| メルセデスAMG GT専用タイヤの開発は車両とともに開始され車両とともに終了する |
たった1モデルのためだけに専用タイヤが開発されており、これもまた高性能車が高価になる理由である
さて、いかにハイパワーなクルマであっても「タイヤの性能を超えて走ることはできない」とはよく言われますが、そのため多くのハイパフォーマンスカーが車体と同時に開発された専用タイヤを装着しています。
そしてこの「専用タイヤ」が普通のタイヤとどう違うのかということについてはあまり触れられておらず、しかしこの特注タイヤの開発には信じられないほどの手間がかかるのだそう。
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メルセデスAMG GT専用のハイパフォーマンスタイヤの開発には3年を要する
そして今回はユーチューバー「タイヤレビュワース」がミシュランのテスト現場を訪れ、メルセデス AMG GTのためにミシュランが開発した専用タイヤ(ミシュラン パイロット スポーツ S 5)の謎を紐解いていますが、このタイヤは市販の(AMG GT用ではない)同名タイヤとは「まったくの別モノ」であると説明されています。
そしてこのAMG GT専用タイヤは、異なるトレッドセクションで構成される3つの異なるコンパウンドを使用しており、フロントトレッドの内側部分は主にウェットグリップ用に調整され、中央のトレッドはドライパフォーマンス用、さらにタイヤの一番外側はサーキット走行に適した高耐久性ラバー。
リアにはウェットグリップ用のセクションが2つとドライパフォーマンス用の中間セクション、そして外側にはドライパフォーマンス重視のコンパウンドという構成を持つとのこと。
そして驚くべきことに、ミシュランはこれらのタイヤの開発に3年を費やし、その過程ではフロントで25種類のコンパウンド、リアで20種類のコンパウンドを試すに至り、そこから最終的に上述の”最適な”組み合わせを決定したわけですね。
このプロジェクトの主任開発ドライバーであるピエール・アントワーヌ・グレゴワール氏によれば、ほとんどの時間をタイヤの「ソフトなハンドリング」を実現するための完成に費やしたと述べており、直線道路でのクルマの軌道、ステアリングホイールからのデッドゾーンの量、カーブ曲がるときにステアリングホイールの動作がどれだけ重くなるか、サイドウォールが急激な変化にどのように反応するかなどに焦点を当てることに。
さらに同士は「このタイヤの開発においても最も困難だったのは、ウェットとドライのハンドリングの適切なバランスを見つけることだった」と述べ、というのもメルセデスAMGの要求は「タイヤが両方のシナリオで優れた性能を発揮すること」だったから。
これはもちろんどんなタイヤにとっても難しい要求であり、そのためミシュランの開発チームは同時に進行していたAMG GTの開発プログラムに遅れを取らないようにしつつコンパウンドをテストし続ける必要があったことについても説明されています。
メルセデス AMG GT専用「ミシュラン パイロットスポーツ S 5」開発秘話に迫る動画はこちら
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