
| それでもポルシェのスピーディーかつ真摯な対応は高く評価できる |
ポルシェはリコールこそ少なくはないものの、「程度の軽さ」「スピーディーな対応」という点で一定の信頼を得ている
ポルシェが「2022年1月3日から2023年3月31日までに製造された一部のタイカン(Taycan)モデルを対象に、助手席エアバッグが誤って無効化される可能性がある」として、米国道路交通安全局(NHTSA)にリコールを届け出ることに。
近代的なシートセンサーに潜む落とし穴
最近のクルマには、助手席に人が座っていない場合はエアバッグを自動でオフにするシート内蔵センサーが搭載されていますが、これは人が座っていないシートを対象にエアバッグが作動することによって(結果的に)修理費用がかさむのを防ぐためのシステムです。
しかし、問題なのは誰かが助手席に座っているのに、センサーの誤作動でエアバッグがオフになるケース。
もしその状態で事故が起きれば、重大な安全リスクに繋がります。
発見までに1年──原因は「座席の中の配線」
ポルシェがこの問題に初めて気づいたのは2024年3月。
しかし、その時点では不具合の再現ができず、調査は難航したといい、その後、アメリカ国内で同様の不具合が発生した実車が確認され、ポルシェの技術者が現地に派遣されて原因調査を開始することに。
その結果、原因は意外にも単純で、シートクッション内のヒーター用コネクターのかしめ不良であることが判明し、この接続が緩んでいることでセンサーの誤作動が起きていたと現在では結論付けられています(実際、座席を動かすことで一時的に問題が解消されることもあったようだ)。
「念のため」の対応だが、安全第一
かくして2025年4月2日、ポルシェはついにこの問題を「安全上の欠陥」と正式に認定しリコールを決定し、「大事には至っていないが、念のため」として該当する車両の助手席シートクッションを新設計のものに無償交換する方針。
この作業は、新車保証の範囲内でディーラーにて実施されることについてもアナウンスされています。
該当車両と対応について
- 対象モデル:2022年〜2023年製 ポルシェ・タイカン(全グレードの可能性あり)
- 製造期間:2022年1月3日〜2023年3月31日
- 通知開始時期:NHTSA報告日(2025年4月8日)から60日以内に対象オーナーに通知
ポルシェの対応はスピーディかつ誠実
今回の問題は一見すると些細な配線不良で、しかしポルシェはこの問題に対して迅速に行動しており、それは「最先端EVであるタイカンだからこそ、万が一の事態は許されない」と考えたからなのかもしれません。
安全を最優先する姿勢と、問題の原因究明に1年を費やした徹底ぶり──ポルシェというブランドにふさわしいリコール対応と言え、むしろ今回のリコールによってポルシェに対する信頼感が市場では高まることとなったのかもしれませんね。
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参照:NHTSA