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マクラーレンやアストン等にレザーを供給する天然皮革メーカーが「ヴィーガンレザーはエコではない」とモノ申す。「樹脂が含まれリサイクルできず、有害物質を含む」

2023/07/17

マクラーレン

| 事実を確認せずにヒステリックに自分の考える「エコ」を盲信する人々も少なくない |

ヴィーガンレザーが今後どこまで不普及するのかはわからないが

さて、「エコだと信じていたものが実はエコではない」ということが往々にしてあり、たとえば電気自動車だと製造時にガソリン車よりも多くのCO2を排出することが多く、かつバッテリーやエレクトリックモーターの製造は地球の資源を圧迫し、その充電のための電力についても、多くの場合にてCO2を発生し石化燃料を使用する火力発電に依存せなばならないというのはよく知られたところかと思います。

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「ヴィーガンレザー」は実に環境に優しくない?

そこで今回話題となっているのが「ヴィーガンレザーは実に環境に優しくない」ということ。

これは高級皮革メーカーであるブリッジ・オブ・ウィアー社が発信したもので、特に合成素材メーカーが主張するヴィーガンレザーの”環境への優しさ”への疑問から、その素材の透明性を求めた要求文書にて明らかになっています。

このブリッジ・オブ・ウィアー社はマクラーレン、ジャガー・ランドローバー、ポールスター、そしてアストン・マーティンなど(主に英国の)プレミアムカーメーカーに高級レザーを供給していることで知られています。

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ブリッジ・オブ・ウィアー社の主張としては、多くの代替レザーが "ヴィーガン "として販売され、環境に優しいと宣伝されているにもかかわらず、実際には生分解しないプラスチック成分を含んでいると考えており、「フィルク・フリーバーグ研究所による最近の研究結果によれば、代替レザーには実際にプラスチックが含まれていて、そしてプラスチックは化石燃料から作られる複合材料であり、さらにプラスチックは安全かつ効率的に生分解されず、完全にリサイクルすることはできない」というもの。

つまり一部の代替レザーは「環境に優しい」といいつつも石油を使用し、リサイクルも完全にはできないということが明らかになっているわけですが、ブリッジ・オブ・ウィアー社としては「代替レザー=エコという、完全に正しいとは言えない認識が先行し、自動車メーカーと消費者が ”グリーンウォッシュ”されていることを懸念しているわけですね(さらに言うならば、天然皮革が生態系に負荷をかけているという、一部誤った認識についても懸念している)。

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ちなみにですが、ここ数年で多くの自動車メーカーが代替レザーへの移行を進めており、BMWとミニは本牛革を完全にやめてヴィーガン仕様に切り替えたほか、テスラは昨年末、モデルSに対し、30,000ドルにてヴィーガンレザーの内装オプションを発表しています。

もちろんこういった動きは「環境に配慮」したもので、BMWやミニの使用するヴィーガンレザーにプラスチックが含まれるかどうかはわからないものの、ブリッジ・オブ・ウィアー社は「ヴィーガンレザー=善、天然皮革=悪」だと決めつける風潮にもの申したということになりそうですね。

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天然皮革に対しての間違った認識も

さらにブリッジ・オブ・ウィアー社は「ヴィーガンレザーはレザーほど頑丈ではないため、頻繁に交換する必要がある」ことについても言及しており、その結果として、毎年製造される製品の数が増える可能性があり、加えて合成素材の製造には有害な化学物質が使用されることが多く、環境問題を悪化させるとも。

反面、やり玉に上げられることが多い天然皮革について、ブリッジ・オブ・ウィアー社は、本革は食肉産業の副産物であることを強調しており、皮革のために特別に飼育された牛は(同社の製品に限っては)いないため、皮革の生産は二酸化炭素の排出や森林破壊を助長することはなく、再利用することも可能なことについても言及済み。

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加えて同社は、最も炭素排出量の少ないレザーを生産していると自負していて、供給先である自動車メーカーがカーボンフットプリントを削減するのに役立っているとも述べており、けして自社製品の優位性を主張しているわけではなく、あくまでも世間一般で見られる誤った認識を解消し、それによって「適切に」製品や素材を(消費者や自動車メーカーが)選べるよう、素材メーカーに対して「素材の原材料や製法に関する透明性」を求めている、と解釈したほうが正しいのかもしれません。

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