| フェラーリのワンオフモデルは「量産モデル」ではなしえない芸術的なディティールを持っている |
ちなみにオーナーは台湾人、このカラーリングは台湾国旗ともマッチ
さて、フェラーリが新しいワンオフモデル、「フェラーリSP51」を公開。
ぼくの理解だと、フェラーリは「通常モデル」「スペシャルモデル」「周年記念限定モデル」「少量限定モデル」「ワンオフモデル」に分かれているといったものであり、通常モデルだと一般の人に幅広く門戸が開かれているカタログモデル(296GTBやローマなど)で、スペシャルモデルは488ピスタ、812コンペティツォーネのようにフェラーリの重要顧客のみがオーダーできる権利を持つモデルであり、周年記念モデルはF50やラフェラーリ・アペルタのような「フェラーリ何周年記念」の折に発売されるモデルであってやはりフェラーリの重要顧客しかオーダーできず、少量限定モデルはモンツァSP1/SP2、デイトナSP3のようなICONAシリーズでさらに限られた顧客のみが入手でき、ワンオフモデルはフェラーリのVIP上位中の250人のみがオーダー可能なシリーズだと捉えています。※カタログモデルであっても、発売した直後のオープンモデル、今だとプロサングエも一般の人だとオーダーすることが難しい
いったいどれくらいフェラーリを購入すればワンオフモデルを購入できるレベルまで行けるのかはわかりませんが、現在カースト最下位に属するぼくにとって縁がない話であることは間違いありません。
参考までにですが「フェラーリ買ったよ」というと「えっ、売ってもらえたの・・・?」という声がよく聞かれるので、世間一般的には「(通常モデルであっても)フェラーリは簡単には売ってもらえない」というイメージが持たれているもよう(それと同時に、多くの人が、ぼくがフェラーリにふさわしい人物ではないと考えているということが改めて理解できた)。
-
フェラーリのワンオフモデルを注文できるのは上位250人のVIPのみ。価格は3億円から、それでも納車されるまでには「5年待ち」
| ワンオフモデル製作依頼は増加傾向 | 現在フェラーリの車種構成について、F8トリブートや812スーパーファストが該当する「SPORT」、そしてGTC4 Lusso/GTC4 Lusso T、ポルト ...
続きを見る
フェラーリSP51はこんなクルマ
ずいぶん話がそれてしまったのですが、それだけこのワンオフモデルについては価値があるということをぼくは伝えたかったわけで(他意はない)、このフェラーリSP51は台湾の重要顧客のために作られたクルマなのだそう。
ベースとなるのはフェラーリ812GTSで、簡単に言うと812GTSを「ロードスター化」したということになりますね。
もちろんこの車両のデザインはフラビオ・マンツォーニ氏率いるフェラーリのデザインチーム「チェントロ・スティーレ」によって行われ、812GTSのイメージを残しつつもボディパネルのほとんどを作り変えることでエレガントでクラシカル、しかし先進性も感じさせるスタイルへと進化させています。
なお、フロントフードはには独特の「H」のような形状が見られますが、これは日本市場展開50周年記念モデルとして作られた「J50(下の画像)」にも見られるデザイン。
参考までにですが、フェラーリのワンオフモデルはフロントフードの形状が市販モデルとは大きく異なり、SP3JCにもその傾向が見られます。
-
フェラーリの最新ワンオフモデル「SP3JC」公開!透明ボンネット装備、デザインイメージは「ポップアート」
| ボディカラーのイメージは”ポップアート” | フェラーリが新たなるワンオフモデル、「SP3JC」を発表。 フェラーリは今後「ICONA」「GT」「スペシャル」「スポーツ」4つのシリーズを展開すると ...
続きを見る
なお、ワンオフモデルの多くが「オープン」を採用するのは、もともとフェラーリにとってのオープンモデルが(レーシングカーや初期のモデルを除くと)非常に特別な存在であったからだと思われます。
フェラーリの(市販車における)オープンモデルの歴史について、創業初期の1950年代初期から始まりますが、これら多くは顧客の依頼によるワンオフ、もしくはショーに出展したモデルを数台作るといった程度にとどまっていたといい、「量産を目的に企画されたオープンモデル」は1956年発表のフェラーリ250GTカブリオレだったとされ、しかしその後についてもクーペを中心に展開しているので、オープンモデルは非常に少数派ということに。
加えて、オープンモデルの生産を限定したり非常に少なく抑えてきたという歴史もあり(限定でしか用意されなかったオープンモデルも多い)、よってフェラーリのオープン=特別な存在である、という認識がコレクターの間に存在するのかもしれません。
フェラーリSP51のカラーリングは1955年のレーシングカーをイメージ
なお、このフェラーリSP51のカラーリングは1955年のフェラーリ410S(レーシングカー)をイメージしていると紹介されていますが、奇しくも台湾の国旗カラーと同じであり、オーナーさんはそこも意識したのかもしれません。
ちなみにボディカラーは専用の「ロッソ・パッショナーレ(良いネーミングだ)」、3層コートにて仕上げられている、とのこと。
ボディパネルは(エクスポーズド仕様になっている部分だけではなく)すべてがカーボンファイバーによって仕上げられているといい、やはり特徴的なのはシート後方の2つのコブ(フライングバットレス)の上に乗るエクスポーズドカーボン仕様のウイング。
これは1960年代のスポーツプロトタイプに採用されていたデザインを現代風に解釈したもので、安全性と強度を確保するためのロールバーを隠す役割もある、とのこと。
そしてこのウイングはバットレスと融合するかのような形状を持ち、フローティングデザインとなっているようですね。
フェラーリのワンオフモデル、SP51のインテリアはこうなっている
そしてこちらはフェラーリSP51のインテリア。
ブラックとレッドの組み合わせを持ちますが、レッドのアルカンターラ部分は既製品ではなく、ボディカラーにマッチさせたロッソ・パッショナーレにて仕上げられた専用品。
グローブボックスやシート、ドアインナーパネル、センタートンネルにはブルーのパネル、そしてホワイトのステッチが用いられており、ボディ上のストライプを再現しています(このクロスステッチは最近多くの自動車メーカーがスペシャルモデルで採用していて、今後トレンドになるかもしれない)。
ちょっと面白いのはペダル類がブラック仕上げとなっていることで(これは今までにフェラーリでは見たことがない)、樹種積側のバッジ(SP51?)にもブラックが用いられています。
さらに興味深いのはリアのファイヤーウォールにボディ上に施されるのと同様の「ブルーとホワイト」のストライプがペイントされていることであり、オーナーさんがとくにこのストライプにこだわったということがわかりますね。
フェラーリはSP51のデザインスケッチも公開
フェラーリは今回SP51のデザインスケッチも公開していますが、こちらは「ストライプなし」の状態で、ずいぶん雰囲気が変わるということもわかりますね。
特徴的なルーフウイングがこの段階から再現されていたことがわかります。
上述の通り、現在フェラーリのデザインチームを率いるのはフラビオ・マンツォーニ氏ですが、ぼくはピニンファリーナ時代よりも現在のフェラーリのインハウスによるデザインのほうが好みであり、それは「異なる要素をミックスしている」から。
よって見る人次第では異なる印象をあたえることになり、たとえば年配の人だとそこにかつてのフェラーリのプロトティーポの面影を見出すかもしれませんし、若い人だとその先進性に目が行くかもしれません。
その意味で現代のフェラーリは(カタログモデル含め)非常に優れたデザインを持っていると考えており、今後にも大きな期待を寄せているわけですね。
-
【動画】フェラーリのデザイナー、SF90スパイダーを語る。ピニンファリーナ時代からどう変わったのか、デザイナーの個性や近代フェラーリのデザインについて考える
| ボクはピニンファリーナよりもフェラーリ内製のデザインを支持している | さて、フェラーリが公式にて、チーフデザイナーであるフラビオ・マンゾーニ氏を起用した「SF90スパイダーのデザインについて語る ...
続きを見る
合わせて読みたい、フェラーリのワンオフモデル関連投稿
-
フェラーリが10台目のワンオフモデル「オモロガータ」発表!過去と未来をつなげるタイムレスなデザイン、ラインとナンバーはゴースト仕様
| ヘッドライトとウインドウ以外はすべて変更されることに | さて、フェラーリが「10台目」となるワンオフモデル、「オモロガータ」を公開。これは812スーパーファストをベースとし、「ヘッドライトとウイ ...
続きを見る
-
フェラーリが突如ワンオフモデル「BR20」発表!ワゴン+4人乗りのGTC4ルッソをベースに、しかしこれをクーペ+2人乗りへと変更した「ハイカスタム」
| デザインイメージは1950〜1960年代のクラシックなGT、そこへ独自要素をプラス | なかなかここまで大胆にカスタムするオーナーは少ない さて、フェラーリが突如としてワンオフモデル、「BR20」 ...
続きを見る
-
フェラーリが最新ワンオフモデル「SP48 Unica」を公開!ベースはF8トリブート、現在のフェラーリの魁となるデザインモチーフを多数盛り込む
| フェラーリ296GTBに「似ている」ように思えるが、おそらくは296GTBが「SP48 Unicaに似ている」のかも | ルーフからCピラー、リアにつながる造形はクラシカルでもあり、新しくもある ...
続きを見る
参照:Ferrari