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アメリカのディーラーの大半が「EVを販売したくない」。その理由はガソリン崇拝でもEV嫌いでもなく「試乗車すら手に入らず、EVが供給されないから」と回答

2023/05/19

テスラ

| こういった統計を見ると、EVは「売れない」のではなく「メーカーが十分に供給できない」という状況にあるようだ |

どうりでテスラが「EVの生産台数」にこだわるわけである

さて、最新の調査によると「アメリカの自動車ディーラーはEVを販売したがらない」ということが明らかに。

たしかに以前から「米国の自動車ディーラーは電気自動車の販売に興味も熱意も持っていない」とは言われていたものの、今回は全米50州、合計800のディーラーを対象に調査を行ったところ、66%のディーラーが今すぐ販売できるEVを持っておらず、そのうちの45%は在庫を持つこともEVを提供することもしたくないと回答しています。

逆に44%が「在庫があればEVを販売する」と回答しているそうですが、ここで多くのディーラーが「なぜEVを販売しないのか」を見てみましょう。

こういった理由でアメリカのディーラーはEVを扱いたくない

今回の調査には「ディーラーの自由解答欄」があったそうですが、アメリカのディーラーがEVを扱いたくない理由として、たとえばワイオミング州のシボレーディーラーは「自動車メーカーがEVを売ろうとする前に、まず充電器を設置する必要がある」、そしてルイジアナ州の日産ディーラーは「2023年にはもっとEVのラインアップが増えるだろうが、在庫を確保することが難しいし、試乗用のEVを確保することも困難だ。この状態では顧客に勧めることは到底できない。むしろ顧客からクレームが来る」。

この結果を見るに、EVは顧客にとってもディーラーにとっても様々な意味で「不便極まりない」ために扱いたくない、そして「売りたくても在庫がないので顧客に迷惑がかかる」という印象を受け、けしてガソリンエンジン崇拝の傾向があったり、EV嫌いなわけではない、ということもわかります。

なお、今回の調査では北東部(11州+DC)、南東部(12州)、西部(11州)、南西部(4州)、中西部(12州)の5地域の結果を比較したそうですが、比較的EVが(政策によって)普及していると言われる、カリフォルニア州を含む西部地域のディーラーであっても「EVを販売可能なディーラー」はわずか27%にとどまっており、これは地域の中で最も低い在庫状況なのだそう。

ただ、この地域は他の地域よりもEVを多く販売していて、たとえば昨年だと、アメリカ全EV販売台数の45%(423,993台)を占めたという統計結果も見られます(売れているから在庫がないのか、そうでないのかはわからない)。

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EVの在庫があればもっと売れる?

今回の調査元によると、西部地域にて「EVを販売可能なディーラー」がわずか27%にとどまることにつき、これは販売の回転率と消費者の需要の高さが直接の原因であると結論づけており、つまり供給が需要に追いついていないということに言及。

一方で南東部だと、EV販売比率が41%と最も高く、158,777台が販売されているそうですが、これはアメリカ全国のEV販売台数では17%に相当するのだそう。

そしてこの南東部の場合は「需給のバランスが取れている」という推論がなされており、こういった状況を見るに、もし自動車メーカーがもっとEVを生産し供給できるのであれば、より多くのEVが売れるのかもしれません(テスラが生産能力にこだわるのもわかるような気がする。EVの普及は卵とニワトリのように、需要と供給が密接に関連している)。

加えて今回の調査において特殊要因として語られているのが「テスラ、リヴィアン、ルーシッドのように、ディーラーを介さない直販が認められていない州がある」ということ。

たとえばテスラはコスト削減のためにフランチャイズによるディーラー経由での販売ではなく、基本的には自社によるオンラインでの販売、もしくは自社直営店舗での販売となっていますが、州によっては「販社が経営するディーラーを通さない販売は違法」となっており、これが(テスラはじめEVの直販を行う)EVの普及を妨げている可能性について言及されているわけですね。

このほか、今回の統計では「もっともEVの在庫を持っている」のはメルセデス・ベンツのディーラーで(90%)、トヨタとホンダが最も在庫が薄い(それぞれ15%、11%)という結果も導き出されており、様々な(法整備含めての)EV普及への課題が見えてきたように思います。

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参照:CARBUZZ

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