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アルファロメオはなぜ売れなくなったのか?「品質と信頼性が低く、ディーラーの対応がよろしくない」うえに「スポーツカー大好きおじさん」しか買わないから

2022/07/12

アルファロメオ・ジュリアGTA/GTAm

| アルファロメオは自動車メーカーとしてやるべき「品質の向上」「サービスの向上」「客層の拡大」を怠ってきた |

これは今までのCEOが批判されても仕方がない

さて、現在ブランドシフトを行っている最中のアルファロメオですが、2021年には世界でわずか25,964台しか販売できなかったといい、これはフェラーリの「倍くらい」とどまるレベルです。

それをもって多いとするか少ないとするかは人それぞれかもしれませんが、ぼくとしてはかのアルファロメオがこの水準にとどまるというのは大きな衝撃であり、ピークである20年前の1/18にまで販売が落ち込んだという現実がここにあるわけですね。

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いったいなぜアルファロメオは売れないのか

そこでなぜアルファロメオが売れないのかということにつき、まずはジュリエッタが販売終了となってしまい手頃な価格帯のクルマがなくなったことが考えられます。

現在はジュリア、ステルヴィオといったラインアップ、そしてそこにトナーレが加わりますが、価格帯としてメルセデス・ベンツやBMW、アウディ、レクサスとも競合することになり、正直これらと戦うのはちょっと難しそう。

そしてもうひとつが「ファンの老朽化」であり、現在のアルファロメオの顧客層は「アルファロメオ車のパフォーマンスイメージに魅了された中年以降の男性」だとされ、この”狭い”客層が販売チャンスを著しく制限している、とされています。

そしてまだまだ不振の理由は付きず、「アルファロメオ=信頼性と品質が低い」というイメージ、そしてディーラーサービスがよろしくない、というイメージも販売が伸びない理由として挙げられていて、国によって異なるものの、ほかの自動車メーカーよりも長い4年もしくは5年の保証が付帯されているにもかかわらず評価が上がらないようですね。

アルファロメオ

ちなみに新しくアルファロメオCEOへと就任したジャン・フィリップ・インペラート氏はここ(信頼性欠如とディーラーの不評)を非常に気にしていたようで、トナーレの発売を「納得の行く品質にまで持ってゆくため」発売時期をずらし、さらにはメンテナンスに関しては「車両を預ける場合に行った説明以上の作業が必要となった場合」にユーザーに対してその理由等を説明する動画を配信して理解を得る「ビデオチェックシステム」の導入すると発表しています。

加えて車体への「自動車業界初」となるNFT(non-fungible token)技術の搭載についても取り組んでおり、これは「顧客の同意を得て車に関する記録を残し、その車が適切にメンテナンスされていたことを証明する」ためにデータ保存を行うもので、このデータを中古車販売時の付加価値としたいようですね。

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こういった取り組みについて、「なんでそこまでするんだろうな」と考えていたものの、欧州や米国における「信頼性やディーラーに対する低評価ぶり」を耳にするに際し、「背景にはそんな理由があったのか・・・」とちょっと納得。

ちなみにアメリカ市場にてJDパワーが行った初期品質調査だと、アルファロメオは平均点を大きく下回り、カスタマーサービス・インデックスでは、アルファロメオはプレミアムブランドの中で最下位となっています。

「とにかくメインストリームにアピールせなばならない」

じゃあ今後のアルファロメオはどうしたいのかということですが、まずは上述の通り品質の工場とディーラーサービスの改善にはじまり、その後にやらねばならないのは「メインストリームへのアピール」。

現在の「スポーツカー大好きおじさん」だけを相手にしていてはとうてい販売台数は伸びず、よってファミリーや女性、若いカップルなどにクルマを買って貰う必要があると認識しているといい、しかし他の自動車メーカーと同じ戦場で同じように競争しても勝ち目はないため「スポーツイメージを利用しつつ、新しい顧客に振り向いてもらう」という計画を持っているようですね。

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参照:Autocar

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