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EV普及に暗雲?英国での公共充電費用がガソリン価格と接近。どうやらEVの充電に税金を課し、その税金をもってガソリン小売価格を引き下げているようだ

2022/09/29

テスラ

| 完全にEV普及政策とは真逆、本末転倒な政策でもある |

こういったことが続くようであればEVに乗る=損をするという考えにも繋がりかねない

さて、現在世界中で様々なモノやサービス、材料のインフレが続いていますが、英国にて「電気自動車の充電コストが42%上昇した」との報道。

これはガスや電気の卸売価格の高騰の影響によるものですが、英国王立自動車クラブ(=RAC、そんな組織があるのか・・・)によると、64kWhのバッテリーパックを搭載した平均的な家庭用電気自動車を80%まで急速充電するには、32.41ポンド(日本円で約5041円)支払わなければならなず、これは5月から9.60ポンド(1409円)、1年前からは13.59ポンド(2287円)の増加なのだそう。

現時点では電気自動車に乗ることのメリットが大きく削られる

なお、この価格を「一般的なガソリン車の燃費」「一般的な電気自動車の電費」に当てはめると、仮に両者が同じ距離を走行した場合、電気自動車の充電コストは、(ガソリン車での)ガソリン代に比較して「72%ほどのコスト(ガソリン車だと1,000円で走れるのと同じ距離を走るのに、電気自動車だと700円を要する)」だといい、この700円は(計算上)1年前は445円で済んでいたという計算にもなるので、どんどんガソリン車と電気自動車のランニングコストが接近しているということになりますね。

ただ、ここで「ガソリン価格も上がっているから、ガソリン車と電気自動車のランニングコストの比率は一緒なんじゃないの?」と思ってしまいがちではあるものの、実はそうではなく、なんと「ガソリン価格の上昇を抑える(引き下げる)」財源を確保するため、ディーゼル燃料の値上げが行われ、さらには電気自動車の公共充電設備での充電に対して20%の税金が加算されている、とのこと。

つまりはガソリン車のドライバーを保護するためにディーゼル車、電気自動車のオーナーが「ガソリン代を負担している」ということになり、正直これは時代の流れと全く反するものと考えられます。

そしてこれはある意味「不公平」ということで、英国王立自動車クラブは「フェアチャージ」キャンペーンへの参加によってこの税金を引き下げようという呼び掛けを行っているものの、政治家からは逆に「30%へと引き上げるべし」という提案も出ていて、「電気自動車の普及促進策はどこへ行ったのか・・・」という感じでもありますね。

さよならBMW i3。9年そして25万台の生産が終了し、一つの時代を終える。ただしその精神は新たなBMW、ミニの電気自動車に引き継がれ、同時に新しい時代を迎えることに

ここで一気に電気自動車の普及が脅かされる事態に

このフェアチャージキャンペーンを推進するクエンティン・ウィルソン氏によれば、「電気料金は昨年に比べて平均140%上昇しており、政府が公共充電に課す付加価値税も20%に達ししているため、電気自動車の普及が脅かされています。政府は、充電コスト上昇に対処し、公共充電器への課税を抑制し、充電ポイント運営者のインフラ整備を支援する必要がある。そうしなければ、ゼロエミッションの未来、きれいな空気、エネルギーの独立を長年にわたって約束してきたことが無に帰すことになる」とコメントしており、この発言は”まさに正論”。

幸いなことに、この「20%」の税金がかかるのはあくまでも公共充電設備を利用した場合であり、自宅で充電を行う場合は5%で済むとのことですが、電気自動車所有者のすべてが自宅で充電できるとは考えられず、よって納得できない人、ワリを食う人もたくさんいそう。

電気自動車はそもそも購入金額が高く、しかし多くの距離を走る人であれば一定のところでモトが取れる可能性もあり、それを見込んで電気自動車の購入に踏み切った場合は「見込み違い」ということになり、さらに電気自動車は売却時にも(一般に)価格が低いので、「こんなはずじゃなかった」と枕を涙で濡らす人が出てくるのかもしれません。

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参照:Royal Automobile Club

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