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ポルシェとメルセデス・ベンツが「シリコン負極採用」の新型バッテリーを自動車業界ではじめて導入!メルセデスではEQGに採用し、従来バッテリー比で航続距離20%アップ

2023/04/15

ポルシェ

| 一方でポルシェは高性能スポーツカーや限定モデルにこのバッテリーの採用を限定し、つまりは「かなり高価な」バッテリーとなりそうだ |

ポルシェ、メルセデス・ベンツがこういったバッテリーに手を出すということは、まだまだソリッドステートバッテリーの実用化は先の話なのだろう

さて、EV購入をためらう大きな理由が「航続距離が短いこと」そして「充電時間が長いこと」。

ただ、最新の報道だと、この2つを解消できる可能性があるバッテリーの実用化が近づいているとされ、ポルシェそしてメルセデス・ベンツがその新型バッテリーを搭載したクルマを他社に先駆けて発売する可能性があるとのこと。

なお、ポルシェは過去に「高価な限定モデルや高性能スポーツカーのみに採用する可能性がある」新型バッテリーの実用化について言及しており、今回の報道を見る限り、これら(前回と今回との報道にある)バッテリーは同一であるようですね。

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ついに「バッテリーを大型化する」以外の選択肢が登場?

上述の通り現在のEVの課題は「航続距離」「充電」が大半を占め、そしてこれらの解消を行うにはバッテリーを大きくするしかないというのが一般的な選択肢です。

バッテリーを大きくすれば単純に容量が増えるので航続距離も増加するのですが、そのぶん「価格が上がる」「重量が重くなる」「充電に時間がかかる」といった問題もあり、重量はクルマの運動性能そのものに影響を及ぼすほか、衝突時のインパクトや安全性、そして道路に与える影響も無視できないことが近年の調査によって明らかになっています。

ポルシェ

そこで今回報じられているのがバッテリーの科学的性質そのものを変えること。

これはたびたび話題にのぼるソリッドステートバッテリーとは全く別のものですが、現在各自動車メーカーそしてバッテリーメーカーともソリッドステートバッテリーの開発に注力する一方、まだまだ実現には時間がかかるとして「ソリッドステートバッテリー実現までの」繋ぎが必要だと考える例も登場しています。

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さらにマセラティは「ソリッドステートバッテリーを使用しない」とコメントするなど、ソリッドステートバッテリーが必ずしもEVの未来ではないと受け止めるメーカーも出てきているほど。

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新型バッテリーではグラファイトのかわりにシリコンを使用

そして今回の報道によると、新しいバッテリーでは、その負極(アノード)に対し、グラファイトのかわりにシリコンを使用するといい、これによってグラファイトを使用した場合の10倍の蓄電密度を確保でき、さらには内部抵抗が少ないために高速充電ができるのだそう。

つまりこれによって「航続距離の伸長」「充電時間の短縮」が期待できるわけですが、航続距離を同じままにしておけば(バッテリーサイズが小さくなるので)車体をより軽くでき、充電時間がさらに短くなることも期待できます。

現在、このバッテリー用シリコンの生産に先んじているのは「グループ14テクノロジー」「シラ・ナノテクノロジー」という2つの企業だとされ、メルセデス・ベンツはこのうちシラ・ナノテクノロジーの生産する「タイタンシリコン」を使用すると報じられており、新型「EQG」はシリコンアノード採用バッテリーを車体に組み込む最初の電気自動車になる、と報じられています。

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シラ・ナノテクノロジーによれば、数年前からシリコン負極についての開発が進められ、今回生産が開始されるタイタンシリコンにつき、「EVの性能を劇的に向上させるための大量生産用に設計され、いちばん最初に市場に出る製品であり、安全でクリーンなフルグラファイトアノードの代替品」だとコメント。

同社の説明によれば、既存のバッテリー技術に対して航続距離を約20%向上させ、充電速度も大幅に向上させることができるほか、タイタンシリコンは生産段階において、1kWhあたりのCO2発生量がグラファイトより50~75%少なく、かつグラファイトの10倍以上の電荷を蓄えることができると言われています。

ただ、ポルシェが「高性能モデルや限定モデルにしか使用しない」と述べている通り、その価格は非常に高価なのだと思われ(タイタンシリコンは大量生産が可能なので、バッテリーの生産数が制限されているわけではない)、よってメルセデス・ベンツEQG、そしてこのバッテリーを積んだポルシェのスポーツカーの価格についてはちょっと気になるところですね。

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参照:Reuters, Electrek

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