メルセデス・ベンツがわずか二ヶ月で「二度目の」利益下方修正を発表。その原因は「中国市場での不調」、同社には対中戦略の抜本的な見直しが必要であると思われる

｜　メルセデス・ベンツのみならず、いずれの自動車メーカーも急激に変化する中国市場に対応しなければ生き残れない　｜

一方、テスラはいち早くこの危機に遭遇しただけあって活路を見出しているようにも

さて、メルセデス・ベンツがこの2ヶ月で「2度目」となる利益率の下方修正を発表。

これによると2024年通じての売上利益率を「10-11％から7.5-8.5％に引き下げる」とのことで、その理由は「中国での高級車の販売現象が続いているから」。

この下方修正発表は「中国への積極投資」を発表してから間を置かずなされたものであり、今後のメルセデス・ベンツの戦略に大きく影響するととなりそうです。

メルセデス・ベンツは非常に中国を重視しているが

なお、メルセデス・ベンツは中国にその販売と利益を大きく依存していて、これまでにも「中国受けを狙ったコンセプトカー」を発表したり、「Sクラスがもっとも売れているのは中国」と報じられたことからもその傾向がわかるかと思います。

実際のところメルセデス・ベンツは「いかなる状況に陥ろうとも、中国市場からの撤退はない」ともコメントしており、その中国重視度が理解できようというものですが、現在は「わずか数ヶ月前」とは大きく状況が変わっているのかもしれません。

というのも、数ヶ月前であれば、中国での販売の影響を受けていたのはフォードやビュイック、トヨタ、ホンダ、そしてフォルクスワーゲン等の「普及価格帯のクルマ」であり、その理由は「価格性能比が向上し、より中国市場の嗜好にマッチした中国車に販売を奪われてゆくから」で、この時点ではさほど高級車市場は影響を受けていなかったわけですね。

よってメルセデス・ベンツそしてBMWはじめプレミアムカーメーカーはまだ「余裕」を見せることができていたものの、その後中国の景気がやや後退するに際して「高級品の買い控え」が生じてしまい、ここでドイツのプレミアムカーメーカーは大きく影響を受けてしまいます。

とくにメルセデス・ベンツは「競争の厳しいエントリークラス」から手を引き、利益率の高い高価格帯のクルマに集中していたため、それらの販売が減ると一気に利益が減ってしまうのだと思われますが、このあたりは（同じように利益が下がったといえど）コンパクトクラスを多数揃えるBMWとは事情が異なるものと思われ、メルセデス・ベンツのほうがより大きくダメージを受けてしまうのかもしれません。

そしておそらく、他の自動車メーカー同様、メルセデス・ベンツがここから「失われた販売」を中国市場にて取り戻すことは難しく、もしかすると中国市場以外でも中国の自動車メーカーからの猛攻にさらされる可能性も。

そう考えるならば、まだ中国で踏ん張っているテスラは立派であるとしかいいようがなく、日米欧のほかの自動車メーカーの（中国市場での）シェアが失われる中、テスラが唯一生き残る（日米欧の）自動車メーカーとなるのでは、と考えることもできそうですね。

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参照：Reuters