邦EV税額控除を廃止するかどうかを正式に確認していませんが、指揮下にあるチームはその廃止に賛成していると報じられ、イーロン・マスクは以前、税額控除の廃止がテスラよりも競合他社により多くの影響を与える(間接的にテスラが優位に立つ)と主張しており、よってギャビン・ニューサム知事は、今回のドナルド・トランプ次期大統領の(税額控除廃止)決定がテスラに対する戦略的な影響(テスラを優遇する)を示唆している可能性がある、と考えているのでしょうね。
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