| やはりプレミアムカーメーカーのクルマは価値を失いやすい |
そして需要がさほど大きくない「セダン」ほど価格が下る傾向が見られるようだ
さて、クルマを買うときに気になるのが「そのクルマを売るときにいくらになるのか」。
クルマを買う前から売るときのことを考えるのもどうかとは思いますが、やはり買い替えを考えるとどうしてもリセールバリューが気になるのが現実かと思います。
実際のところ、自動車ディーラーで最近よく聞くようになったのが「リセールを気にする客が増えた」ということ。
これは国産/輸入車ディーラーともに同様の傾向を持つようで、より多くの人がリセールを気にして新車を購入する時代に突入したのかもしれません。
「もっとも値が下がるクルマ」TOP20-11はこんなクルマ
そこで今回、北米市場において「5年後にもっとも価格が落ちる」クルマのランキングが公開されていますが、これを見るとメルセデス・ベンツ、アウディ、BMWといったジャーマンスリーのクルマのオンパレード。
一般にプレミアムカーはそのクルマの基本性能に比較して(高級装備が多いので)割高な新車価格設定となっており、しかし中古車になると「そのクルマの基本的な価値」でそのクルマが判断される傾向が強くなり、つまりはプレミアムという側面の評価が殆どなされなくなるために市場価格が大きく下がるものと思われます(燃費を重視する人も少なくはないはずだ)。
まずは20位から11位を見てみましょう。
20位 BMW 4シリーズ
まず20位はBMW 4シリーズ。
個性の強いクルマであり、もともと「20%の、突出したキャラクターを好む人々」に向けてデザインされたクルマだとされていますが、中古市場になるとその個性がアダとなるのかもしれません。
4年後には44.2%の価値を失う、とされています。
19位 日産リーフ
そして次は日産リーフ。
EV技術の急速な変化とバッテリー容量の進歩のせいで5年後には44.5%の価値を失うとされていますが、初代リーフも「とんでもなく安い」価格で売られているのは御存知の通り。
よって、リーフによらずですが、「毎日の行動半径が小さく、自宅で充電できる環境にあれば」中古の電気自動車はかなりお得な”日常の足”としての選択なのでしょうね。
18位 BMW 5シリーズ
基本的にミドルクラスのセダンは中古市場で大きく値が下がることがあり、その理由は「このクラスのセダンは新車需要、とくに企業によるリース需要が高い」からかも。
したがって中古市場では不人気となってしまうカテゴリではありますが、BMW 5シリーズは5年で45.1%をしなうとはいえど、リセールバリュー以外のほぼすべての領域で優れたパフォーマンスを発揮するサルーンでもあり、よって「お買い得」な選択だと思います。
17位 メルセデス・ベンツEクラス
そしてまたもやプレミアムカーメーカーのサルーン、メルセデス・ベンツEクラスクラス(5年で45.3%の値下がり)。
やはり良い選択ではないかと思うものの、たとえ安値で手に入れたとしても、そこから「まだ価格が下る」可能性が高いことには要注意。
16位 BMW X5
意外なことに人気とされるSUVセグメントにあって「値下がり率ランキング」に入っているのがBMW X5(5年で45.8%下がる)。
もともとの価格が「高すぎて」中古市場ではその価格が(ライバルと比較して)ちょうどいいくらいにアレンジされるのかもされません。
ただしBMWのSUVはX3しかりX2しかり、他の自動車メーカーのSUVに比較するとかなり「割安」となるようです。
15位 ポルシェ・パナメーラ
比較的リセールに強いポルシェではあるものの、やはり「サルーン」である以上、価格下落という運命からは逃れられず、5年間で46.0%を失うとされています。
ただ、買い手からすると非常にコストパフォーマンスが高い選択肢である、とも言えますね(信頼性が高く、中古で購入してもさほど維持費はかからない)。
15位 メルセデス・ベンツSクラス
そしてポルシェ・パナメーラと同じく46%も値下がりするのがメルセデス・ベンツSクラス。
メルセデス・ベンツのフラッグシップではありますが、今回のリストにはベントレーの各モデルやロールス・ロイスといったブランドのクルマが入っておらず、それらとメルセデス・ベンツSクラスとの間には大きな「壁」があるということなのかもしれません。
13位 アウディA6
全輪駆動と数々のハイテク装備を標準装備し、スムーズでスタイリッシュなサルーンながらもA6は5年後に46.2%も価値が下がるという統計結果に。
12位 ポルシェ・カイエン
これもまた意外な「SUV」がランク入り。
カイエンは中古市場でもかなり人気が高いという印象があるものの、5年後には46.6%の価値を失う、とのこと。
11位 アウディQ7
そして11位もまたプレミアムカーメーカーのQ7。
3列シートで最大7人乗り、バランスの取れた乗り心地とハンドリングを提供するラグジュアリーSUVですが、5年後には47.3%の価値を消失してしまいます。
「5年間でもっとも価値が下がる」クルマ、10位からトップまではこんな顔ぶれ
10位 アウディSQ5
アウディSQ5は、Q5のラインアップ中で最もスポーティなモデルであり、350馬力のターボチャージャー付きV6を搭載して俊敏な走りを見せるものの、他の欧州高級車ライバルに比較するとキャラクターが薄いのも事実であり、それがそのまま中古相場、ならびに売却価格に反映されているのかも(48.6%も価値が下がる)。
なお、コンパクト/ミッドサイズ高級SUVというくくりだと、レンジローバー・イヴォーク/ヴェラールは今回のラインアップに入っておらず、ジャーマンスリーのSUVとそれらとは明確に顧客から識別されているのだとも考えられます。
9位 アウディA7
A6のクーペ版(スポーツバック)となるのがA7で、視覚的な華やかさを持つものの中古市場では評価が低く(実用性が低いと捉えられるのかもしれない)、5年後には48.8%の値下がりを記録しています。
アウディは全般的に「スタイリッシュ」「テクノロジー」を売り物としていますが、顧客が求めるのは”そこではない”のかもしれませんね。
8位 ジャガーXF
ジャガーのセダンも「値下がりランキング」に入ってしまい、XFは5年後に50.4%の価値を失ってしまうことに。
ただしFタイプやXJ、F-PaceやE-Paceがランキングに顔を出していないことは(ブランドとして)高く評価すべきだと思います。
7位 アウディA8
またもやアウディのサルーンがランクインし、A6以上はすべて今回のリストに名を連ねることに。
5年後に失う価値は大きく、51.6%を消失します。
6位 インフィニティQX80
このリストに唯一入ったインフィニティブランドのクルマがQX80。
日産リーフと合わせると、日産/インフィニティはトヨタやホンダなどほかの日本車ブランドに比較して大きく価値が下がるということにもなりますね。
フルサイズのSUV、そして最大8人乗りの快適なシート、さらにV8というアメリカ人が好みそうなクルマだけに「意外」な順位です(52.6%の価値を失う)。
5位 メルセデス・ベンツCLA
今回、メルセデス・ベンツの中でランク入りした唯一の「コンパクトなメルセデス・ベンツ」がこのCLA(52.8%のロス)。
「FFベースの小さなセダン」ということで、アメリカ市場にはマッチしないクルマなのだと思われます。
4位 BMW 7シリーズ
BMW 7シリーズは昔から「ナンバープレートを付けただけで価値が半分になる」「その瞬間に3シリーズ1台分の価値を失う」とされていますが、堂々の4位に入り、5年で53.3%を失うと報告されています。
3位 ランドローバー・レンジローバー
ランドローバーのフラッグシップは、アメリカで最初に販売された正真正銘のラグジュアリーSUVであり、人気が高いクルマであるようにも思われるものの、「壊れやすい」「維持費が非常に高い」とされることから敬遠される傾向にあるのかも。
なお、今回のリストを見ても分かる通り、「高級サルーンや高級SUVほど価格が下る傾向があり、よって中古車市場でお買い得になる」ことがわかるかと思いますが、一方で「5年が経過した高級車」の維持コストは非常に高いものであろうことも容易に推測可能です。
2位 メルセデス・ベンツGLE
そして2位はメルセデス・ベンツ GLE(5年で56.1%が吹き飛ぶ)。
メルセデス・ベンツ(とくに上位モデル)に乗っている人はお金持ちであるという印象がありますが、それは「高価なメルセデス・ベンツを購入できる」ということよりも、そういった人々は「売却時に大量のお金を失うことを気にしなくていい人物であろう」ことが理由です。
ただし経費で購入したりする場合も少なくないものと思われ、その場合は売却価格を全く気にしなくてもいい例もあったりするので、一概に判断できるものではありません。
1位 メルセデス・ベンツGLS
栄えある1位はメルセデス・ベンツGLSで、5年後に失う価値はなんと62.3%。
SUVにおける同社のトップレンジであり、大きくて押し出しの強いデザインを持ち、特にエレガントなインテリアを持つことでも知られます。
5年で失う価値は大きいものの、そこからまた大きく相場が下がることも考えにくく、中古で購入して1年ほど所有し、すぐに売却するというスタイルであれば損失はさほど大きくないものと思われ、しかし「最高のラグジュアリー体験」ができるかもしれませんね。
参照:CarEdge