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BMW Z3はこんなデザイン原案から企画がスタートしていた。デザイナーは日本人の永島譲二、当時のデザインスケッチを見てみよう

2023/07/01

BMWはこんなデザイン原案から企画がスタートしていた。デザイナーは日本人の永島譲二、当時のデザインスケッチを見てみよう

| 最終のデザイン案は実際に発売されたZ3に随分近い |

ただし途中では大きく雰囲気が異なるデザイン案も

さて、BMWは過去に何度か「実現しなかったボツネタ(コンセプトカー)」を公開していますが、今回は同社のデザイン責任者であるドマゴイ・デュケック氏が「BMW Z3の初期デザイン」を自身のインスタグラムアカウントへと投稿しています。

なお、BMW Z3は、初代アウディTTとならんで(ぼくにとっての)衝撃的なデザインを持つクルマでもあり、実際に自身で購入し、自分のものとして所有することになった一台でもあります(のちには二代目、三代目TTも購入している)。

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BMW Z3は日本人デザイナー、永島譲二氏によってデザインがなされている

このBMW Z3は1996年に登場していて、つまりドマゴイ・デュケック氏がBMWに加入する前の製品となるのですが、もちろんBMWのデザイナーであるからには過去の製品やデザインのアーカイブにアクセスすることができ(でないと未来のデザインも作れない)、そこで今回の「サルベージ」となったものだと思われます。

なお、このBMW Z3は、1998年にBMWへと(ルノーから)移った永島譲二氏が手がけたもので、今回公開されたスケッチにも「NAGASHIMA」というサイン入り。

もっとも古いものだと1991年の日付となっていますが、こちらはちょっとバウハウス的な雰囲気を持つ(アウディ・ローゼマイヤーやアヴス・コンセプトっぽくもある)ようにも感じられます。

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こちらは1992年版で、M1にも通じる雰囲気を持っているようですね。

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このスケッチには日付がなく、しかし上のニ枚との関連性も感じられ、ボディパネルが「上下二分割」という点も共通しています。

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なお、当時のBMWはとくに「上下二分割」を強調していたわけではなく、しかしこれはもしかすると初代「Z」であるZ1をイメージしていたのかもしれません。

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そしてこちらが1993年に作られたと言われるクレイモデルで、市販バージョンのZ3にかなり近いものとなっていますね。

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参考までに、BMWは1990年代はじめに一連の「ナスカ」なるコンセプトカーを発表しており、それらにはこのZ3(クレイモデル)との共通性も見られ、当時はこういった「ツルッとした」未来的なデザインを目指していたのかもしれません。

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BMWのデザインは常にコアバリューを再構築し続ける

いずれにせよ、BMWが様々なことに挑戦していたことは明らかで、そしてこの短期間の間に一人のデザイナーがここまで多くの案を出していたところを見ると、当時のBMWは大きく変わろうとしていたのだということもわかります。※下の画像は実際に発売されたZ3

その後にBMWはクリス・バングル時代を経て現代に至りますが、その過程でも(ジャンボキドニーやスプリットヘッドライト含む)多くの議論を呼ぶデザインを投入しており、常に変化し続けてきたということがわかります。

ドマゴイ・デュケック氏自身も「永島譲二による初代BMW Z3のこの初期のデザイン・スタディは、純粋なドライビング・プレジャーを提供するという私たちの哲学に忠実でありながら、まったく新しい実行を提示するユニークなロードスター体験を具現化したものです。デザインにおいて、私たちはBMWのコア・バリューを再構築し、未来に向けて適切な存在であり続けようと一貫して努力しています」と語っており、ブランドの変革はデザインから始まるということ、そしてデザイナーはそれを担う旗手であることを強く意識しているようでもありますね。

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参照:domagoj.dukec(Instagram)

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