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これから中国のEVメーカーが世界に打って出ることになりそうだ。とくに存在感を強めそうな「5社」を見てみよう

これから中国のEVメーカーが世界に打って出ることになりそうだ。とくに存在感を強めそうな「5社」を見てみよう

| 中国市場はすでに過密状態、力のあるEVメーカーは「海外市場」を目指すと見られている |

PCや家電、そのほかの製品同様、自動車についても中国製が世界にあふれることになるだろう

さて、現在中国には170を超える自動車ブランドが存在すると言われますが(これでもピークに比べると随分減った)、中国市場では人口1,000人当たりの新車販売台数がわずか17.5台しかなく、よって自動車ブランドは「超」過密状態だと言われます。※参考までに、アメリカは40.6台、西ヨーロッパは24.4台である

この状況については中国の自動車メーカー自身がもっともよく理解しているとも言われ、よっていくつかの自動車メーカーは「中国市場での過当な競争を避け、海外市場に脱出すること」を検討しているとも報じられており、つまりこれからは中国の自動車メーカーによる海外展開が本格化する、とも言われているわけですね。

中国
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ただし全ての中国の自動車メーカーが海外市場に対応できるわけではない

しかしながらこれら中国の自動車メーカーすべてが「輸出」できるかというとそうではなく、まずは中国政府の発行する輸出免許を取得できるかどうか、そして取得できたとしてもその品質が海外市場で通じるかどうかといった問題も。

そこで今回、中国の自動車メーカー(ブランド)で「世界に進出し、戦える可能性がある」5社を見てみましょう。

1.MG

MGは中国で誕生した自動車ブランドではありませんが、2006年以降中国の自動車メーカーの管理下にあり、現在のオーナーは上海汽車。

実際の設計・生産設備が中国にあるため、もと英国ブランドといえど、現在は「中国のブランド」と言って良いかと思います。

そして直近だと上海汽車のもとで大きく飛躍を遂げており、2013年には3,500台しか生産がなかったものの、2022年ではなんと45万台規模にまで生産を拡大しており、現在非常に勢いのある自動車ブランドといって良いかもしれません。

さらにMGを有利にしているのはその「ブランドバリュー」であり、多くの人が「英国の名門ブランド」という認識を持っているためか、2023年上半期、MGは欧州で4番目に売れたBEV(バッテリー電気自動車)ブランドとなっており、「ルノー、プジョー、ヒョンデ」よりも売れたブランドでもあります。

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2.BYD

中国では圧倒的な存在感を誇るBYDですが、実は輸出に弱く、しかし徐々に勢力を拡大している最中。

BYDのポジショニングはメインストリームとプレミアムセグメントの中間であるため、中南米、中東、東南アジアなど、誰もがプレミアムな電動自動車を購入できるわけではない地域に進出することができるという特徴があり、かつ最近では「シーガル」など低価格モデルも手掛けているため、「日常の足」として安価なEVを求める人にとっては有用な選択肢となる可能性があります(日米欧の自動車メーカーよりもはるかに安いEVを提供できる)。

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3.Geely/Zeekr

Geely(吉利汽車)は現在ボルボやロータスを参加に収めており、これによって欧州自動車メーカーの考え方を吸収することが可能となっているほか、欧州や北米の基準に準拠した技術を利用できるという状態に。

そしてGeelyブランドでは比較的低価格帯に属するクルマを手掛け、傘下にあるZeekrではややプレミアムなクラスへと進出することになりますが、Zeekrは非常に優れたデザインを持つことで中国外でも人気があり、例えばロシアでは2023年上半期においてもっとも売れた自動車ブランド4位に入っています。

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これは日米欧の自動車メーカーのほとんどがロシアから撤退したことによる「棚ぼた」的な結果であるものの、現在がら空きとなったロシア市場を攻略することで生産台数を増加させることができ、これによって生産コストを下げてゆくことも可能となるため、現在様々な状況が中国に味方をしていると考えていいのかもしれません。

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4.NIO

かつて「打倒テスラの筆頭」と言われたNIOですが、その評判のとおりテスラと競合するクルマを作っており、つまりこれは「価格帯も競合する」ということを意味します。

これはこれで一つの戦略として評価すべきではありますが、たとえばGeelyやBYD、MGのように「テスラと違うところを狙った」EVメーカーのほうが優れたパフォーマンスを発揮しているという現実も(EV市場は完全にブルーオーシャンなので、NIOはあえてテスラを狙う必要はなかった)。

ただしテスラを狙ったことによって「世界に通用するクルマづくりができるようになった」という副次的効果がもたらされており、これによって比較的世界進出が容易になるのでは、とも見られているようですね。

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5.宝潤(Baojun)/五菱

これら自動車メーカーはシボレーの中国におけるパートナーではありますが、「非常に価格競争力がある」クルマを作ることで知られており、日本やアメリカ、欧州にて勢力を拡大することは難しいかもしれませんが、東南アジアやロシア、南米や南アフリカといった所得が高くない地域では非常に高いプレゼンスを誇ると見られています。

もちろんこれらのブランド名のまま販売される可能性もありますが、パートナーであるシボレーのバッジを装着しシボレーのディーラー経由にて販売を行えば、世界中での販売を有利に進めることができる可能性が非常に高く、かつシボレーとは価格帯的に競合せず、さらにはシボレーにもなんらかのマージンが入ると思われ、よってシボレーもこれを推進するかもしれません。

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