
| 長年続く「ドイツ御三家」対決、2025年上半期の勝者はBMW |
やはり「攻撃は最大の防御」でもある
2025年上半期の米国市場における各社の販売状況が公開され、メルセデス・ベンツ、アウディ、BMWといった「ジャーマンスリー」の間ではBMWが再びリードを奪ったことが明らかに。
販売台数でメルセデス・ベンツとアウディを大きく引き離し、ブランド間競争で頭一つ抜けた存在となっていますが、ここでその詳細、および各ブランドの好調・不調モデルを見てみましょう。
BMWは安定した成長、セダン系が好調
BMW、メルセデス・ベンツ、アウディ──この”ジャーマンスリー”と呼ばれる3ブランドの競争は何十年も続いているものの、2025年上半期の米国市場ではBMWが圧倒的な強さを誇っています。
BMWはこの期間に178,499台を販売し、2位のメルセデス・ベンツは142,000台、アウディは81,951台にとどまっていて、いずれもBMWに大きく水をあけられる結果となっていますが、メルセデス・ベンツとアウディは前年同期比で販売台数が減少しており、さらなる課題を抱えていることも明らかになり、今後しばらくはBMWの優勢が続くのかもしれません。
なぜかBMWでは「SUVがマイナス成長」
BMWの販売増加率は前年比1.6%と控えめながらもプラス成長。
特に注目すべきは、セダンやクーペなど「非SUV」の売れ行きが好調で、11.2%増となり85,000台を超えたこと。
逆にSUVの販売は5.9%減の約92,000台と低迷していて、これは現在の世界的なSUVブーム、さらにはSUV大好きな米国市場の特性を考慮すると「意外な事実」です。※ただ、新型車投入のタイミングなど、一時的な動きだも考えられているようだ
EV(電気自動車)の販売は全体で0.7%減と横ばいで、しかし、主力EVであるi4は10.7%増、iXは3.9%増と堅調に推移しており、その一方、i5は30.3%減、i7は11%減と苦戦しているため、「モデルによって明暗が分かれる」結果となっています(EVは全般的に個性的なモデルのほうが売れているようだ)。
なお、BMWでは「ジャンボキドニー装着モデル」の販売が好調だと度々報じられていて、この「攻め」の姿勢が市場からも評価されているのかもしれませんね。※しかもモータースポーツにおいても比較的優れた実績を残しており、勢いがあるのは間違いない
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メルセデス・ベンツは小幅減も、持ち直しの兆し
メルセデス・ベンツは前年同期比6%減と落ち込みを見せたものの、第2四半期では第1四半期比で11%増となっており、回復傾向が見られ、しかし今のところ明確なモデル別データは公表されておらず、しかし主力SUVがけん引役となった可能性も指摘されています。
なお、メルセデス・ベンツはアメリカ国内での生産拡大計画を進行させている途中でもあり、米国生産を行っていないアウディに対して優勢を強化するなど、今後の巻き返しに期待が集まっています(米国生産を行わなければ、今後はトランプ関税によって輸入車に課税がなされ、米国内での車両価格を引き上げなくてはならず、競争力を失ってしまう)。
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アウディは12%減、モデル全体が販売不振に
そしてもっとも深刻なのがアウディ。
前年同期の約93,000台に対し、2025年上半期は81,951台(約12%減)にとどまっていて、しかも販売減少はほぼ全モデル(A7、Q7、Q8以外)に及び、回復の兆しが見えないというのが現状です。
さらに、第2四半期の販売は第1四半期を下回る結果となり、ここはメルセデス・ベンツとは異なり勢いも失いつつあるところ。
ただし、A5やA6、Q3など新型モデルの導入が始まっていることから、そしてデザインや機能の刷新が開始され大きく商品力を向上させていることからも「今後の反転攻勢」に期待したいところです。
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