｜ 近年のポルシェの「ヘリテージ」志向と相まって大きな注目を浴びているのがこのペピータである ｜
ポルシェは最初の市販モデル、356の時代からこのペピータを使用していた
さて、ここ最近ポルシェが積極採用している千鳥格子柄。
この千鳥格子は「ペピータ」とも呼ばれており、この名称は19世紀のスペイン人ダンサー、ペピータ・デ・オリバに由来するのだそう。
な当時この柄は紳士服にのみ用いられていたそうですが、1947年にクリスチャン・ディオールがレディースコレクションにこれを採用することで一気に「ファッショナブルな柄」として認知されるようになったといいます。
ポルシェは1960年代初頭、「ペピータ」をオプションとして導入
ポルシェがこのペピータを最初に採用したのは1960年代はじめのことで、まずは356のオプションとして導入され、現存する「最古」のポルシェ911（シャシーナンバー57）のシートに採用されてるのもこのペピータ。
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ちなみにこの「最古の911」はごく初期に製造された「901」であり、偶然発見された後にレストアされてポルシェミュージアムに展示されています。
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そしてポルシェが幅広くこのペピータを提供するようになったのは1966年のことで、初代911のカタログにこのペピータが掲載され、シートセンターのみならずドア内張り、さらにはラゲッジスペース、加えてグローブボックスの内側にまでにもペピータを選択できるようになり、おまけに「ブラック×ホワイト」のみではなく「ブラック×レッド×ホワイト」「ブラック×ブラウン×ホワイト」といったカラーも用意されたと説明されています。
なお、ドイツ車においては、「ペピータ」のほか、タータンチェックのような柄がシートや内張りに採用されることも少なくないように思いますが、日本市場ではこれらがあまり好まれなかったのか、もしくは当時これらを選択できなかったのか、はたまたインポーターの意向によって（高級感を強調するため）レザーシートが装着され輸入されたのかは、あるいはほかの理由によるものなのか、ここ日本ではあまり馴染みがないように思われます（ただし最近のポルシェ、そしてフォルクスワーゲンがこういった柄を採用していることで、その風向きも変わりつつある）。
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ポルシェはこのペピータを「歴史的遺産」として強調
なお、ポルシェがこのペピータを大々的に復活させたのは2017年で、「100万台目の911」に採用されたことによって大きく脚光を浴びることになりますが、この100万台目の911は顧客の手に渡るものではなく、ポルシェが自社にて保管するために製造した車両であり、そのモチーフとなったのははフェリー・ポルシェが最初に社用車として使用した911。
ボディカラーは「アイリッシュグリーン」にペイントされ、ドアミラー、サイドウインドウのトリム、ドアハンドルはシルバー、そしてバッジ類はゴールドという仕様を持っていて、ポルシェ一族はこのほかにも「オークグリーンメタリック」など、グリーンの911に好んで乗っていたこともよく知られていますね。
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そしてこの911に採用されたいたのがペピータで、これ以降、ポルシェの「記念」「特別」「限定」モデルに対し、このペピータが採用される機会が増えてゆきます。
このほかだとポルシェ・クラブ・オブ・アメリカとの共同によって企画・製作された911クラシック クラブ クーペに採用されたのもやはりペピータのシート。
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そしてもちろん、1,250人の幸運なオーナーのみが手にすることができた911スポーツクラシックでもペピータを選択可能。
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こういった「記念/限定モデルへの採用」によって”ポルシェにおけるペピータ”が特別なものとして認識されるに至っているわけですが、実際のところポルシェ・エクスクルーシブ・マニュファクトゥアでは最も人気のある内装素材だといい、そして今年からはいくつかのモデルにおいて標準オプションとして選択できるようになっています（以前から一部モデルでは選択できた）。
なお、このペピータは「見た目こそ変わっていない」ものの、その生地自体は進化しているとされ、かつてはウールの配合率が高く、しかし現在では高品質のリサイクル糸を使用しているのだそう。
これによって「より耐久性の高い」素材となっているそうですが、現代では「レザーの使用を（環境負荷的観点から）避ける」ユーザーも少なくはなく、よってますますこのペピータの人気が高まってゆくのかもしれません。
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参照：Porsche