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ロータス・エリーゼは29年前の今日にプロトタイプが完成していた。前例がない技術に挑戦し、革新と失敗の限界に挑戦したエンジニアたちの物語【動画】

ロータス・エリーゼは29年前の今日にプロトタイプが完成していた。前例がない技術に挑戦し、革新と失敗の限界に挑戦したエンジニアたちの物語【動画】

| ロータス・エリーゼは多くの人がスポーツカーに対する考え方を変えるきっかけとなった |

もちろん、このエリーゼがなければ今日のロータスは存在していなかっただろう

さて、ロータス・エリーゼが登場して30年近くが経過しようとしていますが、このクルマは当初「車両重量690kg」という驚異的な軽さで登場したこと、そしてそれを実現するために様々な新しい手法を取り入れたことからも「自動車史に残る画期的なクルマ」だと言われています(ぼくもそう思う)。

そこで12年前に公開された「Lotus Elise - The Inside Story」という1本の動画がクローズアップされていますが、これはロータス・エリーゼの開発に関わった人々の情熱を追いかけたドキュメンタリー。

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ただしこれは「エリーゼが成功を収めたのちに」成功を振り返るために撮影されたものではなく、開発と同時に、つまりエリーゼがそもそも製品化されるかどうかわからない状態で、そしてロータスの状況をこのクルマが一変させることになるとは思わず、まさかその後3世代にわたり愛されることになるとは知らない状況での開発状況が撮影されたものであり、2時間という長尺を通じて開発プロセス全体を通して記録され、そこではエリーゼの開発に関わるリアルタイムの意思決定、 設計やエンジニアリング、生産や購買などの評価、公式フォトの撮影風景に至るまで、あらゆる経過が収録されています。

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ロータスはこんな経歴を歩んでいる

ロータスは1952年にコーリン・チャップマンによって設立された会社ですが、1982年の死去にともない会社がデヴィッド・ヴッケンスに、そしてGMに、さらに1993年にはロマーノ・アルティオーリ、そしてプロトンへと経営が移っています(現在は中国の吉利汽車傘下にある)。

そしてロータスを「ロータスたらしめている」のはひとえに”軽量”さであり、これはもちろん創業者であるコーリン・チャップマンの信念に基づくもの。

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ただしコーリン・チャップマン以外の経営者は他のブランドに対抗しようとして大排気量エンジンやスーパースポーツ、高級車へと食指を伸ばした時期があり、しかし唯一の例外がロマーノアルティオーリ。

同氏は実業家でもありますが、同時にクルマを愛する人でもあり、もちろんエリーゼが誕生したのもロマーノ・アルティオーリがロータスの経営を行っていた時代です。

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同氏はロータスに過去の栄光を取り戻させるべく、新型車つまりエリーゼの開発にかかりますが、同氏はほぼ同じ時期にブガッティの商標権を獲得しており、ここでは「EB110」という当時の常識を遥かに超えるスーパーカー(元祖ハイパーカーだと言っていいかもしれない)を開発しており、一方では超軽量かつ小排気量のエリーゼを開発していたわけですね。

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これはつまり、ブガッティでは「比較されるようであれば、それはブガッティではない」というブガッティ創業者であるエットーレ・ブガッティの精神を守りつつ規格外の出力を持つスポーツカーを製造し、ロータスでは「軽く、洗練されたクルマを作る」というコーリン・チャップマンの志を忠実にトレースしていた、ということに。

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つまりロマーノ・アルティオーリ氏は「自分の作りたいクルマを作る」ためにロータスやブガッティの経営に乗り出したわけではなく、それらのブランドを「最盛期と同じ栄華を誇る」ことができるよう、その原点に立ち返りつつ蘇らせることを目指したのだと考えられます。

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ロータス・エリーゼ以前には「接着アルミニウム」による車体を持つ量産車は存在しなかった

そしてロータス・エリーゼ最大の特徴は「押出成形によるアルミニウム製パーツを接着して組み立ててシャシーを製造していること」。

これがエリーゼの比類なき軽さを実現したわけですが、この方法を採用した量産車は「エリーゼ以前」には存在せず、つまりこれは前例のない革新的な手法であったということがわかります。

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ロータスの設計チームはこの手法こそ「ロータスの未来」だと信じて開発にかかることになりますが、その中には現在も同社に在籍するシャシー デザイナーのリチャード・ラッカムや、現在ジェネラル社のデザイン ディレクターを務める車のデザイナーであるジュリアン・トンプソンも含まれており、この時点でシャシー設計においてロータスは「スポーツカーの最先端」であったと考えることも可能です。

ただし最先端であること、つまりテクノロジーの限界にいることはもちろん同時に「失敗の最前線にいる」という状況をも意味しており、この動画ではそういった挑戦者たちが限界に挑む様子が収められているわけですね。

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なお、当時のエンジニアたちは自動車業界の伝統や固定概念を打破しようと考え、クルマではなくバイクなど別の業界にもヒントを求めており、よって初期のエリーゼは鋳鉄ブレーキローターではなくアルミ製の(自動車業界初の)ローターを備えます(のちにサプライヤーが倒産し鋳鉄ローターになる)。

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そのほか、やはり初期のエリーゼではエンジンベイに至るまでの「文字通りの」オールアルミ製の車体構造を持つなど革新的な構造を持っていたことでも知られていますね。

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そして軽量性を実現するためには「1つのパーツや構造に複数の機能をもたせ、車両の構成を簡略化する」ことを追求しており、これはのちにフェラーリがポルトフィーノを設計する際に「参考にした」とコメントしていますね。

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参考までに、ロータスの車名は「E」ではじまるという伝統を持ち、「エリーゼ(Elise)」もその例に漏れませんが、これはロマーノアルティオーリの孫娘(当時2才)の名を与えたもの。※下の画像は1996年にエリーゼの生産車と”エリーゼさん”を写したもの

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様々な苦労を乗り越え、最初のプロトタイプはクリスマス当日(ちょうど今頃)に完成したといいますが、その後1995年のフランクフルト・モーターショーにて発表された際には、誰もがその車体重量について「本当なのか」と驚かされたのは記憶に新しいところでもあります。

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おそらくではありますが、この特殊な車体構造と生産方法は「ロータスの生産規模だからこそ」実現できたものである可能性が高く、ロータスよりも生産台数が多ければ「非効率的」になってしまい取り入れることができなかったのかも。

そう考えると、当時のロータスのエンジニアたちは「単に最先端を追求する」だけではなく「実現可能な、そして自分たちにしかできない」技術を追求していたということになり、荒唐無稽な夢を追う人々ではなかったということもわかります。

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そしてこの「構造接着剤を用い、押出しアルミニウム材で組み立てたシャシー」はロータスの窮地を救っただけではなく、現在にまで様々なバリエーションを生み出しつつも改良されて採用され続け、かつヘネシー・ヴェノム、テスラ・ロードスターなどの少量生産スポーツカーを支えたという歴史も持っていて、文字通り「自動車業界の歴史を変えた」と言って良いかもしれません。

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ロータス・エリーゼが誕生するまでの経緯を追いかけたドキュメンタリーはこちら

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