| ここ最近、アストンマーティンは「好調」な側面が多く報じられていたが |
様々な要因があるといえど、今年は残念な結果となりそうだ
さて、アストンマーティンは過去10年、とくにコロナ禍以降は厳しい財政状況を経験していますが、ここ数年はローレンス・ストロール氏の出資と舵取りのものとDB12やDBX707、ヴァンテージなどの素晴らしい新製品を発表し、状況を好転させることに成功しています。
しかし今回、その成功の連鎖にもかかわらず「アストンマーティンが、販売台数、利益ともに今年の目標を達成できない見込み」が明らかに。
アストンマーティンはかく語る
アストンマーティンCEOはつい最近、(フェラーリ出身の)アメデオ・フェリーザ氏から(ベントレーCEOであった)エイドリアン・ホールマーク氏へと交代していますが、同氏は直近にて行われたインタビューにおいて「今年の生産・納車台数が当初の見込みより約1,000台少なくなる」「年間の粗利益率目標である約40%を達成できない」と明言しており、こえてはつまり2024年の目標であった7,000台の納車を達成できず、昨年の6,620台を上回るどころか、「下回る」可能性が高いことを意味します。
「会社の野心的な2024年プランを達成するには、ほぼ完璧な実行が必要でした。しかし、2024年の生産量を調整するために、決定的な行動を取る必要があることが明らかになりました。」
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なお、この目標「未達」の理由につき、エイドリアン・ホールマーク氏は、サプライチェーンの問題、特にヨーロッパ全体でアストンマーティンの複数のサプライヤーに影響を与えた「洪水」や「火災」を挙げ、実際のところ、今年初めにスイスで発生した洪水は、大手アルミニウムサプライヤーの生産を停止させ、BMWやジャガー・ランド・ローバー、ポルシェなどにも影響を及ぼしています。
そう考えると、フェラーリやランボルギーニの「着実な計画立案、それを実行するための推進力、さらには計画通りに達成される成果」というサイクルがいかに驚くべきものであるかもわかり、とくにフェラーリの株価におけるパフォーマンスがそれを表しているようにも思います(ランボルギーニは株式を公開していないので、株価の推移を知ることはできない)。
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ただ、アストンマーティンにおいては現在「改革が進行中」であり、来年には新しいヴァンキッシュやハイパーカー「ヴァルハラ」、リニュアールされたDBXのデリバリーを期待でき、販売そして利益ともに大きく成長する可能性も(さらにはエイドリアン・ニューウェイの獲得によるF1での存在感強化も期待できる)。
一方、「お金がかかる割にモトが取れず、ブランディング的にも寄与しない」EV計画を後ろ倒しすること、目下エンスージアストが好む内燃機関搭載車に集中することも発表しており、経営効率自体は大きく改善してくゆくのでは、という期待も持っています。
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参照:Reuters