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それは一本の電話から始まった!「世界最古のポルシェ356を売りたい」。数十年にわたり消息不明となっていた356初期ロットの一台が発見され、8年をかけてレストアされる

2022/04/04

それは一本の電話から始まった!「世界最古のポルシェ356を売りたい」。数十年にわたり消息不明となっていた356初期ロットの一台が発見され、8年をかけてレストアされる

| まさかひょんなことから「世界最古のポルシェ356」が見つかるとは |

レストアにかかったのはなんと8年

さて、ポルシェのオーナー向け機関誌「クリストフォーラス」にて、おそらく現存する最後のポルシェ356のレストアを完了した、という記事が掲載。

ポルシェ356は1950年に生産が開始されていますが、ドイツのシュトゥットガルト工場にて生産された初期ロットは7台のみだといい、この特徴はメーター内にある「PORSCHE」文字の間隔が他と異なること、そして「バンジョー」と呼ばれるステアリングホイールのホーンボタンだといいます。

なお、このポルシェ356をレストアしたのはハンブルクの自動車博物館「プロトタイプ」の創設者、トーマス・ケーニッヒ氏とオリバー・シュミット氏だそうですが、もともと同博物館では「当時、判明しうる範囲で最古のポルシェ356=シャシーナンバー5047」を所蔵していたのだそう。※この博物館は初期のポルシェを収め、とくにデザインに焦点を当てた展示を行っており、ポルシェミュージアムとは提携関係にある

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ただし一本の電話によってすべてが変わる

しかしながら2013年1月、同博物館に一本の電話がかかってきたときから大きく状況が変わったといい、それは「おたくの博物館にあるシャシーナンバー5047よりも古い356を所有しており、それを売りたい」というある男の提案だったと紹介されています。

なお、このシャシーナンバー5006については、もちろん最初期ロットのうちの一台であり、レッドメタリックにペイントされていたことが当時の写真からわかっていたそうですが、1950年9月にドイツの顧客に売却されるまでポルシェが所有していたもので、売却後の1956年にはポルシェの保証によって(ブレーメンのポルシェ販売店経由で)エンジンの修理が行われたのを最後に消息を断っており、その後ずっと行方不明だったとされています。

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よって、該当博物館創設者の2人は「自分たちが所蔵するポルシェ356こそが最古」だと信じていたものの、突如それよりも古い356が出てくることになり、当然ながらショックを受けるとともに、この歴史的発見に対して心踊らされることになるわけですね。

ただ、当然ながら「すぐには信じられず」、よって半信半疑のままその電話の主と会うことになりますが、はたしてその電話の主に連れられて保管場所に行ってみたところ「まぎれもないシャシーナンバー5006のポルシェ356」ということが判明します。

しかしながらこのオーナーはとくに熱心なコレクターというわけではなく、よって屋外にずっと(半ば放置状態で)保管していたために破損状態がひどく、当然ながら自走も出来ないので積車に載せるしかないわけですが、積車に載せようにも「動かすと崩壊しそう」だったため、まず現地で車体を補強してからクレーンで吊り上げる、という手法を採用したのだそう。

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ちなみにこのオーナーがポルシェ356を売ろうと考えたのは、この356はじめ20台ほどのクラシックカーを置いていた土地から立ち退きを迫られていたからで、そのためにこれらのクルマの引き取り手を探していたのだ、と報じられています。

最初のポルシェ356は1950年4月6日に完成する

ポルシェの記録によると、最初のポルシェ356(シャシーナンバー5002)は4月6日に完成され、ボディカラーがグレーだったために「グレイハウンド」と呼ばれており、2台目の356(シャシーナンバー001)はカブリオレとして工場を出ることに(シャシーナンバーが生産順と前後するのは、当時から現在に至るまで、さほど珍しいことではないようだ)。

そしてシャシーナンバー5005はシュトゥットガルトの精神科医へと納車され、シャシーナンバー5006は上述の通り同年9月に顧客へと引き渡されています(初期の生産ロットは7台だそうなので、あと3台の当時の消息がわからない)。

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レストアにかかったのは2500時間

トーマス・ケーニッヒ氏とオリバー・シュミット氏はようやくこのシャシーナンバー5006のポルシェ356を引き取ることに成功し、それが2013年のことだったというので、実際にレストアが完成するまでには8年の歳月を要したということになり、時間にするとのべ2,500時間が費やされたのだそう。

レストアに際しては可能な限り当時の素材を残し、外観については完璧にもとに戻すことに腐心したそうですが、やむをえずパーツを交換する必要がある場合は丁寧に手作業によってつくられたリプロダクト品へと置き換えられ、長い時間を経てようやく当時の姿へと復元されることになり、もちろん両名の博物館の「永久展示品」となったわけですね。

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参照:Christophorus

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