| ボルボがC40、XC40を用いて調査したというのだから間違いはなさそう |
つまりEVは「距離を走らなければ」ガソリン車よりもよっぽど環境によろしくない
ボルボは、COP26にて「ゼロエミッション・カー&バンに関するグラスゴー宣言」に署名することを発表しましたが、実際のところ、ボルボの調査によると、同社の電気自動車である「C40リチャージ(XC40リチャージのクーペボディ)」の製造工程では、そのガソリン版である「XC40」に比べて70%以上(1.7倍)の排出ガスが発生する、とのこと。
これはある意味衝撃的な結果であり、よく「EVはその製造や廃車の工程において、ガソリン車よりも多くのCO2を排出している」と言われていた説が”もっとも環境に対して先進的な取り組みを行う自動車メーカー”によって実証されたということになります。
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ただし「損益分岐点」も存在する
しかしながらボルボによると、クルマの寿命を「長期的に」考慮すると損益分岐点が存在し、そこを起点に電気自動車の二酸化炭素排出量は、ガソリン車のそれよりも少なくなるのだそう。
ボルボは「ピュアエレクトリック(C40リチャージ)」「PHEV(XC40リチャージPHEV)」「ガソリエンジン(XC40)」という3つのバージョンをすべて揃えているC40系を用いて実験を行い、この実験ではそれぞれのライフサイクル全体(製造から廃棄まで)のCO2排出を考慮しており、原材料の採掘、生産工程、燃料補給、そして最終的な廃棄までの12万4,000マイル(20万キロ)における検証を行っています。
参考までに、ボルボは損益分岐点について「発電方法によって異なる」と述べており、たしかにそれがクリーンな太陽光や風力によって発電されたものなのか、それともCO2出しまくりの火力発電によって得られた電力なのかでは全く結果が異なりそう。
よってボルボは「世界の平均的な電力供給方法であるEU28で予測される再生可能エネルギーで供給された場合」「通常の発電方法によって得られた電力で供給された場合」、そして「完全な再生可能エネルギーによって発電・供給された場合」という3つの異なるシナリオについて調査を行うという念の入れっぷりを見せています。
けっこう走ってようやく「ガソリン車とイーブン」
そしてまず「EU28の電力シナリオ」の場合ですが、C40リチャージが削減できるライフサイクル全体のCO2排出量はガソリン車に比較して30%となり、損益分岐点は4万8,000マイル(7万7,248km)。
次に「通常の発電方法による電力」を使用した場合、ボルボC40リチャージがガソリン版XC40と互角になるには、68,300マイル(109,918km)を走らなければなりません(CO2排出量を15%しか削減できない)。※これが現実的な数値だと思われる
最後に再生可能エネルギーのみでC40を充電できた場合、C40はガソリン車に比較して50%のCO2削減効果を発揮できるといい、3万マイル(4万8,280km)を超えたところで損益分岐点を迎えることになります。
つまり、電気自動車は無条件に環境に優しいというわけではなく、「乗って初めて」環境に優しいということになり、あまり距離を走らない場合は「EVを購入したとしてもCO2排出量削減に貢献できない」ということに。
参考までに、ボルボによると、C40リチャージとXC40リチャージでは、バッテリーの製造だけで「車両製造によって発生するCO2の33%を占める」そうで、となると容量の大きなバッテリーを積むEVほどCO2を大量に発生させており、そもそもEVは「出荷される前から二酸化炭素を大量に出している」とも考えられます。
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参照:AutoTrader