| さらにアストンマーティンは実際にF1に参戦しており、この事実も販売を押し上げたに違いない |
アストンマーティン・ヴァンテージは「24年ぶりに採用された、メルセデス・ベンツ以外のペースカー」
さて、アストンマーティンはつい先日、F1グランプリに採用されているメディカルカーにインスパイアされた仕様を持つDBX 707「AMR23エディション」を発表したばかりですが、このメディカルカーは、ペースカーを務めるヴァンテージともども「24年ぶりにメルセデス・ベンツ以外で採用されたメディカルカーとセーフティカー(ペースカー)」。
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なぜずっとF1のメディカルカー、セーフティカーはメルセデス・ベンツのみだったのか
そこで気になるのが「なぜこの24年間、メルセデス・ベンツのみがF1のメディカルカーとセーフティカーを務めていたのか」。
F1におけるセーフティカーの導入は1973年のカナダグランプリとされていますが、正式にルールが制定されたのは1992年のブラジルGPで、しかし正式に導入されたといえどもペースカーの速度が遅く、ペースカー投入時にF1マシンのタイヤ温度が下がるといった問題があり、そこで導入されたのがメルセデス・ベンツ製の高性能スポーツカー。
1996年がメルセデス・ベンツにとっての初舞台だとされていますが、メルセデス・ベンツはそこから2020年に至るまでずっとペースカーを担当することとなっています。
そしてメルセデス・ベンツがセーフティカーをずっと担当していた理由は「商業的側面」が強く、というのもセーフティカーが入ると「セーフティカーがF1マシンを率いて走る様子がTV画面に大写しになる」からで、これによるプロモーション効果が非常に大きく、そのためメルセデス・ベンツは(おそらくF1に対して巨費を投じて)セーフティカーそしてメディカルカーを担当し続けてきたわけですね。
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ただ、もうひとつの疑問が「それだけ長い間、単独でセーフティカーとメディカルカーを担当してきたのに、なぜアストンマーティンにその座を渡したのか」。
これについては、メルセデス・ベンツ(正確にはメルセデスAMG)がアストンマーティンに対する出資比率を上昇させたからで、つまりメルセデス・ベンツは「アストンマーティンに稼いでもらわねばならない」と考え、そのチャンスを譲ったということになります(これも正確に言うならば、アストンマーティンとメルセデスAMGとがセーフティカーとメディカルカーを、グランプリによってそれぞれ分けて担当するため、メルセデスAMGは完全にその役割を譲ったわけではない)。
F1におけるセーフティカーを務めることで大きく販売が向上
そして今回、アストンマーティン会長、ローレンス・ストロール氏が語ったのが「F1にセーフティカーとして参加するようになったのち、ヴァンテージの販売が大きく伸びた」。
「”日曜日にレース、月曜日に売上”という表現があるが、私は当初それを信じていなかった。しかし今は実際にそれを体験している。我々のヴァンテージF1エディション含め、ヴァンテージの販売は300〜400台増加し、最高で8000万ドルもの売上を生んでいる。この数字は小さいように聞こえるかもしれないが、私たちの規模の会社にとっては比較的大きな意味がある」。
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ただ、ヴァンテージの販売が増加したのは「F1にセーフティカーとして参戦したから」ということに加え、アストンマーティンが実際にF1に参戦しているという事実も関係しているはずで、こういった複数の事象が相乗効果を生み出したんじゃないか、ともぼくは考えています。※いずれにせよ、F1にてセーフティカーを務めることについて、その費用対効果が高いことは間違いない
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