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アストンマーティンがヴァルハラに採用される「6つのF1由来の技術」を紹介。今後アストンマーティンはF1との結びつきを強化しロードカーのパフォーマンスを高めることに

アストンマーティンがヴァルハラに採用される「6つのF1由来の技術」を紹介。今後アストンマーティンはF1との結びつきを強化しロードカーのパフォーマンスを高めることに

| ヴァルハラは今年末にかけてテストを開始、そして2024年には生産をスタート |

その開発における大きな部分をシミュレーターが担う新世代ハイパーカー

さて、現在正式発表を控えているアストンマーティンのハイパーカー「ヴァルハラ」。※アストンマーティン自身はヴァルハラを”スーパーカー”だと呼称している

今回アストンマーティンが公式に「ヴァルハラは、アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ1チーム(AMW1)のからフィードバックを受けた機能を持つ」こと、それを可能としたのは「F1チームのコンサルティング部門であるアストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズ(AMPT)である」ことにもあわせて言及しています。※AMPTが、市販車部門のアストンマーティンとAMW1との中間に入り、様々なアレンジを行うようだ

なお、アストンマーティンは現在新しい会長以下、新体制となった経営陣にて再建に取り組んでいますが、これまでとは異なって「ライバルに対抗する」のではなく、そのブランドバリューを正確に見極め、超高級、超高性能、そしてF1とのイメージ・技術的融合を全面に押し出し、新たな歴史を構築しようとしています。

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アストンマーティン・ヴァルハラはF1からどういった恩恵を受けるのか

アストンマーティンによれば、アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ1チームから技術的フィードバックがなされるのは「ビークルダイナミクス、エアロダイナミクス、素材」の3つであり、ソフトウエアとしては「レースで実証された方法論、専門知識、テクノロジー」だとアナウンスされています。

なお、ヴァルハラはアストンマーティンにとって「ヴァルキリーに続く」2台めのミドシップカーですが、このヴァルキリーはレッドブルとのパートナーシップによって作られたクルマ。

ただし現在はアストンマーティンとレッドブルとのパートナーシップが解消され、一方ではメルセデスAMGとの関係性が強化されており、よってヴァルハラは(ヴァルキリーとほぼ同時に企画されたものの)それに伴、の方向性が大きくシフトされることとなっているわけですね。

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具体的には、もともと搭載を予定していた新開発のV6エンジンを捨ててメルセデスAMG製の4リッターV8ツインターボエンジンを搭載することとなっていますが、そのほかにもおそらくは「レッドブルとの契約の関係上」、ヴァルキリーには使用でき、しかしヴァルハラには使用できない技術や構造も多数あるかもしれません。

さらにアストンマーティンは、「フロントにエンジンを搭載する」ラグジュアリーなグランドツアラーの作り方について、ほかのどのブランドよりも長けている反面、ミドシップに関しては新参者の域を出ず、ヴァルキリーはじめミドシップ3兄弟を計画していた時期に仮想ライバルとして想定していた「フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレン」ほどの経験はもちろん、評価もまだ確立されていないという状況にあります。

ただし今回の発表によれば、アストンマーティンは「アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ1チームの助けを得て」、いったんは方向修正を余儀なくされたヴァルハラの計画を大きく前進させ、そしてそこから得た知見は今後のアストンマーティンの市販車開発にも生かされることになりそうです。

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アストンマーティン・ヴァルハラには、具体的にこういった技術がF1から注入される

1.ドライビング・ダイナミクスを磨くためにF1用シミュレーターを使用

アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ1チームはF1マシンの開発にシミュレーターとF1ドライバーを活用することになりますが、アストンマーティンのプレスリリースによると、”ヴァルハラの動的特性と車両セットアップの90%”がF1チームのドライビングシミュレーター上でデジタル的に行われたとされ、もちろんこれにはフェルナンド・アロンソ、そしてランス・ストロールも参加しています。

ただし最終的な開発段階は、現実世界の道路やサーキットで行われることになるものの、シミュレーターの正確性についても言及されており、これは今後多くのハイパフォーマンスカーの開発における「標準」をなるかもしれません。

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2.F1マシンを模したドライビングポジション

ドライバーの意見やシミュレーターへのアクセスに加え、アストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズはコックピットの人間工学的な部分においても(市販車部門の)アストンマーティンをバックアップしており、シーティングポジションは、レーシングカーレベルのコントロールができるように最適化されています。

ヴァルハラには、ドライバーのかかと下に足の位置を高くするための構造物があるといい、これによってドライバーはフォーミュラカースタイルの「V字腹筋」ポジションを取れるようになりますが、バケットシートは背もたれの角度を大きく(浅く)し、ドライバーはF1マシンのようなドライビングポジションにてヴァルハラを運転するように。

なお、これには2つのメリットがあり、第一に、アストンマーティンはルーフラインを可能な限り低く保つことができ、これはもちろんパッケージングとエアロダイナミクスに有利に働きます。

さらにこの「(仰向けに寝そべるかのような)F1マシンスタイルのシートポジション」は重心を低くできるというメリットのほかに「強烈なGに対応するための理想的な身体的レイアウト」の再現が可能になるとされています。

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3.グランドエフェクト・エアロダイナミクス

アストンマーティンによれば「ヴァルハラのアンダーボディをざっと見れば、この新しいスーパーカーにどれだけF1テクノロジーが投入されているかがわかる(ヴァルハラの裏面はF1マシンとほとんど同じらしい)」。

F1由来のテクノロジー(機密)が含まれるためにアストンマーティンは詳細について述べなかったものの、高いグラウンドエフェクトを持つであろうと想定されます。

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4.フロントとリアのDRS

ヴァルハラは、そのエクステリアがF1カーほど厳しく規制されておらず、つまり条件やレギュレーションに左右されないアクティブエアロダイナミクス機能を持つに至り、その結果、時速240キロ時点で約600kgものダウンフォースを発生させます。

さらにフロントとリアのグリップ量を常にバランスさせたり、トップスピードで走るためにグリップ量を可能な限り減らすという芸当も可能となっていますが、フロントにはDRSを内蔵した隠しフロントウイングを装備していて、これはオープンポジションでドラッグを減らせるほか、逆に前輪直前に協力なダウンフォースをもたらすことも可能に。

リヤウイングの角度もドライバーが任意で調整でき、後輪前方にはミニディフューザーが装備され、クルマの下からさらに多くの空気を吸い上げ、さらにダウンフォースを発生させるというトリックにも触れられています。

    これらはAMF1チームの頭脳とツールを利用できたからこそ可能となったもので、ヴァルハラは「F1チームと同じ数値流体力学(CFD)と風洞実験を用いて設計された」ため、ライバルに対する大きなアドバンテージを手中に収めたのだとも考えられます。

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    5.F1グレードのカーボンファイバー

    アストンマーティンは長年(市販車にも)カーボンファイバーを使用してきたものの、ヴァルハラには「F1グレード」のカーボンファイバーが使用されているといい、その代表例はカーボンファイバー製モノコック。

    F1チームのハードウェアとソフトウェアにアクセスできるという事実は、アストンマーティンが必然的なホモロゲーション・クラッシュテストの前に脆弱性を特定できることを意味しており、F1の知見を活用して製造されたモノコックを持つヴァルハラにつき、アストンマーティンはクラス最高の動的特性と構造的特性、そして卓越した安全性を持つと主張しています。

    このカーボンファイバー製モノコックはAMPTによって設計・デザインされ、樹脂トランスファー成形(RTM)とF1由来のオートクレーブ技術を用いた独自の技術によって成形されており、「超」高強度を実現すると説明されています。

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    6.ハイブリッド・パワートレーン

    上述の通り、ヴァルハラは「V6からV8」へとスイッチしていますが、このメルセデスAMGの4リッターV8エンジンを設計した人物は現在アストンマーティンにて勤務しているといい、よって設計者は「自分の創造物」を(アストンマーティンにて、様々な技術やノウハウを活用することで)さらなる高みへと発展させ、これによって「アストン史上、もっとも優れたV8エンジン」を完成させています。

    ヴァルハラにはF1マシン同様にエレクトリックモーターが搭載され、3つのエレクトリックモーターがパワートレインをアシストして998馬力を発生させ、しかしF1カーとは異なってヴァルハラは「全輪駆動」を採用しており、3つのうち2つのエレクトリックモーターがフロントアクスルにアクティブ・トルク・ベクタリングを提供することに。

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    ヴァルハラの最初のプロトタイプは今年後半実際に走行テストを開始し、2024年に生産が開始される予定だそうですが、「実際の走行を行ってから生産に移るまで」の期間が非常に短く、これは上で述べた「シミュレーター上でのテスト」がヴァルハラの開発において大きなウエイトを占めていたことがわかります(実装テストは、ほんの”チェック”にしか過ぎないのかもしれない)。

    もちろんこれによって開発期間を大きく短縮できたとも考えてよく、今後はアストンマーティンに限らず、ハイパフォーマンスカーの開発が「こうなってゆく」のかもしれませんね(実際のところ、一部の自動車メーカーはこれと同様の手法を取り入れたことを発表している)。

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    アストンマーティン製品開発ディレクターのカルロ・デラ・カサ氏は「アストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズにおけるAMF1チームのスタッフの知識と経験が、ロードカー開発チームのスキルとノウハウと組み合わされ、これによってF1での知見を直接スポーツカー開発に生かすことができました」とコメント。

    さらには、「ヴァルハラの目標は、パフォーマンス、ダイナミクス、ドライビングプレジャーにおいてクラス最高の基準を打ち立てるスーパーカーを生み出すことです。ヴァルハラは、アクティブ・テクノロジーを駆使して、サーキットにおける "ジェントルマン・ドライバー "とプロフェッショナル・ドライバーのギャップを縮めます。AMF1チーム内の知識にオープンにアクセスできるという事実は、この素晴らしいマシンを開発する上で、我々にとって大きなアドバンテージとなりました」とも語っています。

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    参照:Astonmartin

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