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ポルシェはやっぱりガソリンエンジン(内燃機関)を諦めない!複数の副燃焼室を持つ特許を出願、さらなるパワー、さらなる効率性を引き出すことが可能に

ポルシェ

| 相当に複雑かつ高度な構造を持ち、おそらくは911向けの特許だと思われる |

ポルシェは様々な手法でガソリンエンジンの可能性を拡張することを追求している

さて、ポルシェは強力に電動化を進める一方で、内燃機関を諦めないことについても言及していますが、そのために合成燃料(Eフューエル)の実用化に注力しています。

このEフューエルはガソリンとの互換性があるとされ、かつガソリンを使用できる国や地域も(2023年以降であっても)まだまだ多く残されており、よってポルシェにとって内燃機関が「一つの未来」であることは間違いないのかもしれません。

そしてそういった事実を示すように、今回ポルシェが新しいエンジンの構造を開発し、さらなるパワーと効率性を両立させる特許を出願していることが明らかに。

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ポルシェの考える「新しいエンジン」はこういった構造を持っている

そこで今回ポルシェが出願した特許を見てみると、これは「燃焼室内で燃料と空気の混合気を点火するための新しい装置」。

その核心は、2つのプレチャンバーを持つ点火装置にあり、主燃焼室内に収められた複数の副燃焼室を用いることにより、燃料と空気の混合気の点火・燃焼過程をさらに改善することを目的としたもので、ポルシェによれば、圧縮ストローク中に空気と燃料の混合気の一部が第2プレチャンバーに押し込まれ、その後に燃料は第2プレチャンバー内で点火され、より速い燃焼を実現することが可能となるもよう。

これら第1と第2のプレチャンバーは常に連携しており、かつ第2プレチャンバーには3つ以上の円錐形状”アンティチェンバー(ちょっとした隙間というか余裕を持たせた空間)”が与えられ、第1プレチャンバーよりも容積を大きくすることが可能です。

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ポルシェによると、プレチャンバー点火による加速効果(高速燃焼)は、第二プレチャンバーを追加することで大幅に向上し、円錐形のアンティチェンバーのおかげで容積が大きくなるほか、第二プレチャンバーから流れる炎を主燃焼室に押し込んで性能を向上させることができるのだそう。

なお、プレチャンバーという考え方自体は新らしいものではなく、マセラティはすでにこのプレチャンバーを持つ3リッターV6エンジン「ネットゥーノ」をMC20に搭載しており、マツダもまたプレチャンバーを有する特許を出願済みですね。

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今回の特許によってポルシェはさらに内燃機関を高性能化することが可能に

ただ、ポルシェの今回のパテントだと「1つのプレチャンバーでは、より高い効果を実現できない」ために第2プレチャンバーを持つこと、加えて”内側から外側に向かってサイズが大きくなる”最大5つもの円錐状のアンティチェンバーを持つことが新しく、この多段式アンティチェンバーシステムにより、より高い空燃比を実現することができることに。

なお、ポルシェは、この点火システムにつき、最小で3つ、最大で5つのアンティチェンバーを備えることが可能だとしており、エンジン排気量や気筒数などに応じて様々な使い分けがなされるのかもしれません。

加えて、この新しい点火システムには追加のスパークプラグが使用され、第1/第2燃焼室には共通の流路があって第1/第2燃焼室間での接続が確保されることになりますが、これらの連携(接続)は受動的なものであり、個別の直接噴射システムは必要ないとされています。

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ただ、この「個別の直接噴射システムが必要ない」ということは「追加できない」ということを意味するわけではなく、ポルシェは、第2燃焼室に取り付ける追加燃料噴射ノズルの可能性についても言及しており、これの採用により、(理論的には)燃焼室内においてよりリッチな混合気を供給することができ、より高いパフォーマンスを得ることができる、ということについても触れており、「ターボ」「GT3」といったハイパフォーマンスモデルにはさらなる追加のプラグが用いられるのかもしれません。

この副燃焼室にかかわる特許を見るに、非常に複雑かつ高度なものであり、となると911のようなハイエンドパフォーマンスカー向けとして採用される可能性が大。

ポルシェは10年後までに電気自動車を80%、内燃機関搭載車を20%という内訳にすると発表済みですが、カイエン、マカン、718ケイマン/ボクスターはすべて電気自動車になることも明らかになっています。

その一方、ポルシェは「911は最後に電動化されるモデルになるだろう」「今後10年間、911のピュアエレクトリックモデルの可能性はない」とも語っており、よって今回の特許を用いることで「さらに環境性能に優れ、さらにパフォーマンスが高い」911を展開することになるものと思われます。

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参照:CARBUZZ

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