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メルセデス・ベンツが「自社の自動運転システム起動中の事故にも責任を持つ」と発表!たしかに画期的な決断ではあるが、そこまで自動運転が求められてない中ではリスクしか残らないような気も

2022/04/02

メルセデス・ベンツ

| メルセデス・ベンツはこれで一気に状況をひっくり返せると考えている可能性も |

ただし現段階では消費者はそこまで自動運転に魅力を感じていない

さて、自動運転システムを起動している最中に発生した事故であっても「(クルマではなく)ドライバーに責任がある」というのが現在の自動車業界の常識ではありますが、今回メルセデス・ベンツが「ドライブパイロットを搭載したメルセデス車のドライバーは、同社の先進運転支援システムをオンにすれば、クルマの運転に関する法的責任を負わなくなる。つまり、万が一、クルマが事故を起こしても、メルセデス・ベンツが責任を取る」と発表。

これはけっこう大きな判断となり、「自動運転中の事故には責任を負わない」としている他社の自動運転システムに対して大きな優位を獲得することになりそうです。

メルセデス・ベンツは自動運転分野では「先行」している

メルセデス・ベンツにおいてドライブパイロットのシニア開発マネージャーを務めるグレゴール・クーゲルマン氏によれば、「メルセデス・ベンツは、昨年末までに、レベル3システムの国際認証を取得した最初の自動車メーカーとなりました。我々は今年末までにカリフォルニア州とネバダ州のそれを取得することを目指しており、他の多くの州においても取得を目指します」とのことで、つまりはこの機能が使用できる地域をどんどん拡大している、ということに。

さらにメルセデス・ベンツは、ネバダ州が米国における自律走行技術のリーダー的存在になることを期待しているといい、同州の法律に従い、さらに他の州政府と協力することで、より多くの管轄区域でドライブパイロットを展開できるようにしたいと考えているもよう。

アメリカは意外とこういった「新しい技術の導入に対して消極的」な傾向があり、その背景としては「消費者が不利益を被る」可能性を懸念しているからだと思われますが、メルセデス・ベンツは「先進運転支援システムの責任を負う(責任を消費者に転嫁しない)」とすることで、これに反対する国会議員を説得し、ドライブパイロットを承認させることができると考えているようですね。※今年1月にはテスラのドライバーがオートパイロット作動中に赤信号を無視して他の車両と衝突し、2人を死亡させ、過失致死罪で起訴されたことがあり、現状ではドライバーに責任があるというのが一般的な判断でもある。これは日本でも変わらない

メルセデス・ベンツ

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なぜメルセデス・ベンツはそこまで自動運転にこだわるのか

よって、メルセデス・ベンツのコミットメントは「これまでの常識をひっくり返す」ものでもあり、万一事故が起きた際には相当な損害が発生することを承知の上ということになりますが、そこまでしてメルセデス・ベンツが自動運転に拘る理由は全く不明。

たとえば現在自動運転システムについて「消費者が強く求めている」のであればまだしも、自動運転において高い認知度と支持を集めるテスラですら「自動運転オプションの装着率は5%くらいしかない」と言われ、この状況においてリスクを背負ってまで「自動運転の責任を持ちますよ」と言ったところで、メルセデス・ベンツのクルマがバンバン売れるようになるとは思えないわけですね。

なお、メルセデス・ベンツは現在のところ、事故発生を防ぐためにドライブパイロットを起動できる環境に制限を課しており、このシステムは、時速40マイル(ドイツでは時速60km)以下で、ストップライトやラウンドアバウトなどの交通管制システムがなく、工事現場もない、「開けた」高速道路でのみ作動させることができ、さらにはメルセデス・ベンツが地図を作成した高速道路のみで、天気の良い日中のみ作動する、と説明されています。

つまりは「使用できる環境が著しき限られて」いるわけですが、これに魅力を感じる消費者もそんなにいないかもしれません(たとえドライブパイロット作動中にスマートフォンを操作できるとしても)。

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