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BMWのキドニーグリルの歴史は100年超。それはどう始まり、どう変化し、そしてこれからどこへ向かうのか。10の歴史的モデルとともに解説

2022/08/28

BMWのキドニーグリルは2023年で100周年。それはどう始まり、どう変化し、そしてこれからどこへ向かうのか。10の歴史的モデルとともに解説

| BMWのキドニーグリルは見た目以上にその「意味」が大きく変化していた |

キドニーグリル、それはBMWのDNAそのものである

さて、BMWのデザインにおいてはホフマイスターキンクなどいくつかのデザイン的特徴がありますが、やはり最大の認知度を誇り、BMWをBMWたらしめているのは「キドニーグリル」であるというのは異論を挟む余地がないところ。

そしてこのキドニーグリルは数十年(およそ90年)の歴史の中でパワートレイン、冷却システムの進化や変化に伴い、様々な思惑や意図とともにその形を変えていますが、ここでその変遷や意味合いについて触れてみたいと思います。

なお、「キドニー」とは腎臓を意味し、キドニーグリルは「腎臓のように、左右一対になっている」ことから命名されたのだと思われますが、BMWとしてもいつからそう呼んでいるのか、また呼ばれているのかという記述は(ぼくの知る限りではどこにも)行っておらず、これは「不明」ということなのかもしれません。

1.BMW 303(1933年)

まずはBMW 303に採用された縦長のバーチカルキドニーグリル。

この303はBMW初の6気筒エンジンを搭載するミドルクラスセダンで、初のキドニーグリルを備えたクルマです。

なお、当時でも「センターから左右で二分割された」グリルは珍しくはなかったそうですが、左右グリルの上下が丸くなっていて独立した形状を持つというものは例がなく、よってこれがBMWのブランド認知度を高めることに大いに役立ったと言われます。

ちなみに、ホフマイスターキンクとは異なり、このキドニーグリルを考案した人の名は残されていないようですね。

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2.BMW 507(1956年)

BMW 303以降、BMWのクルマにはずっとキドニーグリルが採用され続けていますが、このBMW 507は「はじめてグリルが水平にレイアウトされたモデル」。

デザイナーはアルブレヒト・フォン・ゲルツであり、キドニーグリルにおける「創造的な自由」を追求した結果だと言われます。

ただ、このBMW 507のキドニーグリルはデザイン以外にも大きな意味を持っており、それはV8エンジンにフレッシュなエアを大量に送り込むための「機能上の必要性を満たしていたこと」。

そしてBMW 507に採用されたノーズのデザインは「シャークノーズ」と呼ばれ、1960年代〜1990年代には幅広いモデルにおいて採用されることとなっています。

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3.BMW 1500(1961年)

BMW1500はノイエクラッセと呼ばれる「BMWの新時代」を切り開いたモデルとなりますが、キドニーグリルの左右が連結されてコンパクトになったこと、しかしフロント幅ギリギリにまで広がる、横ルーバーを備えるグリルを持ち、ある意味では「2つのキドニーグリル」とも言うべきデザインを持っていたことが大きな特徴。

このデザインは「02」「2800CSクーペ」「3.0CSL」など多くのモデルに引き継がれます。

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4.BMW M1(1978年)

このBMW M1は、それまでのBMWとは異なるミドシップレイアウトを採用しており、よってキドニーグリルの意味合いが大きく変わります。

空気抵抗を考慮しフロントは薄く低くデザインされていますが、そこに収められるキドニーグリルは「BMW史上最小」。

そのデザインは1972年のBMWターボにインスパイアされたもので、ボディパネルにキドニーグリルが「埋め込まれた」かのような構造を持ち、しかしよく見るとBMW 1500のように、キドニーグリルの両側に「水平ルーバーを備えたもうひとつのグリル」が存在することがわかります。

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5.BMW 3シリーズ(1990年)

この世代になってBMWのデザインは大きく飛躍してずいぶん近代的になっていて(ぼくがもっとも好きなデザイン言語を持つ世代でもある)、キドニーグリル両脇のグリルは姿を消し、これまで隣接していたキドニーグリルが再び左右に「分割」されてやや横長に。

かつ、キドニーグリルの両脇にはボディカラー同色のパネルが設置され、このデザインは1990年代の5シリーズ、7シリーズ、Z3、X5などにも見られます。

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6.BMW i3(2013年)

このBMW i3は電気自動車であり、吸気を目的とした”機能する”キドニーグリルを設置する意味はなく、よって単にブランディングそして装飾としてのみ採用されています。

よってグリルの内側は「全閉」、しかしブルーのアクセント、立体的なグリルフレームによって電気自動車であることを主張し、同時にBMWとしてのアイデンテティも主張。

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7.BMW Z4 / 8シリーズ(2018年)

2018年に発表されたBMW Z4、そして8シリーズに採用されたのが新しい「ワイドで、五角形をモチーフにした」水平グリル。

ただしZ4では左右キドニーグリルが分割され、8シリーズではフレームによって連結されるという相違があり、しかしいずれもその両端のラインがヘッドライトにつながるようにデザインされています。

加えて、キドニーグリルが下に広がったために視覚的重心が低く見えるようになり、グリルシャッターがはじめて採用され、かつ「連結グリル」採用モデルではフレームの中にドライビング・アシスト・システム用のカメラが最初に埋め込まれたこともトピックです。

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8.BMW 3シリーズ・セダン(2018年)

この世代の3シリーズ・セダンでは、さらに連結度を強めた一体型キドニーグリル、ヘッドライトとの連結といった特徴のほか、キドニーグリルの上辺がボンネットのキャラクターラインとの連続性を持つにいたり、車体との融合性が強調されることに(これまでの四角から五角形へと変更されたことで、グリルが上下へと拡大し、キャラクターラインとの連続性を持つことが可能となった)。

なお、M340i xDriveでは、キドニーグリルのインナーに、「バー」ではなく「ナゲット」と呼ばれるメッシュデザインが採用されています。

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9.BMW 4シリーズ・クーペ(2020年)

1933年のBMW 328以来の「縦型」キドニーグリルを採用してデビューした4シリーズ・クーペですが、その衝撃は今なお色濃く残っており、しかし4シリーズ・クーペのデザイナーであるソンモ・リム氏によれば「このキドニーグリルが、未来への架け橋になる」。

これには複数の理由があり、まずはBMW 328といった過去のアイコニックなモデルの要素を盛り込み過去の栄光へとスポットライトを当てたこと、そしてもうひとつは常に前に進むというBMWのDNAを表現すべく、これまでに例を見ない大胆なデザインを採用したこと。

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10.BMW ヴィジョン iNEXT(2018年) / BMW ビジョン M NEXT(2019年)

これら両モデル共に完全なる電動モデル(ピュアEV)ですが、その祖先たるi3の時代からは大きな進化を遂げており、フラットなグリルの内側にはカメラをはじめセンサー、運転支援テクノロジーを実現するためのデバイスが詰め込まれ(ということは、この部分を追突などで破損すると修理費用が膨大になる)、この高度に電子化されたグリルについてBMWは「Shy Tech(シャイ・テック)」と呼んでいる、とのこと(それらのデバイスが視覚的に見えないからなのかもしれない)。

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なお、ヴィジョンMネクストのキドニーグリルの表面は強化ガラスのサーフェスを持ち、BMWロゴが全面にプリントされ、イルミネーション機能を備えています。

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参照:BMW

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