VWグループの上級管理職は今までポルシェを無償貸与されていたものの、コスト削減にてこの制度が廃止される。これを「不当だ」として集団訴訟に発展しているもよう

｜　VWグループの上級管理職200人は、これまでグループ内のクルマを2台まで無償で提供されていたようだ　｜

ただしこの制度が廃止された後も、ポルシェの役員はポルシェを使用し続けることが許される

さて、大企業で働くということには様々なメリットがあり、給与以外だと「福利厚生」にもそれが現れるのだと思われます。

今回報じられているのは世界で二番目に大きな自動車メーカー、フォルクスワーゲングループでのイザコザで、これまで上級管理職200名に対しポルシェのクルマ（ポルシェは現在VWグループに所属している）が貸与されていたものの、それが取り上げられ、今後その「優遇措置（特典）」がなくなったことに端を発した騒動です。

要はこの「ポルシェの一方的な回収」に怒った一部の管理職がフォルクスワーゲングループに対して訴訟を起こしているわけですが、これは日本だとちょっと考えにくい事例かもしれません。

しかしながら欧米の場合、こういった福利厚生、さらには住居提供や移動時の好条件（航空機ではファーストクラスを利用できるなど）までを含めての「待遇（労働契約）」だと捉えられる事が多く、よってこれらの一部が削られることはすなわち「降給」と同義となるわけですね。

フォルクスワーゲンはもちろん「コスト削減」の一環としてこれを行う

上述の通り、フォルクスワーゲンはグループ企業内の上級管理職200名に対しポルシェを無償にて貸与しており、正確に言うならば、これらトップ マネジメント サークル （TMK)）のメンバー200人はフォルクスワーゲングループに属するクルマをどれでも2台無償で受け取ることができたといい（おそらくランボルギーニやブガッティは不可だと思われる）、しかし今回「コスト削減の一環として」ポルシェを回収することとなったもよう。※ポルシェ以外、たとえばVWやアウディは今でも無償で利用できるのかもしれない

今後、フォルクスワーゲングループの上級管理職はポルシェの無償貸与を受けることができなくなるものの、一方でポルシェの役員や管理職は引き続きポルシェの無償貸与を受けることができるといい、このあたりの「不公平感」も訴訟に発展した一つの理由なのかもしれません。

そして現在、ブラウンシュヴァイク労働裁判所ではすでにこの「優遇措置廃止」に関する訴訟が起こされているとされ、数十人の上級管理職が「ポルシェの無償貸与は約束されていた権利であり報酬パッケージの一部である」と訴えており、つまり今回のフォルクスワーゲングループの一方的な対応は”不利益変更”であると主張しているわけですね。

日本だと「自分が勤めている会社を相手に訴訟を起こす」という行為はにわかには信じがたいものの、欧米、特に欧州では自身の権利を確保するために訴訟で身を守るということは珍しくないのだと思われます。

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参照：Bild