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| ベントレー新CEO「コンチネンタルGTの性能はまだ“限界に達していない”」 |
実際にニュルブルクリンク周辺で謎の試作車が目撃される
2025年型コンチネンタルGTスピードはすでに最大771馬力を誇りますが、ベントレーの新CEOであるフランク=ステファン・ヴァリザー氏によれば、このモデルの性能は「まだ限界に達していない」とのこと。
ヴァリザー氏はポルシェ出身で(現在、ポルシェとベントレーは同じくVWグループ傘下にある)、918スパイダーや919ハイブリッドの開発を手がけた人物として知られます。
その後は「GT」部門の責任者として辣腕をふるい、しかし最近の人事異動によってポルシェからベントレーの「CEO」へと抜擢されたわけですね。
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そういった流れもあり、フランク=ステファン・ヴァリザー氏(新卒でポルシェに入社し、スポーツカーやレーシングカーに携わってきた人物)の起用は誠に意外でもあったのですが、同氏着任後にはベントレーブランドが急速に「スポーツ」「ハイパフォーマンス」へと向きを変えていて、となると同氏の抜擢そのものが「フォルクスワーゲングループが、ベントレーの変革を目指したもの」であったのだとも考えられます。
そんな彼が手がける”新生”ベントレーではありますが、コンチネンタルGTに、さらなるハイパフォーマンスモデルが登場する可能性が高まっている、というのが今回のニュースです。
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ニュルでスパイショット撮影。空力重視の外観に
まず2024年6月、ドイツ・ニュルブルクリンク周辺の公道で、新型コンチネンタルGTのプロトタイプとみられる車両が目撃され、この車両には、フロントにダイブプレーン(カナード)、リアに巨大なウイングが装着されており、明らかにサーキット走行を念頭に置いた空力設計が施されています。
さらに、エキゾースト周りには新デザインが採用され、従来の楕円形ではなく、左右それぞれに2本ずつのパイプが確認され、これは、異なるパワートレインが搭載されていることを示唆している可能性も。
スーパースポーツ復活の布石?
このモデルについてベントレーは現時点でなんらかのコメントを発しておらず、しかしベントレーは、過去に「GT3-R」や「スーパースポーツ」といったハードコアモデルを限定販売してきた実績があり、今回のプロトタイプも、そうした特別モデルの後継である可能性が高いと噂されているというのが今の状況。
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特に「スーパースポーツ」の名称は熱心なベントレーファンにとって象徴的であり、その復活が待望されているという背景もあって、今回の「よりハイパフォーマンスなコンチネンタルGT」登場説に対する説得力を増しているわけですが、様々な状況を考慮するに、「スーパーコンチネンタルGT」登場の可能性は低くはないのかもしれません。
内燃機関+ハイブリッドで“超高性能PHEV”へ
現在のコンチネンタルGTスピードは、4.0リッターV8ツインターボにプラグインハイブリッドシステムを組み合わせて771馬力を発生するという強力なクルマであり、フランク=ステファン・ヴァリザー氏は「今後の高性能モデルも電動化される」と語っているため、この謎のプロトタイプもPHEVである可能性が高く、ただし、より大出力化された新世代PHEVとなる可能性も指摘されています(そしてこのパワートレインはポルシェ、ランボルギーニとも共有されることになりそうだ)。
ベントレーは以前、2030年までに完全EVブランドに移行する計画を発表していましたが、現在はその方針を見直し、まずはPHEVに注力する戦略へと舵を切っている状態。
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これは、ラグジュアリー層の多くが「まだ内燃機関を求めている」ことが理由であり、その要望に答えることこそが「生き残る道」であるからだと思われます。
最後に:918スパイダーのDNAがベントレーに注入される?
ポルシェ時代に918スパイダーと919ハイブリッドを率いたフランク=ステファン・ヴァリザー氏は、電動化と高性能の両立において圧倒的な経験を持っています。
彼が手がけるベントレーの次世代高性能モデルは、これまでのラグジュアリースポーツの枠を超える可能性を秘めているとともに、フォルクスワーゲングループにとって「新たな希望の光」を灯すこととなるのかもしれませんね。
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