| リマックへと出資した成果がついに形として現れる? |
さて、ポルシェが「新型バッテリーを開発する」と発表。
この新型バッテリーはグラファイトアノードのかわりにシリコンアノードを使用したことが特徴ですが、おそらく価格が高価なのだと思われ、「ハイパフォーマンスカー、レーシングカー、限定モデルのみに使用する」と公表されています(生産は欧州にて行われる)。※もしくは現段階だと量産車の使用環境に耐えられないのか
ポルシェによると、この新型バッテリーについて「高温でも安定した性能を発揮する」ことをメリットの一つに挙げており、「通常のバッテリーだと25度が適温で45度を超えると問題が生じるが、この新型バッテリーは75度まで問題なく使用できる」と主張。
これによってクーリングに余裕ができ、システム全体をコンパクトにできるのかもしれません。
そのほかにはこんなメリットも
加えてポルシェは「この新型バッテリーはエネルギー密度が高く充電時間も速い」と述べ、見たところコスト以外はいいところだらけの様子。※実際にどれくらい優れるのかは数値として示されていない
さらにポルシェCEO、オリバー・ブルーメ氏は「バッテリーは、未来の(ガソリンエンジンでいうところの)燃焼室だ」ともコメントしており、「我々のハイパフォーマンススポーツカー、レーシングカーは常に、最高のバッテリーテクノロジーを求めている」と語るとともに、「ここで得たノウハウは将来の市販モデルに生かされる」とも。
ただしこちらも数値同様、具体的なタイムラインは示されてらず、詳細が明らかになるのはもうちょっと後なのかもしれません。
なお、こういった「新型バッテリー」開発へのシフトはリマックへの出資比率を高めてきた結果なのだと思われますが、ここから投下した資金を一気に回収し、利益へと転換することになるのでしょうね。
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ポルシェは「電動化環境」の構築を急ぐ
加えてポルシェは「バッテリーの他に、急速充電器の設置を急ぐ」ともコメント。
まずは欧州を中心に急速充電ネットワークを構築するとのことですが、このステーションにはちょっとしたラウンジを設けるなど、プレミアムカーメーカーであるポルシェらしい設計となる模様。
なお、現在は多数の新興EVメーカーが登場していますが、既存自動車メーカーがそれらに対して持ちうるアドバンテージというと「資金力を生かした充電インフラの展開」であり、逆に新興電気自動車メーカーはここまで手が回らず、サードパーティーにこれを頼るか、ほかの自動車メーカーが構築した充電網に「乗り入れる」ことに。
ポルシェが充電インフラ構築を急ぐのは「自社のEVの販売を有利に進める」ことが最大の理由であるのは疑いようがないものの、その後の計画としては「充電インフラで稼ぐ」ことを考えており、オーナーはもちろん、ほかの(EVを製造する)自動車メーカーから利用料を徴収することでひとつのビジネスに育て上げたいと考えているのかもしれません。
現在、タイカンの充電プランはこうなっている
ポルシェ チャージング サービスを利用するには専用のアプリが必要で、充電はもちろん有料。
料金プランは2種類あり、ひとつは「月額会員プラン」で、これは毎月1,800円を支払えば普通充電器(8kW)を無料にて、急速充電器(90kW)を分あたり45円で利用できるというもの(登録料金2,000円)。
そしてもう一つの「都度会員プラン」だと普通充電器(8kW)は無料、急速充電器(90kW)は分あたり120円という設定です。
ただし2021年央以降は料金プランが改定され、いずれも普通充電器(16kW)の利用が分あたり12円に、急速充電器(150kW)だと前者が分あたり75円、後者では分あたり200円へと変更される、とのこと。
もちろん家庭での充電も可能ですが、「カラの状態から満充電までは、200Vだと24時間位かかる」ようですね(充電器を200Vコンセントに差し込んで充電を行う)。