| 現時点では、普及価格帯からプレミアム、そして世界中の自動車メーカーが「台数、売上、利益」の下方修正を行っている |
そしてそのぶん「販売を伸ばしている」のは中国の自動車メーカーである
さて、メルセデス・ベンツ、BMWが相次ぎ利益目標を引き下げており、ポルシェやアウディも暗い見通しを示していますが、プレミアムカーメーカーのみではなく自動車業界(販売台数)一位のトヨタもEV販売目標を150万台から100万台へと引き下げ、第二位のフォルクスワーゲンは工場稼働率(生産台数)の低下によって歴史上初めての国内工場閉鎖を検討し、四位のステランティスも傘下にあるブランドの販売が大きく下がっていると報じられています。
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トヨタが2026年のEV生産目標を150万台から100万台へと引き下げ。なお2023年のEV販売は10,400台、総販売台数の1%にとどまり、修正目標の達成も難しそう
| ただしほかの多くの自動車メーカーも同様の状況に陥っており、中国勢に対抗することは非常に難しい | しかしそれでも「対抗しない」という選択はなく、既存自動車メーカーにとって厳しい時代となるだろう さ ...
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フォルクスワーゲンが公式に「業績の下方修正」を発表
そして今回、たびたび苦境が報じられてきたフォルクスワーゲンが公式に「業績の可能修正」を発表し、2024年における販売台数は「当初計画の前年比3%増から2.6%減の900万台へ」、「売上高は「(前年比)5%増」から「0.3%減(3200億ユーロ)」へ、営業利益率も「6.5~7%から5.6%へ」、そして営業利益は180億ユーロへと引き下げるとコメントしたもよう。
この理由は電気自動車の販売が計画通りに進まないこと、よって開発のために投下したコストを回収できないこと、主力市場である中国でのシェア低下に歯止めがかからないことだと見られていますが、現時点でこの状況を好転させる要素は見当たらず、よってフォルクスワーゲンは「かなり苦しい環境にある」とも考えられます。
実際のところ、すでにグループ内の各ブランドでは大きなコスト削減に動いており、さらには上述の通り国内工場の閉鎖を検討していますが、これらはいずれも「訴訟」にまで発展していて、しかし訴訟を覚悟してでもコストを抑えねばならないということもわかりますね。
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VWグループの上級管理職は今までポルシェを無償貸与されていたものの、コスト削減にてこの制度が廃止される。これを「不当だ」として集団訴訟に発展しているもよう
| VWグループの上級管理職200人は、これまでグループ内のクルマを2台まで無償で提供されていたようだ | ただしこの制度が廃止された後も、ポルシェの役員はポルシェを使用し続けることが許される さて、 ...
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さらには従業員によるストライキが予告され、労組との交渉決裂(労組側による7%の値上げを拒否)など様々なネガティブな話題が報じられ、今後どこかで「大きな戦略の見直し」が行われる可能性もありそうです。
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