
Image:BMW
| BMWはこのコンセプトカーが「発売されることはない」というが |
それでも、多くの類似性が今後の市販車に見られることになるであろう
さて、BMWが先般予告していた最新コンセプトカー、「ヴィジョン・ドライビング・エクスペリエンス(Vision Driving Experience)」を発表。※ただしカモフラージュつき
BMWはこのヴィジョン・ドライビング・エクスペリエンスにつき「市販がなされず、しかし最先端技術の実験車両として活用される」とコメントしています。
つまりこのヴィジョン・ドライビング・エクスペリエンスは今後”ノイエクラッセ”に採用されるであろうテクノロジーを詰め込んだコンセプトカーということになり、そのほか明かされているのは「180,000Nmのトルクを発生させること」「ハート・オブ・ジョイ(Heart of Joy)ユニットが車両の主要機能を統合し、シームレスな走行体験を提供すること」。
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この「ヴィジョン・ヴィークル」は市販されないとはいうものの
BMWはこのヴィジョン・ドライビング・エクスペリエンスを「市販しない」とコメントしており、しかしそのルックスは非常に現実的で、BMWが今後数年間で展開する(ノイエクラッセ)シリーズのデザインや技術を明確に示すモデルとなっていることは間違いなく、次世代電動3シリーズ(おそらく「i3」の名称を継承)に極めて近いデザインをしていることは否定できないと思います。
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ヴィジョン・ヴィークルの中核、「Heart of Joy」とは
そして今回BMWがこのヴィジョン・ドライビング・エクスペリエンスで示したかったのはハート・オブ・ジョイ、つまりBMWの考える次世代の運転ダイナミクス技術。
これを開発するための実験車両がヴィジョン・ドライビング・エクスペリエンスということになりますが、この技術は新規に開発されたノイエクラッセのEVアーキテクチャがBMWらしい走行フィールを維持できるように用いられているわけですね。
このクルマには強烈なトルクが備わっていて、約18,000Nmものトルクを発生すると説明されていますが、それでもBMWはこの極端な出力が「日常的なドライバビリティのため」であると説明しています。※パワーは非公開だが、1,000馬力をゆうに超えるものと思われる
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さらにBMWはこのハート・オブ・ジョイの制御を視覚的に示すデバイスも導入していて、例えばホイールの発光色は「加速時はグリーン」「エネルギー回生時はブルー」「摩擦ブレーキ使用時はオレンジ」へと変化して現在の状況を示すことに。
そしてもちろん、このハート・オブ・ジョイは加速や減速のみではなく、「駆動系、ブレーキ、充電、エネルギー回生、ステアリングを統合制御」するといい、「処理速度は従来の10倍」「エネルギー回生の効率は25%アップ」。
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ちなみに回生効率が改善されるということは「摩擦ブレーキの使用頻度が減り」車両がより”持続可能になる”ことを意味します(実際のところ、緊急時を除くと通常走行時におけるブレーキはすべて回生を使用するらしい)。
こうやって聞くと「さぞやハート・オブ・ジョイは優れた制御なのであろう」と考えられ、持続可能性や効率性の向上という点では素晴らしい成果を発揮することとなりそうですが、一方で懸念されるのが「ドライビングエクスペリエンス」。
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というのも「優れた制御」と「運転の楽しさ」は必ずしも一致するものではなく、BMWは「すべての走行パラメータを統一制御することで、かつてないハンドリング性能を実現する」とは言うものの、ドライバーとしては「乗せられている感」を感じてしまうのかもしれません。
EVはすでに内燃機関搭載車のようなエンジン音やシフトチェンジのフィードバックを欠くなどドライビングの楽しさを削ぐ要素があり、その上、さらに「ハート・オブ・ジョイ」による完全制御が加わるとなると、ドライバーが自らクルマを操る感覚がさらに希薄になってしまうのではとも考えられます。
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一方でBMWは「どの速度域でも調和の取れた静かな走行体験を得られる」と表現していますが、これが「究極のドライビングマシン」に求められるスリルや刺激を損なうものでないことを願わんばかりで、このノイエクラッセが従来のBMWらしい「駆け抜ける喜び」を維持できるかどうかは大きな注目点となりそうですね(ただし、BMWは非常に重いクルマであっても軽快感を感じさせる手法を知っているので、ノイエクラッセにおいても”駆け抜ける喜び”を高いレベルで実現してくれそうである)。
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参照:BMW